ニュース

レベル4解禁で加速するドローンビジネス「docomo sky」

NTTコミュニケーションズは、docomo businessで展開するドローン事業「docomo sky」について、記者会見とデモを行なった。ドローンについては、12月5日から改正航空法が施行されレベル4飛行(目視外・有人地帯飛行)が可能になったことから、ドローンビジネスの市場拡大が期待されており、NTTコミュニケーションズはdocomo skyによってドローン事業を推進していく。

docomo skyは、モバイルネットワーク、ドローン機体、プラットフォームの3つから構成される。特に、目視外の長距離飛行については、上空でのLTE通信が必須であり、これを「LTE上空利用プラン」として提供。LTE対応の「セルラードローン」として、Parrotの「ANAFI-Ai」の取扱いも開始する。

Parrot「ANAFI-Ai」

合わせて「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス」を提供することで、より制度の高いレベル4飛行を実現する。

ドローン機体については、すでに橋梁などのインフラ点検、施設内での巡回、農業用途での利用については実用化が始まっており、物流、災害対策、より高度なセキュリティを備えたセキュアドローンなども実証実験を通じて実用化を進める。

会場では、インフラ点検、巡回ソリューション、農業、物流ソリューション、LTE回線での遠隔操作などについてデモが行なわれた。

インフラ点検では、Skydioのドローン「Skydio 2+」を利用。GPSに頼ることなく画像認識で飛行が可能で、屋内・屋内問わず高精度な飛行が可能になる。特に橋梁の下などはGPSが届きにくく、画像認識によって自己位置を正確に把握して飛行できるメリットは大きい。実際に橋梁や鉄塔などの点検で活用されており、橋の橋脚などを3Dスキャンによってマッピングして記録し、経年劣化の状況などを記録することも可能。

「Skydio 2+」。各所に画像認識用のカメラを搭載して自己位置を認識する
会場に設置されているラグビーの練習用具を3Dスキャン
スキャン対象の範囲を設定すれば飛行経路などは自動で算出して飛行する
事前にラグビー場にある電光掲示板をスキャンしたもの。高精度にスキャンされている

巡回ソリューションでも同じくSkydioのドローンを使用するが、こちらは発着用のドローンステーション「Skydio Dock」を使用。Skydio 2+を内蔵可能で、巡回時間が来ると自動でDockから発進し、巡回。巡回が終わったら着陸してDock内に収容され、充電も行なわれる。これにより完全に無人での巡回業務が可能になる。

Dockから出動するSkydio 2+
ドローンから送信される映像
2階の通路を飛行して巡回

農業用途では、実際に北海道のジャガイモ畑での除草作業が行なわれている。広大なジャガイモ畑に生えてくる雑草は、通常、農家の人が目視で除草を行なうが、これをドローンにより自動化。まずは撮影用のドローンで畑全体を撮影していき、撮影された画像をAIで解析することで、雑草が生えているカ所を特定できる。雑草が生えているところにピンポイントで除草剤を散布することで除草剤のコストも抑えられる。トラクターや小型散布ロボットなどとの連携も可能。

屋外デモの会場となった「浦安Dパーク」
農薬のかわりに水を散布
農薬用タンクを装備

物流ソリューションとしては、docomo IoT高精度GNSS位置情報サービスを使った位置情報により、高精度な移動をデモ。会場となったラグビー場「浦安Dパーク」を利用し、離陸からラグビーのゴールポストまでボールを運んで移動、再び離陸した場所に正確に帰還するデモが行なわれた。

ラグビーボールを乗せて離陸
写真ではわかりにくいがゴールポストの間を飛行している
離陸した場所に正確に戻って着陸する
デモで使用されたドローン「QUKAI QUAD」

LTE回線を使った遠隔操作のデモでは、浦安Dパークから埼玉県の大宮区に設置したドローンをLTE回線経由で操作する様子をデモ。現地のドローンの映像をリアルタイムで受信しながらほとんど遅延の感じられない操作の様子を公開した。

埼玉県大宮区にあるドローンをLTE経由で遠隔操作
会場には国産ドローンの「SOTEN」も展示
島嶼での物流実証実験に使われているQUKAI「FUSION 2.0」