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12月の注目Palmware情報

牟田嘉寿(Muchy)
Webサイト「Muchy's Palmware Review!」を運営。情報の早さ、使い方の解説がていねいなことでは定評があり、Palmユーザーならぜひ活用したいサイトだ。著書「WorkPad最強化パック600(アスキー出版局)」のほか、多くの雑誌に執筆。


■ エンターテイメント

 先月後半から今月にかけて最も充実したのが、エンターテイメント系のPalmwareです。

 その中でも筆頭に挙げられるのがFocV ProjectのPalmTheme。デスクトップの雰囲気を、Windows 95/98のデスクトップテーマと同じ感覚で次々と切り替えることができます。Palmシリーズのシンプルな外観も良いですが、たまには気分転換に変えてみてはいかがでしょうか? しかもエディタ機能まで内包しているため、ユーザーが簡単にテーマを作成することができます。すでに作者のFocV Projectのテーマページでは、各界の有名人がテーマを公開されており、盛り上がりを見せています。PalmThemeと同作者のContrastPanel のセットをPalmTheme Proとしてリリース予定ということもあり、これからも楽しみな1本です。

 そして、Palmware界に最も衝撃を与えたのが、OKUJI WorkShopのパームピクルです。Pickleというなんとも愛らしいキャラクターがPalmシリーズの画面を所狭しと駆け回ります。プラグイン形式で将来の拡張性をも考えられているのは、HiraPaシリーズでPalmware作家として高い評価を受けている奥地さんならではです。他のアプリを起動していても呼び出されるなど、Palmシリーズ中に住んでいるという感覚が新鮮です。とくに女性の方には一度試していただきたいソフトです。

 新しい分野の取り込みという点で面白いのが、JJKING Softwareの書道です。毛筆・墨・半紙要らずで、出先でちょっとした待ち時間に、そして満員電車の中でも、いつでも書道を追求できます。書の道というギャラリーも用意されているので、気に入った作品が完成したら是非投稿しましょう。

 最後に、Palmware界の大御所を次々に敵に回して、地道な脱力活動を行なっているぱ~む脱力ゲーム協会というグループを紹介させていただきましょう。このサイトでは使っても脱力してしまうような役に立たないソフトばかりを紹介しているのですが、その筆頭を飾るのがru0氏のPalm君1号です。その使うものを唖然とさせる語り口は、巷で有名なシー○ンそのものではないでしょうか。ぱ~む脱力ゲーム協会では、思わず悔しくてその場で肩を落としてしまうようなアプリがたくさん紹介されています。これからの発展がある意味末恐ろしいとも言えます。脱力ゲームに負けないような『正しい』ソフトを作ってください>非脱力系の作者の皆さん。

▽ Palm Theme
http://muchy.com/review/palmtheme.html
▽ 書道
http://muchy.com/review/syodo.html
▽ パームピクル
http://muchy.com/review/palmpickle.html
▽ Palm君1号
http://muchy.com/review/palmkun.html


■データベース

 データベース系のPalmwareは、今月、日本人にとって非常に嬉しい動きとなっています。

 まず挙げられるのが、動作の軽快さで有名なTinySheetの日本語版がついに公開されたという点です。iambic Software社に買い取られたTinySheetは、データの入力のしやすさにさらに磨きがかかり、ますます使いやすくなっています。3日間無料で試用できますので、是非一度試用されることをお勧めします。

 そして、シンプルなフリーのデータベースソフト、Andrew Low氏のlistも日本語版となっています。単純なデータベースしか管理できませんが、動作の軽快さとシンプルなユーザーインターフェイスは魅力です。最新版では、赤外線送信やインクリメンタルサーチ機能も加わり、使い勝手がさらに向上しています。

