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「Gemini for Google Workspace」で業務効率を向上するコツ グーグルが紹介

Googleはビジネス・企業向け生成AIサービス「Gemini for Google Workspace」の体験会を開催した。同体験会では、Geminiを利用した、メールやアンケート業務、誤字脱字チェックなど、業務効率化と品質向上に役立つ多様なユースケースが紹介された。

Gemini for Google Workspaceは、Google Workspaceで利用できる生成AIサービス。コンシューマー向けのGeminiと異なり、入力した情報は学習に利用されず、セキュリティ保護とコンプライアンス認証(SOC Type-2、ISO27001など)を取得している点が特徴。また、Google Workspaceの各アプリとシームレスに連携。Google Workspaceを通じて作成された各ファイルは、すべてGoogleドライブにアップロードされるため、企業内にある情報資産をそのまま有効活用し、ユーザーの業務を効率的にサポートする。

例えば、Gmailでは、受信した長文メールを要約したり、メールの内容に沿った返信文を自動作成することも可能。メールの処理にかかる時間を大幅に短縮できる。また、Googleドキュメントでは、議事録やレポートなどの文章作成を支援するだけでなく、翻訳や誤字脱字チェックなども行なうことができる。

具体的な活用事例として、Gmailで受信した長文メールをGeminiに要約させるデモでは、Geminiがメールの内容を的確に要約。重要なポイントを分かりやすく提示することで、ユーザーがメールの内容を素早く把握し、メール業務の時間を短縮できることを示した。

Gmailにアクセスし、要約したいメールを開いたのち、右上にある「星」マークをクリックすると、「Gemini サイドパネル」を展開できる。サイドパネルでは、利用頻度の高いプロンプトがサジェストされ、ユーザーは「このメールを要約」をクリックするだけで、メール内容を要約できる。また、100万トークン(PDF 1,500ページ相当)という膨大なコンテキストを扱える点も特徴。

サイドパネルはGmailやGoogle ドキュメントなどで利用できる

さらに、サイドパネルではGoogle ドライブのフォルダ自体を指定も可能で、指定したフォルダ内のデータにGeminiがアクセスできる。一方、Gemini アプリでは現時点でフォルダ指定はできず、単一ファイル(GoogleドキュメントやGoogle スプレッドシートなど)のみをアップロード可能。また、複数の単一ファイルを指定することもできる。

Google ドライブにアップロードされている2つのPDFを要約させる
要約したPDFをGoogleドキュメントに挿入し、ドラフトを作成

アンケート結果のスプレッドシートをGeminiに分析させるデモでは、Geminiがアンケートの回答を自動的に分類・集計し、顧客の声を定量化。サービス改善に役立つ情報を瞬時かつ、容易に得られる。

スプレッドシートを選択し、プロンプトを投稿する
指示通りに出力される。出力された表はスプレッドシートに保存も可能

Gemsは、生成AIの回答精度を左右するプロンプトをテンプレート化し、毎回入力する手間を省くことで、生成AIの利用効率を高める機能。ただし、現時点では共有機能がなく、作成したGemsをメンバーと共有することはできない。共有機能は今後のアップデートで追加予定だが、時期は未定となっている。

Gemsの「カスタム指示」にプロンプトを入力したら、次回からは同じプロンプト不要でやりとりできる

アウトプットの「Gemini」とインプットの「NotebookLM」

Gemsに近いサービスとしてNotebookLMがある。NotebookLMは、大量のテキストデータ(PDF 1,500ページ相当)を処理し、正確な要約や分析を提供することに特化したツール。NotebookLMには組織内のメンバーとデータを共有する機能が備わっており、情報収集能力に特化している点で「インプット専用」といえる。

ハルシネーションが発生しにくいのも特徴。引用先も明示する

一方、Gemsや通常のGeminiアプリは、情報収集よりもアウトプットに特化している。画像生成やインターネット上の膨大なデータへのアクセスを活用し、コンテンツを創造する業務に適している。それぞれのツールの特性を理解し、業務内容に応じて使い分けが大事だという。

プロンプトのコツは「新入社員に指示を出す」イメージで

プロンプトを考える際には、生成AIに具体的な役割や目標、条件、スタイル、出力形式を明確にすることが重要。漠然とした指示ではなく、新入社員に指示を出すようなイメージで具体化することで、AIは精度の高い結果を生成しやすくなる。

さらに、Gemsでは漠然としたプロンプトをGeminiが自動的に具体化し、より適切なプロンプトに置き換える機能が実装されている。

Google Meetの自動議事録も日本語化予定

現在、英語のみをサポート中の「Take notes for me(Google Meet 自動議事録機能)」「Google Vids(動画生成機能)」「Help me visualize(データ視覚化機能)」は日本語化を進めており、Help me visualizeは下期に対応予定。

Google Workspaceのライセンスがあれば、Geminiの標準機能を無償で利用でき、GmailやGoogleドキュメントでのテキスト要約や返信文生成などが可能。一方で、本記事で紹介した事例は、有償版(Gemini for Google Workspaceアドオン)によるもの。PDFやドキュメントの要約・分析、Gems機能、サイドパネル利用には有償アドオンが必要となる。