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GoogleのチャットAI「Bard」、日本語対応で本格展開

Googleは11日、次世代の会話型AIサービス「Bard」で、画像対応や、コーディング機能、アプリの統合などの強化を発表。日本語と韓国語に11日から対応したほか、多言語対応を順次強化していく。開発者会議「Google I/O 2023」で発表した。

Bardは、生成系AI(Generative AI)とテキストチャットにより、様々な情報を得られる会話型AIサービスで、OpenAIのChatGPTの競合とも言える。3月の発表以降、一部ユーザー向けに英語環境で展開してきたが、11日からは招待制ではなく全員が利用可能になるとともに、日本語と韓国語に対応した。180以上の国・地域でBardを展開していく。

Birdが日本語に対応

Bard

「おいしい卵焼きを作るためのコツを教えて」や「夏休みの自由研究のアイデアを出して」といった文章を入れることで、考え方のアイデアやレシピなどを答えてくれる。従来のGoogle 検索のようなWebサイトや画像などを示すだけでなく、質問(プロンプト)に対する、回答や考え方のアイデア、レシピなどAIが回答する。不正確な回答になることもあるが、生産性を高めて、アイデアを加速するための新たな“パートナー”としてBardを提案していく。

「夏にぴったりフルーツドリンクレシピ」のブログ投稿の概要を作って

Bardの大規模言語モデル(LLM)は最新の「PaLM 2」に移行し、高度な数学や推論スキル、コーディング能力などを強化。100以上の言語にまたがる多言語テキストをより多く学習し、難問とされるイディオム、詩、なぞなぞなどのニュアンスの異なるテキストを、さまざまな言語で理解、生成、翻訳する能力が大幅に向上した。

PaLM 2では、コーディングについて、公開されている大量のソースコードデータセットで事前学習され、PythonやJavaScriptなどのログラミング言語を得意とするほか、Prolog、Fortran、Verilogといった言語の特殊なコードも生成できる。そのため、この数週間、コーディングはすでにBardで最も人気になっている。

Bard へようこそ

PaLM 2を採用

LLMのPaLM 2は4つのサイズで提供する。Gecko、Otter、Bison、Unicornの4種類で、Geckoは非常に軽量で、モバイルデバイスでも動作。オフライン時でもデバイス上でインタラクティブなアプリケーションを実現できるという。この汎用性により、PaLM 2は、より多くの方法や製品への導入が見込めるという。

Bard、画像に対応

Bardにおいては、近日中に「画像(ビジュアル)」に対応していく。

例えば、「ニューオーリンズで必見の観光スポットはどこ?」と質問すると、テキストだけでなく、ビジュアルを含めた回答を行なう。

「ニューオーリンズで必見の観光スポットはどこ?」(クリックして再生)

さらに、Bardに尋ねる“プロンプト”がテキストだけでなく、画像を含めて行なえるようになる。そのため、Google レンズの機能をBardに導入した。例えば、犬の写真を使って、Bardに「この2匹について面白いキャプションを書いて」と依頼すると、BardがGoogle レンズを使って写真を解析し、犬種を判別して、数秒でキャプションを生成する。

「この2匹について面白いキャプションを書いて」(クリックして再生)

Bardで人気の「コーディング」も強化。来週から、ソースの引用元を正確に表示するようにするほか、画面表示も「ダークテーマ」に対応。Google I/O会場では、このダークテーマ対応で歓声が上がっていた。

また、エクスポートに対応。Googleの学習環境である「Google Colab」のほか、Replitへのエクスポートに対応予定。

GmailやDocsなどとBardが連携。Adobe Fireflyも

Bardでは、メールやドキュメントの下書きに使われることも多いため、新たに2つのエクスポート・アクションを追加。Bardの回答をGmailやDocsにすぐに移動できるようになる。

Bardの回答をGoogleドキュメントにエクスポート

今後は、Docs、Drive、Gmail、Mapsなど、Googleのアプリケーションやサービスの機能をBardの体験に統合していく。

また、Bardは、外部パートナーとも連携していく。数カ月後には、アドビによる生成AIモデル「Adobe Firefly」をBardに統合し、アイデアを簡単に画像に変換し、Adobe Expressで編集したりデザインに加えたりできるようになる。

Adobe Fireflyは、プロンプト(テキスト命令)を入力して、画像生成する機能などを持っているだけでなく、モデルの学習にAdobe Stockの画像や、オープンライセンス、パブリックドメインのコンテンツなどを利用しているため、著作権の不安なく企業利用ができる点が特徴となる。

Adobe Fireflyと連携(クリックして再生)

例えば、Bardに「ユニコーンとケーキの画像を作って」と頼むだけで、アドビの品質と権利管理に沿った画像を、数秒以内に生成してくれる。今後Adobeだけでなく、Kayak、OpenTable、ZipRecruiter、Instacartなどとの連携を予定している。