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KDDI、ローソン共同経営へ ローソンは非公開化でGAFA“L“目指す
2024年2月6日 15:24
三菱商事とKDDI、ローソンの3社は6日、三菱商事とKDDIがローソンを共同で経営していく新体制を発表した。資本業務提携契約を締結し、三菱商事とKDDIは、公開買付け等によるローソンの非公開化で合意。KDDIはローソンに対する公開買付けを行なう。三菱商事とKDDIは、ローソンの議決権を50%ずつ保有し、両社は共同経営パートナーとしてローソンを運営する。公開買付けの開始は4月頃で取得金額は約4,971億円。提携開始日は9月頃を予定している。
この提携により、ローソンが展開するコンビニ事業を強化。三菱商事とKDDIは「リアル×デジタル×グリーン」を融合させた新たな生活者価値を創出する「マチの"ほっと"ステーション」の実現を目指す。
ローソンの約14,600店舗に訪れる1日あたり約1,000万人のリアルでの顧客と、KDDIの約3,100万人の顧客のデジタルの接点を掛け合わせ、各社の機能やサービスを接続。ローソン店舗で、生活者の様々なシーンに寄り添う価値を創出し、またグリーン(環境負荷低減)を含む社会が直面する様々な課題の解決に向けた持続可能なサービスを提供する。
ローソンをDX。リモート接客や防災拠点に
リアル領域では、ローソンとKDDI合計約16,800拠点(ローソン約14,600、au Style/auショップ店舗数約2,200)のリアル店舗ネットワークを構築。ローソンの店舗網拡大や機能強化を行なうほか、プライベートブランド商品、Loppi、ローソン銀行ATMなど、au Style/auショップにおけるローソン商品やサービスを取り扱う。
また、ローソン店舗でもKDDIの通信商材や保険サービス、ヘルスケア、エンタメサービスなどを取り扱い。ローソン店舗でのリモート接客などでも協力する。
KDDIの高橋誠社長は、提携の目標として「『命・暮らし・心』をつなぐ、未来のコンビニ」と言及。1.7万のリアル接点で「デジタルをフルに活用していく」とした。リアルとデジタル融合の一例として、「コンビニのお客さまに、専門の担当者がリモートで接客。銀行・保険などの家計サポート、オンラインの服薬指導の窓口、さらにスマホのサポート窓口などができる。生活拠点としてより魅力的なコンビニができるのではないか」と紹介。また、能登半島地震でも活用した「キャラバンカー」でコンビニを巡回するアイデアなども紹介した。
デジタル領域では、KDDIとローソンが持つ会員情報(顧客属性・購買情報など)連携による国内最大級の顧客データ基盤を活用。ローソンの顧客満足度とロイヤリティの向上を目指す。ローソン店舗への送客やKDDIのDX知見や技術を生かした、ローソンの店舗オペレーションの最適化などを目指す。
ローソンの1人あたりの客数は約1,000万で、これにKDDIの契約者3,100万人を連携させ他データ基盤を活かすほか、XRやドローンなどの遠隔地配送などにも取り組む。
なお、KDDIとローソンでは共同で共通ポイントとして「Ponta」を推進している。提携後もd払いやPayPayなどのau PAY以外の決済手段は継続し、dポイント付与についても変更なく、「お客様にとって一番いいものを提供してく考え(ローソン 竹増 貞信社長)」とした。ただし、「こういう枠組みになったのでPontaはもっと強化していきたい」(KDDI高橋社長)とも語った。
グリーン領域は、ローソンへの太陽光パネルの設置や発電などによるCO2排出量削減、ローソンで生じる廃食油を原料としたバイオディーゼルの製造など、サーキュラーエコノミー事業の推進のほか、ローソンにおけるプラスチック容器やペットボトル素材のバイオ系素材への置き換えによるプラスチック使用量削減などを行なう。EV充電スポットやStarlinkや備蓄品を使った「防災拠点」としての展開なども検討していく。
相互連携で経済圏拡大。GAFAMからガーファル(GAFAL)へ?
ローソン店舗というリアル接点を活かしながら、通信を軸にデジタルを強みとしたサービスを展開するKDDIとの連携強化により事業拡大を図る。
ローソンだけでなく、成城石井やチケット販売、映画館運営、旅行業などの「ローソンエンタテインメント」、店舗ATMのローソン銀行とも連携。国内有数の顧客基盤を持つローソンとKDDIが相互に連携することで、店舗網の拡大や、ローソン店舗における通信、金融、ヘルスケアなどの提供サービスの拡充、ポイント経済圏の拡大などを目指す。
三菱商事の中西勝也社長は、ローソンとの20年間の提携関係の中で、様々な施策に取り組み成長を続けてきたが、「生活者ニーズの多様化、少子高齢化などの環境変化の中で、異なる企業でビジョン・戦略を共有できるパートナーが必要と考えた」と語り、KDDIをパートナーに打診した理由を説明。この提携を機会に、「新しい形の未来のコンビニエンスストア事業が可能になる」と語った。
KDDIの高橋社長は提携の意義について、「別にローソンでスマホ売りたいわけではない。通信だけでなく、コンビニもあらゆる業界が、一過性の取引から“持続的”な取引に変わっている。コンビニも“小売”という一過性のものではなく、何度もお店に来ていただける繋がり、そこにはかならず通信やDXの力が必要になる。その発展の力になりたい。直接的なシナジーよりは、通信の力でローソンがより発展して、グローバルに出ていく。それがKDDIの成長につながると考えた」と言及した。
ローソンの竹増社長は、KDDIとの5年の提携関係による信頼関係を強調しながら、「将来像を共有して、お互い追及していける」と言及。この提携に目指す姿を、リアル店舗のローソンから「リアルテックコンビニエンス」になるとした。
リアルテックコンビニエンスでは、日常使いのリアル店舗に加え、「クイックeコマース(QEC)」の拠点としての店舗利用も強化する。竹増社長は、「大手のECでも配送は最速2時間だが、14,000店舗がお店+ECセンターになれば、最速15分で日常生活に必要な3,000SKU(商品)を届けられる。速さを武器にEコマース業界に本格的に参入していきたい。日常使いとQECを強化していく」と説明。そのうえで、エンタメ事業やスーパー事業、金融事業を連携させる。その基盤となるのがテクノロジーで、その領域をKDDIとの連携で強化する狙いという。
竹増社長は、「すべてが繋がった中で、リアルテックコンビニエンスが成り立っていく。KDDIから頂いた提案は、我々の将来にとって大きなサポート・力になる。リアルテックコンビニエンス ローソンになるためにKDDIの力が必要だ。平時は“便利”、15分で必要なものが届く。有事は社会のインフラとして“安心”をお届けする。そこにも通信が必要になる。KDDI、三菱商事とともに作り上げていきたい」とした。
三菱商事の中西社長が「竹増さんは『GAFAM』に対抗して『GAFAL』、ローソンのLだと語っている」と言及すると、ローソン竹増社長は「社内に対して、グローバルテックコンビニエンスの先には、GAFAMがある。アジアのGAFAL(ガーファル)になると公言している。そういう世界を目指していきたい」とかたった。
*GAFAM:Google、Apple、Facebook(Meta)、Amazon、Microsoftなど、ビッグテックと呼ばれる海外の巨大プラットフォーマー