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メルカリ、ビットコイン取引に参入。日本の暗号資産を拡大
2023年3月9日 12:00
メルカリ子会社のメルコインは、3月9日からメルカリアプリ内でビットコインの売買ができる新サービスを開始する。メルカリアプリで、本人確認済みの人が対象となり、段階的に申し込みを受付する。
メルカリアプリで完結し、使わなくなったモノを将来の資産に替えるビットコイン取引サービス。メルカリアプリから最短30秒で申し込みが完了し、すぐにビットコインの売買を始められる(審査が必要)。
金融機関からチャージした残高のほか、「メルカリ」の売上金やポイントを活用して1円からビットコインを購入でき、少額から暗号資産取引を始められる。なお、20歳未満と75歳以上の人は利用できない。
保有しているビットコインの評価額や価格変動は、メルカリの[マイページ]から確認できる。また、ビットコインを売って得たお金はメルペイ残高に移せ、メルカリ内・外での買い物に利用できる。登録手数料やサービス利用手数料、入出金手数料は無料。スプレッド(ビットコイン購入価格と売却価格の差)は、片側1%、両側2%程度となる。
なお、メルカリ以外の外部サービスへのビットコインの入出庫や送金には対応しない。
機能としてはシンプルなもので、マイページから現在の運用額をチャートで確認できるほか、1円単位からビットコインを購入可能。運用額を「円表示」としているのも使いやすさを考慮してのもの。
現時点では、ビットコインで直接メルカリの商品購入はできず、一旦ビットコインをメルカリに変える必要がある。将来的にはメルカリでのビットコイン決済への対応も検討していく。また、ビットコイン以外の暗号資産については、今後の利用状況を見ながら検討していくという。
ビットコインの取り扱いにあわせて、セキュリティ体制も強化。メルカリグループの各種サービスで今後実装を推進するパスワードレスの生体認証(FIDO認証仕様に基づく)を、今回メルコインで導入。より堅牢なユーザー認証を実現するという。なお、顧客資産はメルコインが分別管理する。
暗号資産では、マイニングによる電力消費など環境負荷の課題もある。メルコインにおいては、ビットコインの取引量の数に応じて、カーボンオフセットを行なうなど、CO2排出量削減にも取り組む。
市況が悪い中、メルカリが暗号資産に参入する理由
暗号資産市場は、昨年秋のFTX経営破綻や日本からの暗号資産取引所の撤退など、決して好調とは言えない状況が続いている。また、現在の国内暗号資産の口座数は約630万で、その内稼働口座は約370万と、日本において普及が進んでいるとはいい難い状況ともいえる。
一方メルカリは、将来的に「モノ」だけでないデジタル上の資産も含めた「価値が循環するマーケットプレイス」を目指している。モノ以外への対応強化に向けて、今回メルコインが暗号資産交換業としてサービスを開始。ビットコインを身近にし、国内の暗号資産利用者数を広げていく狙い。
メルコインの中村 奎太CPOによれば、日本での暗号資産所有割合は4.0%で、世界で27位。利用者数は限定的だが、保有者は積極的に使う傾向があり、NFTマーケットプレイスの「OpenSea」の国別トラフィックでは日本は2位(6.2%)となっている。そのため、日本における機会は大きいという。
日本で暗号資産が普及していない一因として、暗号資産はボラティリティ(価格変動)が高く、暗号資産を保有していない人にとっては、投資は「難しそう」「怖そう」といったイメージがある。また、口座開設手続きが面倒で、初心者が投資を始めるハードルとなっている。
一方、メルカリは、ユーザー数が4,800万人、月間アクティブユーザーも2,000万人とすでに大きな会員基盤を持っている。そのメルカリアプリ上で暗号資産が扱えるほか、メルカリで本人確認済みであれば30秒で申し込め、売上金でカンタンに始められる。「暗号資産やブロックチェーンを始めるきっかけになるサービス」(メルコイン 中村CPO)と位置づける。
メルカリ 執行役員 CEO Fintechの山本真人氏も、「はじめやすさ」が他のサービスとの大きな違いとし、「数クリックで始められるというハードルの低さ。またお客様がすでにお持ちの残高を使えるので、お金を移すハードルが低い」と強調する。
今後の暗号資産の追加については、ユーザー調査では複数の暗号資産があるとわかりにくさを感じるため、当面はビットコインのみとし、今後の利用状況や反応を見ながら検討していくという。
ユーザー獲得目標は示していないが、事業としては「メルカードに近い」(メルカリ 山本氏)としており、「メルカリ利用者のごく一部だけが熱狂的に使うものにするのではなく、すべてのメルカリのお客様が使っていただけるものにしたい。また、最初はメルカリ利用者が多くなるが、将来的にはメルコインを最初に使ってから、メルカリの取引を使っていただくなど、メルカリグループのサービスのどこからを入口として入ってもいいような形にもっていきたい」という。