 なお、パソコンとの連携を重んじる方は、先月も紹介させていただいた、Excelと連携できるCutting Edge Software社のQuickSheetはいかがでしょうか? これは英語版ですが、先日公開されたSouten氏のQuickSheet日本語ローカライザを別途インストールすることで日本語化できます。これにより、日本語版と同じ感覚で使うことができるわけです。なお、WorkPad日本語版ユーザーは山田達司氏のLocalize Hackを、Palm OS英語版ユーザーは同氏のJ-OS III(x)がさらに別途必要です。

 このようにメジャーなソフトが次々と日本語化されることは非常に嬉しいですね。Palmwareがより一般に受け入れられるものとなるためにも、こういった日本語版ソフトの登場が今後も待ち望まれます。

▽ TinySheet日本語版
http://muchy.com/review/tinysheet.html
▽ list日本語版
http://muchy.com/review/list.html
▽ QuickSheet
http://muchy.com/review/quicksheet.html
▽ QuickSheet日本語ローカライザ
http://muchy.com/review/quicksheetloc.html
▽ J-OS IIIX
http://muchy.com/review/josiii.html
▽ Localize Hack
http://muchy.com/review/localizehack.html


■ 通信

 通信関連では、何と言ってもテキストブラウザの決定版、イリンクス社のPalmscape日本語版の発売が今月最大のニュースです。

 そして、まだ一般向けに発売はされていませんが、同社のMultiMail日本語版の登場も見逃せません。MultiMail日本語版は、初めて日本語に対応したメーラー内包型の高機能メーラーです。この利点を生かし、フィルタ機能や、添付ファイルのインストール機能など、他のどのメーラーにもない独自の機能を搭載しています。Palmシリーズ標準搭載のメールに機能で不満を感じている方はお試しください。
 なお、単体発売はされていませんが、携帯電子メモパッド「Decrio」(日本IBM/武藤工業)や携帯/PHS用通信モデム「SnapConnect」(アイ・オー・データ機器)のキャンペーンCD-ROMに同梱されています。Decrioの付属ソフトEcriNote(Ecritek社)を使って、Decrioで描いた手書きメモをメールで送信することも可能となります。

 設定や操作が簡単なのが最大の特徴であるSystem Engineering Service社のPaPi-Mailシリーズもバージョンアップしています。PaPi-Mail3に加え、IMAP4にも対応したPaPi-Mail4がリリースされました。フィルタ機能や、処理範囲指定機能が搭載され、使いやすいメーラーが欲しい方にはこちらも見逃せません。

 来年早々に発売予定のSnapConnect for c3の登場に合わせるかのように、最近はさまざまなメーラーソフトがバージョンアップしています。受け取るメールの量に応じて、自分に合ったメーラーを探し出しましょう。

▽ Palmscape日本語版
http://muchy.com/review/palmscape.html
▽ MultiMail日本語版
http://muchy.com/review/multimailjp.html
▽ PaPi-Mail3日本語版
http://muchy.com/review/papimail3.html
▽ EcriNote
http://muchy.com/review/ecrinote.html
▽ メーラー一覧
http://muchy.com/review/ctmail.html


■ 置き換えアプリ

 Palmシリーズ標準搭載の予定表で多くの方が不満点として挙げるのが、To Doを一緒に管理できない点でしょう。

 Mark Shillingburg氏のWhatzUpを使えば、画面上に予定を、そして画面下にTo Doを分けて表示できます。各種カスタマイズもでき、各ユーザーが思い描いた通りの表示方法に設定することができます。

 置き換えアプリでは、iambic Software社のAction Namesが4.0にバージョンアップし、大幅な機能強化が行なわれました。コンタクトリストが完全に内包され、予定表とTo Doのみならず、アドレスの置き換えとしても十分使えるようになっています。ただ、日本語読みで入力したアドレスの表示などで、WorkPad日本語版ではいくつか問題点があります。近日中のリリースを予定されているAction Names 日本語版の登場が待ち望まれます。

