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富士通とCohere、日本語LLM「Takane」共同開発で戦略的提携

富士通とCohereは、企業の成長や社会課題の解決を支援する生成AIの提供を目指し、企業ニーズを満たす大規模言語モデル(LLM)の開発とサービス提供に向けた戦略的パートナーシップを締結した。共同開発したLLMは富士通がグローバル市場向けに独占的に提供する。富士通はCohereへの出資も行なう。

両社は、CohereのLLMをベースとした日本語強化版である「Takane」(仮称)(高嶺:タカネ)を共同開発する。富士通は、セキュリティ面を担保し、プライベート環境でも社内データを安心して利活用できるLLMとして、9月から富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」から「Takane」を提供予定。今後はクラウドベースのオールインワンオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」やクロスインダストリーで社会課題を解決する事業モデル「Fujitsu Uvance」のオファリングを通してサービスを提供する。

「Takane」は、ハルシネーションを軽減するRAGの性能を引き出すことが特徴。多言語対応で、一から独自のデータを用い学習を行なっているため安全性と透明性に優れるとするCohereの最新LLM「Command R+」をベースに、富士通が持つ日本語特化のための追加学習技術やファインチューニング技術などを合わせ、日本語能力を強化したLLM。

富士通は、知識処理技術の一つであるナレッジグラフの研究開発の実績のもと、企業の多様で大規模なデータをナレッジグラフに変換して、LLMに参照させるナレッジグラフ拡張RAGと、企業や法令などの規則に準拠した生成AIを実現する生成AI監査技術も開発。ナレッジグラフ拡張RAGを7月、生成AI監査技術を9月より「Fujitsu Kozuchi」から提供する予定。

また、8月から「Fujitsu Kozuchi」において提供を予定している生成AI混合技術では、本パートナーシップで開発する「Takane」と様々な領域の特化型モデルや既存の機械学習モデルを部品のように組み合わせ、企業の業務に適した特化型生成AIを自動生成することが可能になる。

「Takane」は、金融、官公庁、R&Dなどの高いセキュリティが必要となるユーザー向けに、プライベート環境で利用できるサービスとして展開予定。