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ヤフー、不正な“水漏れレスキュー”広告を排除 2022年度広告レポート
2023年6月13日 19:25
ヤフーは、2022年度の広告サービスの品質向上の取り組みや実績をまとめたレポートを公開した。13日には記者向けに説明会が開催され、JARO(日本広告審査機構)による2022年度の最新の報告書と合わせて、問題のある広告の傾向が解説された。
2022年度にヤフーが広告を非承認にした数は約1億3,356万件。前年度は1億3,266万件で、大きな増減はなかった。入稿数自体は増加しているため、割合は低下した形。同社は広告掲載基準の理解を広める取り組みを行なっており、クライアントの理解や表現の修正につながったとしている。
2022年度下半期は、違反表現を繰り返したり大量の非承認広告を入稿したりするアカウント自体を停止する措置が、3,824件。上半期との内容の違いは、「不正な広告が出稿される懸念」のあるアカウントの非承認が増加したことという。これは、水漏れの修理といった“暮らしのレスキューサービス”の広告を出稿する契約者に対し、本人確認を強化したところ、本人確認に応じないなどの理由でアカウントを停止するケースが増加したことが要因。
“暮らしのレスキューサービス”の広告は、従来はポスティングなどが主流だったところ、近年はインターネット上の広告に移行しており、トラブルが多発していることから政府も注意喚起を行なっている。ヤフーもこうした情勢に合わせて出稿アカウントの本人確認を強化した形となる。
広告素材の非承認理由で最も多いのは、「〇〇ナンバー1」といった、「最上級表示、No.1表示」の広告。前年度と比較して、「医薬部外品、化粧品」の非承認数が減少したことから、2022年度は最上級表示での非承認が過半数を占めている。また広告のタイトルや画像は「最上級表示、No.1表示」で非承認になる理由が大半であるのに対し、動画広告は「ユーザーに不快を与えるような表現」で非承認になる割合が半分近くになる。
ユーザーに不快感を与えるような表現の広告は以前から問題視されており、各業界でも対策が進められている。口(歯)や鼻、おなかなどを拡大するといった、人体の局部を強調するものや、性表現が露骨なものなどが該当し、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)は業界として非推奨とする事例集を公表、ヤフーもこの事例を参考に広告表現の審査を行なっている。
なお、政府は2022年7月、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(透明化法)」の規制対象の事業者として、Google、Meta、ヤフーの3社を指定している。ヤフーは透明化法の指定を受け、報告書を作成して提出したというが、報告内容自体はこれまでの取り組みでカバーできており、特別な追加対応はなかったとしている。
JAROへの苦情 “2段階契約”に注意
JARO(日本広告審査機構)による2022年度の報告書では、テレビやインターネットの広告を含む日常的な広告全般について苦情の傾向が示されている。
JAROの活動は広告に関する一般からの苦情や照会といった相談の受付を起点としている。独自に審査を実施して、法令違反が強く疑われる内容の広告には、JAROの「見解」として「厳重警告」や「警告」を発し、関連省庁や団体、広告プラットフォームへの情報提供といった連携も行なっている。
JAROが受け付けた総受付件数や苦情件数は、コロナ禍でメディアへの接触が増えた2020年度がピークで、減少傾向にある。苦情の件数を業種別にみると、それまで多かった化粧品と健康食品が大きく減少、ゆるやかに増加を続けていた医薬部外品が1位になった。
広告媒体でみるとテレビの広告の苦情件数は4,044件、インターネットの広告の苦情件数は4,001件で、インターネット広告への苦情が減少したことでテレビが1位になっている。
インターネットで苦情が減少したのは化粧品とオンラインゲーム。化粧品は、毛穴などを表示する不快なバナー広告に対する苦情が減少したものの、依然として苦情自体は寄せられている状況という。テレビ広告(CM)の苦情は「顔のアップが不快」などとして「人事募集」の広告が約30倍の209件に上ったほか、「眼鏡・コンタクトレンズ」は特定の広告で連呼する広告が不快として15倍の90件になった。
2022年度に、苦情を元にJAROが調査・審議を実施して「見解」に至ったのは26件。このうち「厳重警告」は7件、「警告」は17件だった。インターネット広告は26件中21件で、大半を占める。
中でもトピックスとして挙げられているのは、“定期縛りなし”“いつでも解約可能”と謳う広告において、実際にクリックしてアクセスすると2段階で契約させる手法。1つめの契約が完了した直後にポップアップ画面などでさらにお得に購入できると提示、2つめの契約は回数や期間の拘束がある定期購入契約になっているいうもので、特定商取引法などに違反する恐れがある。
また、「月額◯◯円」「サブスク」と表示しながら、実際には高額な商品の分割払いの金額だったという例もあり、これらは割賦販売法と景品表示法に抵触する恐れがあるとしている。このほか、根拠が無いかあいまいな「〇〇No.1表示」は優良誤認の疑いが強く、苦情の数は減少しているものの、以前として散見されるとしている。