ニュース
シャープ、フクロウが風を送るだけのファン まさかの商品化【CEATEC2023】
2023年10月16日 18:04
デジタルイノベーションの総合展示会「CEATEC 2023」が千葉 幕張メッセで17日から開幕する。前日の16日にはプレス向けに一部ブースが公開された。ここではユニークな製品を発表したシャープブースの模様をお伝えする。
CEATEC 2023の開催期間は10月17日~21日。入場は無料だが、会場参加やカンファレンス聴講、オンランセッション視聴などには来場事前予約が必要となる。
フクロウ型ヒーリングファン「はねやすめ」
シャープブースでは、カーボンニュートラル、サステナビリティ、DIGITAL HEALTHCARE、独自技術(ネイチャーテクノロジー)の4つのゾーンを展開。注目はネイチャーテクノロジーで展示された「はねやすめ」だ。
同社では以前から、自然環境や動物の動きなどを製品づくりに活かす生体模倣技術(ネイチャーテクノロジー)を活用してきた。例えば扇風機の羽構造などだ。今回の「はねやすめ」もその延長線上で開発されたものだという。
フクロウの省エネな羽ばたきを「送風」のために使うもので、スタンドの上の大きな翼を持った「フクロウ」と「ミミズク」が羽ばたいて、自然で心地よい風を送ってくれるというシンプルなもの。CEATECのためのコンセプトモデルと思いきや、製品化も予定しているとのことで、2024年度に発売する。価格は5~6万円程度の見込み。
扇風機ではなく、自然で心地よい風を再現するという「ヒーリングファン」という位置づけ。機能としては非常にシンプルで、扇風機は高周波数の風で均一だが、はねやすめは不均一で優しい風を実現でき、心地よさにつながるという。販路としては、家電ではなく、店舗や施設などでの導入を想定している。単純なファンではあるが、心地よい空間設計のために、「はねやすめ」を導入してもらうという狙いだという。
なお、フクロウとミミズクの2種類が用意されており、フクロウがメス、ミミズクがオスでカラーリングや顔の表情を変えている。ただし、ファンとしての機能面での差はないとのこと。
1分で転倒リスクを判定「転倒予防ソリューション」
DIGITAL HEALTHCAREにおいては、転倒予防ソリューションを初出展。人差し指に振動装置を装着し、1分程度目をつぶって手をふることで、自身の「転倒リスク」を測定できるというもの。身体的負担がなく、身体機能と感覚機能を測定でき、改善に繋げられるという。
年齢を重ねると「転倒」による骨折等のリスクが高まる。それを防ぐためには、健康で若いうちからのトレーニングが効果的だという。このシステムでは、足裏の筋力やバランス、振動が止まった場合の体の変化などを解析し、転倒リスクをスコア化して紹介。その対応策などを教えてくれるというもの。
実際に体験してみたが、1分間目を閉じて手を振る動作は少し疲れ、ふらつきも感じる。10歳以上若い結果がでたものの、「筋肉の柔らかさや足裏を使う力が弱い」と評価された。
このシステムは多くの実証を重ねており、セレッソ大阪のファンイベントなどの比較的大きな規模の会場でも紹介している。今後、データの収集や精度の向上のほか、アドバイスの有効性などを懸賞しながら事業化を目指す。
生理用ナプキンIoTディスペンサー
フェムテック関連の参考出展も行なっている。防災備蓄生理用品の有効活用ソリューションとして、10月から静岡県浜松市と共同実施している「生理用ナプキンIoTディスペンサー」と「在庫管理システム」を紹介。
自治体では、防災備蓄品を備えているが、期限が迫ると廃棄する必要がある。その有効活用を図るためのもので、備蓄品の生理用ナプキンの使用期限が1年を切ると、市役所や学校のトイレに配置した「ディスペンサー」に移し、有効活用を図る。
ディスペンサーはIoTによるネットワーク接続機能を有しており、手をかざすと非接触で1枚分だけ生理用ナプキンが取れるようになる。2分間に1枚と制限することで盗難を防ぎ、IoT化により在庫管理できることも特徴という。
広告を見せて、生理用ナプキンが無料、といった類似サービスは民間でも展開されているが、行政には導入しにくい。また、スマホが必須などの制限も自治体での導入では難しいという。そこで備蓄品の有効活用や在庫管理システムを組み合わせたIoTディスペンサーによるサービスを提供。現時点では、浜松市における実証実験を開始したばかりだが、利用者からのフィードバックが非常に多いとのこと。