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ソフトウェア化するアマゾン「Ring」 日本の安全とサブスク強化

Amazonは、セキュリティカメラやドアベルなどの「Ring(リング)」製品の強化に向け、新たなサブスクリプションプラン「Ring Homeプラン」を11月5日から開始した。セキュリティカメラなどのハードウェアを展開してきたRingだが、ソフトウェアやサービスの継続的な進化による製品力向上を目指す狙いだ。

Ring Homeプランでは、24時間連続録画やビデオプレビュー付き通知、長時間ライブ映像、連続視聴ライブ映像、ドアベルコールなどの新機能を追加。使いたい機能に応じて、「Ring Home Basic」、「Ring Home Standard」、「Ring Home Premium」の3プランから選択できる。価格は月額350円~2,380円。

  • Ring Home Basic:月額350円(年額3,500円)
  • Ring Home Standard:月額1,180円(年額11,800円)
  • Ring Home Premium:月額2,380円(年額23,800円)

Basicでは、ビデオプレビュー付き通知や、最長180日間のビデオイベント履歴、人物検知/荷物検知などに対応。1台のデバイスで録画ビデオの再生やスマート通知などの基本機能を利用できる。

Standardは、ドアベルコールや長時間ライブ映像、モード設定などに対応。1つの登録住所であれば複数のRingデバイスで利用できる。長時間ライブ映像では、これまでの最長10分間の視聴から、30分まで拡大し、長時間の見守りなどに対応する。「ペットの見守り」などでの活用を想定している機能だ。ドアベルコールは、ドアベルのボタンが押されたときに、ドアベルだけでなくスマホにも通知が届き、ライブ映像を確認できる機能となる。

Premiumは、Standardの全ての機能に加え、24時間連続録画や、連続視聴ライブ映像に対応。「Ring首振り機能付きインドアカム」(7,980円)などの対応カメラと組み合わせて、常に録画し、最大最長14日間分の映像データを保存できる。

なぜAmazonは、Ringの「サービス」を強化するのだろうか? 10月下旬に来日したRingインターナショナル・マネージング・ディレクターのデイブ・ワード(Dave Ward)氏は、「ユーザーが発明した『新しい使い方』への対応を強化している」と説明する。

安全“だけ”ではない 「Ring」の使い方が拡大

Ringは2013年に創業し、セキュリティカメラを手掛けてきたが、Amazonが2018年に買収した。日本ではやや遅れて2022年から製品投入し、日本市場参入から約2年が経過している

これまでも、Ring製品を購入すると、月額有料の「Ringプロテクトプラン」を一定期間無料で付与していた。この継続率も高かったこともあり、名称を「Ring Homeプラン」に改めるとともに、ユーザーのニーズにあわせて拡充した形だ。

Ringインターナショナル・マネージング・ディレクターのデイブ・ワード(Dave Ward)氏は、Ringの創業以来のミッションは、「家や近隣をより安全にすること」で、カメラとビデオを通じて近隣の安心を提供することを目的にしていた。

実際にRingは多くの市場で受け入れられ、30カ国以上、6カテゴリ、50種類のデバイスなどに拡大してきた。「安全」はRingの目的であり、この点に変化はないものの、ワード氏によれば「Ringの拡大に伴い、セキュリティだけを求めているわけではないこともわかった」という。

Ringインターナショナル・マネージング・ディレクター デイブ・ワード氏

例えば、ペットの様子を見守る、家族との連絡に活用、配達確認に使うなどの用途のほか、自宅で起きたイベントや出来事を友人に共有するといった使われ方も増えており、「ユーザーが新しい使い方を発明している」とする。

デバイスの活用の姿が変化してきたことから、Ringのミッションも「『今』を想う。Ringでつながる(Keeping people close to what's importtant)」に改め、従来のハードウェア拡充だけでなく、「今後10年はサービス志向で展開していく」と説明する。Ring Homeプランで強化された、24時間連続録画、連続視聴ライブ映像などの機能も、こうしたユーザーニーズに応えるべく、準備したものだ。

そのうえで、「大事なことはビデオを介して繋がること」とし、様々なサービスにAIを取り入れていく。すでにビデオの動き検出などで、コンピュータビジョンやAIを活用しているが、今後はユーザーに必要な通知“だけ”を伝えたり、「今見たいもの」を先回りしてオススメするなど、Ring上でのAI活用も強化していく。こうしたAI活用は、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやサービスの強化を含めて実現していく考えだ。

「日本に必要なRing」に

Ring Homeプランで、「コミュニケーション」を強化していく一方で、セキュリティの要素はサービスの「基礎」と位置づけている。

ワード氏は、「残念なことに、日本のニュースで治安が悪化していると聞いた。東京郊外で強盗事件が増えている。Ringは、10年前から人を守り、財産、資産を守ることに貢献してきた。日本の皆様にもぜひ使ってほしい」と強調し、米国で住宅の入口を覗く空き巣を検知し、「出ていけ」と呼びかけて撃退する、Ringで撮影された動画を紹介。「Ringのプロテクト機能は日本の社会にも役に立つはずだ」と語った。

日本においては、2022年に市場参入し、2023年にはRingの販売台数は70%伸びている。Echo Showなど連携するデバイスとのセット利用も増えており、拡大基調で「日本は大事な市場」と語る。

「Ringが目指しているのは、皆さんの大切なもの、家族。ペット、クルマと常に繋がれること。サブスクリプションとハードウェアを一体化することで、最大の価値をもたらし、最高の体験を得られるようにする。そのためにソフトウェアの重要性は増していく」(ワード氏)