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虎ノ門ヒルズ完成 4月9日全店開業「グラスロック」を見てきた
2025年4月7日 20:06
虎ノ門ヒルズ「グラスロック」へ出店するテナントが、4月9日にすべて開業する。森ビルは報道向け内覧会を実施した。
森ビルなどが推進してきた虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの再開発事業が、グラスロックの全体開業をもって完結する。グラスロックでは1月31日に先行して、地下2階の「BANANA REPUBLIC」と「OWNDAYS」がオープンしていた。
虎ノ門ヒルズは、ステーションタワーおよびグラスロック、森タワー、ビジネスタワー、レジデンシャルタワーで構成される街区。グラスロックはステーションタワーとあわせて開発が進められ、ステーションタワーは23年7月、グラスロックは24年8月に竣工した。
グラスロックは東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅に隣接。地下1階では同駅のホームを見ることができ、地下2階で改札階に直結する。
地上レベルでは建物内2階で、桜田通りを横断してステーションタワーと森タワーを結ぶデッキが貫通している。グラスロックの規模は、地上4階・地下3階、延床面積約8,800m2。
4月9日にオープンする店舗は、書店「magmabooks」、クラフトビール「Uchu Brewing 虎ノ門」、カフェ「TULLY'S COFFEE &TEA」、チョコレート・焼き菓子「BENOIT NIHANT」、バラ専門店「ROSE GALLERY」の4店舗。
丸善ジュンク堂の新業態書店は体験型空間
magmabooks(マグマブックス)は、丸善ジュンク堂書店の新業態で、2階および3階に出店。「知は熱いうちに打て」をコンセプトに、従来の書店が提供する「販売」のみの場を超え、「知」との出会いを軸とした体験型の空間を提供するとしている。
2階の什器は円柱状などほぼ曲線の什器だけでレイアウトされており、「知の森」の中を彷徨うイメージにしているという。
エントランス近くには、森の中を彷徨う前に手に取るしおりを設置し、「問い散歩」を提案。表面に「問い」が記されており、裏面でその問いに対応する、丸善ジュンク堂の書店員によって選書された3冊を紹介している。
書棚はエントランス側から、過去、現在、未来のテーマの順に設置されている。こうした工夫により本棚を通じて新たな世界観や価値観を提示する売場とし、「本を探す」書店ではなく、「本と出会う」書店となることを目指す。なお3階ではジャンル別構成の売場も展開する。
3階には、会計前の書籍3冊を持ち込める有料ラウンジ「magmaLOUNGE」を設置。個人ブースの形で集中できるゾーン「FOCUS」、集中から解き放たれ、リラックスできるゾーン「CALM」を設ける。
そのほか、ギャラリースペースでの展示やコラボイベントを予定。1階から2階、および2階から3階に上がる階段には、著名な作品の一節が並ぶ「言葉の雨」を設置した。取扱商品に関しては、周辺に文具を購入できる店が少ないということから、文具にも力を入れている。
飲食はクラフトビールやタリーズ「&TEA」
Uchu Brewing 虎ノ門は、八ヶ岳の自然の中で宇宙をテーマに醸造されたクラフトビール醸造所「うちゅうブルーイング」の首都圏初の常設店。限定種類含む6タップから注がれる生ビールや、持ち帰り用の缶ビール、グッズ等を販売する。フロアは2階。
タリーズコーヒーは、「&TEA」の旗艦店として虎ノ門ヒルズ店をオープン。タリーズコーヒーでは創業当時から紅茶も販売しているが、&TEAではフルーツを使ったバリエーションティーなどのティーメニューを15種類以上そろえる。また、虎ノ門ヒルズでは店舗限定商品として「ローズ&ピーチティー」「ラム&オレンジシャリマティー」「シトラスハニーティー」「文豪ラテ」を用意する。
BENOIT NIHANT(ブノワ・ニアン)は、銀座に続く国内2号店。世界中の農園を巡り選び抜いたカカオを使用したタブレットやボンボンショコラをはじめ、クッキー缶やフィナンシェなど、ビジネスシーンにも利用しやすいギフト菓子を取り揃える。
ROSE GALLERYは高級バラ専門店で、オリジナル品種のフレッシュローズや、枯れないバラ「タイムレスローズ」(プリザーブドローズ)を取り扱う。
&TEA、BENOIT NIHANT、ROSE GALLERYはすべて1階で、コラボレーション店舗として展開。店舗間に壁などは設置されておらず、シームレスに各店舗を巡ることができる。また、各店舗で商品を購入し、ローズギャラリーでギフトボックスのセットにする「ALL DAYS GIFT」を提供する。
社会課題解決に向けた共創の場「Glass Rock」
森ビルでは、多様な人材や知識が集まり新たな価値を生み出すイノベーションエコシステムの構築を推進しており、虎ノ門ヒルズでも、大企業の新規事業創出拠点「ARCH Tranomon Hills」、スタートアップコミュニティ拠点「CIC Tokyo」、情報発信拠点「TOKYO NODE」などを展開している。これらは、ビジネスの領域におけるイノベーション創出の場としてきた。
グラスロックでは新たに、社会課題解決に向けて企業、行政機関、NPO・NGO、個人などが連携、共創する場として「Glass Rock」を地下1階と地上4階で展開する。
Glass Rockは、「つながる」場、「まなぶ」仕掛け、「ひろげる」発信の3つの機能を提供。4階にはバーカウンターを備えたオープンスペース「Partners Lounge」を設置し、約100社・約300名の法人パートナーと、30団体を超える共創パートナーが日常的に交わり、可能性を探る場とする。また、社会課題解決に向けた実践的なセミナーやワークショップの場としても活用する。
オープンスペースの一角にはライブラリーコーナー「TANA」を設置。会員が推奨する本を並べ、学びやコミュニティを促進する。
地下1階には、法人パートナー、個人メンバーの種別を問わずすべての会員が利用できるラウンジ「Members Lounge」を設置。多様なセクターの人が集まり、対話を重ね、新たな取り組みや実践の機会を提供する共創の拠点とする。シアター形式のレイアウトにも対応し、最大約70名収容可能。音声コンテンツの収録ができる防音のスタジオも備える。
同じく地下1階に、イベントや展示会などを通じて会員の取り組みを可視化する「Gallery」を設置。4月9日から6月30日まで、「サステナビリティの本音~『自分だけじゃムリ』から『自分にもできる!』へ~」をテーマに、企業の統合報告書(企業の戦略やガバナンス、パフォーマンス、将来の見通しなどを開示するレポート)から見る社会課題や実際に取り組む担当者の声を展示する。
Glass Rockの運営主体は森ビルで、運営パートナーとしてヒトカラメディア、コンテンツパートナーとして未来予報が参画する。
また、プログラムディレクターとしてスタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビュー日本版創刊編集長のの中嶋愛氏、アドバイザーとしてデータサイエンティストの宮田裕章氏、共創コーディネーターとしてママそら CCOの小菅隆太氏およびKUMANOMICS 代表取締役社長の橋本直樹氏を招聘。相互に学び合えるプログラムを用意するほか、プログラムの促進に必要な人や団体をつなぐ支援も行なう。