ニュース

ビズリーチ、GPTで職務経歴書自動作成 スカウト受信数は4割アップ

ビズリーチのCMに出演する吉谷彩子さん

転職サイト「ビズリーチ」に、「GPTモデルのレジュメ自動作成機能」(GPTツール)が追加される。レジュメ(職務経歴書)の内容を効率的に充実させることができるほか、ビジネスパーソンと企業の質の高いマッチング機会を最大化できるとしている。提供開始時点では、iOSのアプリ版のみ。

いくつかの質問に答えるだけで、レジュメが自動生成される機能。GPTツールの性能については、東京大学大学院経済学研究科教授兼東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)センター長の小島武仁氏とUTMDチームとの共同研究により検証。ビズリーチ会員を対象にしたABテストの結果、GPTツール利用者は利用しなかった人に比べて、スカウト受信数が40%アップしたという。

また検証では文面評価も実施。ビズリーチ社のキャリアコンシェルジュ10名に、それぞれGPTツールを利⽤し作成したレジュメ20枚と、そうでないレジュメ20枚をランダムな順で提⽰し、19項⽬の評価基準につき、0〜10の11段階で評価する形で行なった。

その結果、GPTツールの利⽤により、レジュメの品質のバラツキが減少し、悪い評価を受けるレジュメの数が減少。個⼈の⽂章⼒に依存せず、必要な情報を効率的に引き出すことが可能になると結論づけた。

GPTツール性能評価について説明する小島武仁氏

開発の背景には、政府が推進する労働市場改革において、リスキリングによる能力向上支援や成長分野への労働移動の円滑化などが求められており、転職希望者も増え続けている一方で、転職者数は変わらないという実態がある。総務省の'22年の「労働力調査」では転職希望者数は年平均968万人。'22年に実際に転職した人は303万人とコロナ禍前の'19年と比較すると50万人減少しており、過去10年間の転職者数は300万人前後で横ばい。

転職活動で最初のハードルになるのは、手間と時間が掛かるレジュメ作成であるとし、このハードルを解消するため、小さな負荷で、最適な内容のレジュメを完成できるようGPTツールを開発した。

GPTツールは、ビズリーチに登録後、質問(職種、ポジション、業務のミッション、業務領域)に回答するだけで、最短30秒程度で350⽂字以上のレジュメ作成が可能。自動生成される内容は正しい情報ではないケースもあるため、そこから自身で編集し、自身の業務内容として保存する。

左から、画面表示に従って回答すると、業務内容が生成される。その後内容の確認・編集に進み、編集をして保存する

回答から作成までの間にシステム上では、ビズリーチプロダクト内部で回答内容を基にプロンプト(命令)を⽣成し、GPTに業務内容⾃動⽣成のプロンプトを送信。OpenAI提供サービス内でGPTアルゴリズムによって業務内容を⽣成、出⼒し、ビズリーチプロダクト内部で⽣成内容(=⾃動⽣成された業務内容)を受信、レジュメ情報として反映する。

この中で生成されるプロンプトは、ビズリーチがこれまで蓄積してきたノウハウとデータを生かした独自のロジックで構成しているという。

また、会員が質問に回答する際には、ビズリーチ上に蓄積されたデータを基に会員に合った入力内容が推薦される。会員が推薦されたキーワードを選択あるいは入力するだけで、企業やヘッドハンターがスカウト送信の判断を行ないやすい、内容が整理された業務内容を作成できる点を特徴としている。

新機能でレジュメを効率的に作成できることのメリットついてビズリーチ 代表取締役社⻑ 酒井哲也氏は「スキル・経験が⾔語化・可視化され、⾃⾝のキャリアを振り返れる」ことを挙げた。また、スカウトを受け取ることによって「市場価値・将来の可能性を知り、新たなキャリア選択ができる」と説明した。

ビズリーチ 代表取締役社⻑ 酒井哲也氏

また、ビズリーチ CSO 枝廣憲氏は、「レジュメ情報が充実すればするほど、企業から見つけられやすくなり、マッチング機会の最大化に繋がる」と述べた。

ビズリーチ CSO 枝廣憲氏

ビズリーチでは7月6日夜から新CMの放映を開始。これまでと同様、女優の吉谷彩子さんが出演する。

吉谷さんはビズリーチが初めてテレビCMを開始した2016年から出演し続けており、最初の出演の際に「紙にビズリーチと書いてあるだけでイントネーションに関しては特に指示はなかったんですが、いろいろ考えて自分の中で一番しっくりくる“ビズリーチ”の言い方を提案して採用されました」と、当時の思い出を語った。

吉谷彩子さん