ニュース

目指すは手に取れる自販機? 省スペース出店の無人決済店舗「TTG-SENSE SHELF」

品川駅構内のイベントスペースで、TTG-SENSE SHELFのテスト検証を実施

TOUCH TO GO(TTG)は、商品棚1本から展開できるAI無人決済店舗システム「TTG-SENSE SHELF」を開発し、6月から販売する。それに先立ち2月1日から2月6日まで、JR東日本品川駅イベントスペースにおいてTTG-SENSE SHELFのテスト検証を実施する。

TTGは、2019年3月にオープンした高輪ゲートウェイ駅構内のAI無人決済店舗「TOUCH TO GO」や、ファミリーマート、ANAFESTA、東急ストアなどとの協業により、すでに140店舗ほどの無人決済店舗システムを導入してきた。そうした中、「より省スペースで出店したい」、「食品以外の専門店商材を展開したい」といった要望を受け、より広い業態でAI無人決済店舗システムを活用できるよう、商品棚1本から展開可能なプロダクトとしてTTG-SENSE SHELFを開発した。2024年度で100セットほどの販売を目標にしているという。

TTG-SENSE SHELFの特徴は、自動販売機では不可能だった「利用客が商品を手に取ったり、棚に戻したりできる」という点にある。これにより、これまで自販機では展開しづらかった、雑貨や化粧品、アパレル、箱菓子などを、商品に触れ体感できるようになり、これらの商材に適しているという。今回の品川駅でのテスト検証では、カルビー、グレープストーン、タビオが出店。カルビーとグレープストーンはお土産用の箱菓子などを、タビオは靴下などを販売する。

カルビーの販売ブース
タビオの販売ブース
グレープストーンの販売ブース

TTG-SENSE SHELFは、1ユニットのサイズが900×600×2,500mmで、基本構成は棚ユニット×2とレジユニット×1の3ユニット構成、最小構成は棚ユニット×1とレジユニット×1の2ユニット構成となる。棚ユニットは1ユニット単位で追加、連結が可能。棚ユニットは、常温棚、フック棚、冷蔵棚、冷凍棚を用意。価格は基本構成で300万円、オンラインサポートが月額2万円を予定。システムは買い取りだけでなくリースにも対応する。

ユニットには、運営に必要となるAIカメラなどのシステムを全て装着。また、オプションでデジタルサイネージも装着できる。そのため、出店時の設置工事などは不要で、ユニットを設置できるスペースと電源が取れれば運用が可能。また、ユニットがコンパクトなため、これまで活用が難しかった狭小のデッドスペースを活用した出店を可能としている。

将来的には、パートナー企業と組んでTTG-SENSE SHELFのメンテナンスや商品の品出しまでも対応することにより、出店企業は販売する商品を発送するだけですむような仕組みも構築し、出店者の可能性を広げたいという。

ユニット上部にAIカメラを設置。この他、運営に必要なシステムは全てユニットに搭載されるため、ユニットを設置するスペースと電源が取れれば運用可能
デジタルサイネージも装着可能
棚ユニットには重量センサーが設置され、商品を手にしたり戻したことを高精度に検知
こちらはフック棚。この他、冷蔵棚、冷凍棚も用意
レジユニット
レジシステムは、TTGが運営しているAI無人決済店舗のものとほぼ同等で、現金、交通系ICカード、クレジットカード、コード決済に対応。ただし今回のテスト検証ではキャッシュレス決済のみへの対応となる

利用客が手に取ったり戻したりした商品の判別は、TTGが展開しているAI無人決済店舗のシステムとほぼ同じ。ユニット上部に設置されたAIカメラと棚の重量センサーにより、利用客と、利用客が手に取ったり、棚に戻したりした商品を高精度にリアルタイム認識する。

また、今回のテスト検証では、利用客が商品を手に取ったら、商品を手にしたことを知らせるアナウンスが流れるシステムも設置。同時に、コールセンターでカメラの映像を常に遠隔監視するとともに、トラブル時などの接客対応も遠隔から行なう。これにより、決済時に商品のバーコードをスキャンする手間を省くとともに、万引き行為などのリスクを低減する。

利用できる決済手段は、現金、交通系ICカード、クレジットカード、コード決済などに対応。なお、今回の品川駅でのテスト検証では現金は利用できず、完全キャッシュレス決済での運用となる。

利用客が商品を手に取ると、上部のAIカメラと棚の重量センサーで高精度に認識。棚に商品を戻した場合も高精度に認識できる
テスト検証では利用客が商品を手に取ったら、商品を手にしたことを知らせるアナウンスが流れるシステムを設置。さらにコールセンターでカメラの映像を常に遠隔監視することで万引き行為などのリスクを低減
利用客と、その利用客が手に取った商品が紐付けられるため、レジで商品のバーコードをスキャンすることなく決済が可能
TTG-SENSE SHELFで商品を購入する様子

この他、利用客の移動や、どの商品を手に取ったり棚に戻したかかといった購買行動を確認できるAI分析基盤も用意。これにより、商品の売上だけでなく、顧客の行動も含めた細かな店舗分析を可能としている。

AI分析基盤により、顧客の行動も含めた細かな店舗分析を可能としている

今回のテスト検証に参加したカルビー、グレープストーン、タビオの3企業は、いずれも駅や空港、ショッピングモールなどを中心に自社店舗を構えて商品を販売しているが、人手不足への対応や、営業時間外の販売などが課題となっていた。

また、タビオが販売する靴下などは、実際に手に取って感触やサイズ感を実感することが重要で、購入前に商品を手に取れない自動販売機での販売は難しいと考えていたという。今回のTTG-SENSE SHELFのテスト検証に参画することで、無人決済店舗の効果を見極めるとともに、既存店舗にTTG-SENSE SHELFを追加して省人化を実現したり、これまで展開が難しかった場所への出店にも繋げられれば、と説明した。