 さらに、赤外線付携帯電話NM207ユーザーにとって、非常に嬉しいのがトラミン氏のNoM207の登場です。NM207とPalmシリーズの双方の赤外線ポートを利用し、PalmシリーズからNM207へ、アドレスを一気に送信できます。面倒なケーブル要らずで、入力が簡単なPalmシリーズのアドレスを、NM207にも取り込めるのは非常に便利。また、アドレスの赤外線送受信にも、独自の機能が追加されており、NM207ユーザーのみならず、大量のアドレスを交換される方には必携の1本といえるでしょう。

▽ WhatzUp
http://muchy.com/review/whatzup.html
▽ Action Names
http://muchy.com/review/actionnames.html
▽ NoM207
http://muchy.com/review/nom207.html


■ DOCアプリ

 DOCリーダの分野では、CrsMeDocが登場しています。吉田氏のMeDoc→穴澤氏のHautMeDocそして、高橋氏のCrsMeDocとそれぞれの作者さんによって、段々と改良が重ねられています。逆にシンプルな機能のものが欲しい場合は、前のバージョンのDOCリーダを使えば良く、ユーザーの使い方によって選択の幅が広がっています。CrsMeDocの最大の特徴は縦書きで文書を表示できる点。この特徴によりニュースリーダーとしてのみならず、小説や文書のリーダーとしても十分実用的になりました。

 縦書きDOCリーダーといえば、世界初の縦書きDOCリーダー、E. Misaki氏のLineUpもバージョンアップしています。今年中にはベータ版の公開を予定しているそうで、バージョンアップのたびにだんだんとクオリティが高まっており、正式版が非常に楽しみです。

 HTMLの文書をPalmシリーズで閲覧したい方には、DC & CO社のiSiloが便利です。最近のバージョンアップにより、細かい操作性がさらに向上しています。

 ちょっと前に比べれば、さまざまなDOCアプリが登場しています。しかも、それぞれ特徴あるものとなっているため、用途に合わせて最も適したDOCアプリを選び出しましょう。

▽ CrsMeDoc
http://muchy.com/review/crsmedoc.html
▽ LineUp
http://muchy.com/review/lineup.html
▽ iSilo
http://muchy.com/review/isilo.html
▽ DOCアプリ一覧
http://muchy.com/review/docapp.html


■ PalmSource

【Zen of Palm】

 先月の30日から1日にかけ、ホテル日航東京で開催されたPalm Sourceに参加してきました。特にZen of Palmのスピーチには衝撃を受けました。シンプルなものでありつづけるのはいかに難しいか。ユーザーの要望にすべて答えるのが必ずしも製品にとって良い結果をもたらしません。これはハードのみならず、Palmwareにも言えることではないでしょうか。Palmwareをむやみやたらに高機能化することは、ユーザーに設定する項目を増やし、より取っ付きにくいものとなってしまう危険性をはらんでいます。

 本当に優れたPalmwareというのは、高機能なPalmwareではなく、操作性や動作速度にも気を配ったバランスの取れたPalmwareであるということを、改めて感じました。palmfanでも要約が公開されていますので、Palmのユーザー・開発者にとどまらず、PDAの開発者・ユーザーのすべての方々に読んで欲しいと思います。

〇 palmfan
http://www.palmfan.com/

【その他PDAコーナー新設】

 このZen of Palmの衝撃的なスピーチを受け、なぜPalmシリーズがこれほどまで支持されているかを、他PDAと比較しながら解説するコーナーをMuchy's Palmware Review! 内に設置しました。これからさまざまなPDAとPalmシリーズとの比較検証を掲載していく予定です。こちらのほうもお楽しみに!

