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高速道路に自動物流専用空間 無人で24時間稼働
2024年7月26日 12:53
国土交通省道路局は、道路空間を活用した物流専用空間の構築と、無人化・自動化された輸送手法の組み合わせによる、新たな物流形態である自動物流道路の構築を目指す。新東名高速で建設中の新秦野~新御殿場の区間などにおいて実験を行なう。
2024年問題を始めとする人手不足などの物流危機の抜本的解決、カーボンニュートラルへの対応、積替えバリア解消による新しいモーダルシフトの実現、持続可能な道路交通の実現、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保といった多岐にわたる目的を組み合わせたものとして実現を目指す。
道路空間を中央分離帯および路肩などを活用した専用空間の構築、およびデジタル技術を活用して無人化・自動化された、24時間稼働する輸送手法の構築を目指す取り組み。自動化により人的リソースの制約を離れた小口・多頻度輸送が可能となり、物流専用の省スペースで安定輸送につながるとする。
また、輸送と保管を統合したバッファリングで需要の波を平準化することによる、オフピーク活用など物流全体の効率化も見込んでいる。
想定ルートは、物流量が最も多く、国内最大の大動脈である東京-大阪間。また、地方部における人手不足解消の観点から、地方部の物流拠点間での設定も検討する。
新東名高速の新秦野~新御殿場の区間などで社会実験を行なった後、10年後を目途に第一期区間として、小規模な改良で実装可能な区間などにおいて先行ルートの実現を目指す。第一期は、物流量も考慮しつつ、大都市近郊の特に渋滞が発生する区間を想定している。将来的な構想として、東京-大阪間を対象とした長距離幹線を掲げる。
そのほか、モード結節のための物流拠点(JR貨物駅等)間の接続や、都市内物流との連携などを検討する。
実現に向けては、海外事例も参考にする。スイスの事例では、主要都市間を結ぶ総延長500kmの自動輸送カートによる地下物流システムの構築を計画。自動輸送カートを時速30kmで24時間体制で運行する計画で、物流倉庫等で活用されているAGV(無人搬送車)の技術を元に開発を行なっているという。ただしAGVは物流倉庫内での使用が前提のため、外部環境での走行や長距離の走行を想定しておらず、自動物流道路での活用にあたっては速度や耐久性などを含めた技術開発が必要としている。