〇 その他PDAコーナー
http://muchy.com/review/pda.html

【1999年を振り返って】

 1999年も最後になりましたが、今年は、Palm界にとって衝撃的なニュースがいくつもありました。

 まず、老若男女が知る日本IBM社によるPalm OS日本語版搭載機WorkPadの登場です。そして、3ComのPalm, Inc.分社化の動き、SONYやTRG、HandSpring社などへのPalm OSライセンスなど、来年に向け、さらなる盛り上がりを見せつつあります。

 まだ正式には発表されていませんが、筆者が予想するに、様々なメーカーから来年6つ以上のPalm OS日本語版を搭載したPalmシリーズが登場します。つまり、他のPDAとPalmからどれを選択するかではなく、Palmの中でもどれを選択するかという時代がすぐそこへとやってきているわけです。これはなにかDOS/V機の盛り上がりに通ずるところがあります。

 Palm OSカラーの発表もあり、すでにいくつかのメーカーがカラーPalmの発売へ動き出しているといます。来年は日本でもPalm界がモバイル市場を引っ張っていくような年になるのではないでしょうか。そういった中、OS供給メーカーであるこれからのPalm, Inc.の動きにも、注目していきましょう。

 また、私事で恐縮ですが、筆者が執筆した「WorkPad最強化パック420(アスキー出版局)」がご好評をいただき、注目の最新ソフトを追加し定番ソフトも最新版に入れ替えた「WorkPad+Palmシリーズ最強化パック600(アスキー出版局)」が発売されました。興味のある方はお手にとっていただければ幸いです。

〇「WorkPad+Palmシリーズ最強化パック600」書籍情報 http://www.ascii.co.jp/pb/ascii/workpad/


■ Visorその後

 余談になりますが、先月のダイジェストで紹介させていただいたHandspring社のVisorの日本語利用に必須のソフトウェアを紹介しましょう。Visorを日本語化するVisor日本語ローカライザ(山田 達司氏)、日本語表示の不具合を修正するVisor Tools(Pimlico Software社)、デスクトップソフトを日本語化するDesktop日本語化パッチです。いずれも、Visorをお使いの方は必携です。

 ところで、Palmシリーズ英語版を日本語化するJ-OS IIIxの作者である山田達司氏にPalm Sourceの会場でちょっとだけ見せてもらったのですが、山田達司氏はJ-OS IIIxのSpringBoardモジュールを開発され、実際にデモをされていました。これは、VisorのSpiringBoardスロットに刺せば即座に日本語版となり、そして抜けば英語版に戻るというものです。何が良いの?と思われる方もおられるかもしれませんが、この抜き差しの際にいちいちPalmシリーズの電源を切断する必要がない点が素晴らしいのです。つまりPalm OSの根幹に深くかかわるようなJ-OS IIIxでさえも、ユーザーが全く意識することなく、プラグアンドプレイで認識が可能という点に非常に驚きました。これがまさにVisorで初めて実現された真のプラグアンドプレイなのです。

 Visorは、先のZen of Palmの発想を少し変え、ユーザーが必要な機能だけをソフトウェアのみならずハードウェアも取り込めるようにしたという点で評価できます。HandSpring社のロブ灰谷氏とお会いしたときも、VisorはSpringBoardという万能の拡張性を持つと語っていたのが印象的でした。

 Palmシリーズがなぜいいのか? 何ができるのか? この質問に答えるのは現状のPalmシリーズでは残念ながら非常に難しいです。軽いから、動作が軽快だから、何でもできる。この答えはあまりにも漠然に過ぎます。それよりも、たとえば、MP3 SpringBoardモジュールでMP3を再生でき、音楽が聞けます。とか、ゲームモジュールでゲームができます。とかGPSモジュールでGPS受信機になります。といったわかりやすい説明の方が、買う方、薦める方の両方にとって分かりやすいのではないでしょうか。そういった意味で、現状は英語版しかないVisorの日本語版が日本市場に投入されたときに、Palm界全体に多大なる影響を与えるのは間違いありません。来年発売予定というこのVisorの登場が楽しみです。

▽ Visor Deluxe Blue
http://muchy.com/review/visordeluxe.html
▽ Visor 日本語ローカライザ
http://muchy.com/review/visorjploc.html
▽ Visor Tools
http://muchy.com/review/visortools.html
▽ Desktop日本語化パッチ
http://muchy.com/review/desktopjpatch.html

(牟田嘉寿)
1999/12/21


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