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楽天モバイル「0円」終了。7月からは最低1078円

楽天モバイルは、携帯電話の料金プランの見直しを発表した。これまで月間1GBまでは無料、1GB~3GBが1,078円だったが、7月1日からスタートする「Rakuten UN-LIMIT VII」では1GB未満も1,078円となり、「0円」が終了する。

既存の「Rakuten UN-LIMIT VI」ユーザーも7月1日から自動的に移行される。ただし4カ月間は移行期間として、1GB以下の利用でもポイントを付与し、月額実質0円とする。

0円終了以外は大きな変更はなく、3GB超~20GBが2,178円、20GB超が3,278円。0円終了にあわせて、楽天グループ内でのポイント付与率向上などの施策を行ない、楽天グループサービスでの連携を強化していく。

黎明期から成長期へ、注力ポイントを変更

楽天モバイル 代表取締役会長の三木谷浩史氏は、au網へのローミングから切り替えた後もエリア展開が順調であることや、完全仮想化の技術が運用できていること、料金の低廉化に貢献していることなどを指摘した上で、MNO契約を中心に580万回線を突破したことを紹介。黎明期を終えて成長期に入るとし、今後注力するテーマとして「さらなる品質向上」「早期黒字化」「サービス拡大」の3つを挙げた。

楽天モバイル 代表取締役社長の矢澤俊介氏は、コロナ禍の過去1~2年でスマートフォンの利用傾向が大きく変化し、具体的にはデータ通信量の増加が顕著になっていることを紹介した上で、「来年、再来年には5Gがスタンダードになる。大容量時代がやってきてから準備したのでは遅い」と指摘。メインテーマは、5Gが当たり前になって100GBや200GBを使う時代に安いことであるとし、ワンプランで上限が月額2,980円(税込3,278円)という特徴を維持しながら、来るべき5G時代に対応していくとした。

矢澤氏は「どんな大容量でも2,980円。5Gが来てもこれは変えない」としたほか、三木谷氏も「十分に採算ラインで、当面は続けていく」という方針を表明している。

0円が消えポイント還元強化 楽天経済圏に編入

一方で、楽天モバイル全体では、サービス拡充やポイントアップによる楽天経済圏との連携強化など、比較的シンプルだったサービスの強化を図り、“0円利用”がなくなってもお得感を感じてもらえるようにする、というのが、料金プランの内容の変更を含めた新しい取り組みのねらい。

ポイントについては、これまで楽天モバイルは楽天経済圏との連携が弱く、矢澤氏も周囲から指摘されていたという。今回発表の連携強化は、料金プランの内容が変更される7月より前の、6月1日から先行して実施される。楽天モバイルのユーザーは楽天カードなどを併用することで、楽天市場での買い物がポイント最大で6倍になると謳う。

ほかにも楽天マガジンやRakuten Music、NBA Rakuten、パ・リーグSpecialと言った楽天グループのコンテンツの初回契約無料期間を31日や3カ月といった長期間に設定、無料期間終了後も利用料の割引や大幅ポイント還元を恒常的に行ない、楽天グループとの連携を進めていく。

Rakuten Linkをスーパーアプリ化

利用率が非常に高いという通話・メッセージサービスの「Rakuten Link」は(LINEのような)スーパーアプリ化を図る。楽天グループのさまざまなサービスへの窓口としてすでに送客実績が高いとしているほか、新サービスとして楽天ドメイン(@rakumail.jp)のEメールサービスを7月1日から提供。ほかにもRakuten Linkでのメッセージ削除機能やデスクトップ版の提供、ミニアプリの拡充、パズルなどリッチゲームの提供など、さまざまな拡充を図る。有料オプション(月額1,100円)でOS標準の通話機能向けの「10分(標準)通話かけ放題」サービスも、時間を15分に拡大し、初回3カ月を無料とする。

またRakuten Link以外でも、これまで提供されていなかった、フィルタリング機能などを提供する保護者向けの有料オプション「あんしんコントロール」を年内に開始予定。

さらに楽天モバイルの法人向けサービスも10月に開始する予定。法人向けプランや法人専用のRakuten Linkでアプリ同士は国内通話0円などの特徴を訴求していく。

楽天経済圏でメリットを提供

三木谷氏は楽天モバイルをワンプランで提供することにこだわっており、データを大量に消費する時代がきても、上限が税込3,278円であるというプランの内容に自信をみせている。

一方で、楽天グループとして楽天経済圏の活性化に貢献することもまた重要な課題で、「0円」を終了させて1,078円からとなっても、ポイント還元やサービス強化を通じてメリットを提供していく、という方針に切り替えた形。「0円だと、無理矢理1GB以内に収めようとして苦労していた人もいるのではないか。そうしたことは不要になり、Wi-Fiの契約もいらなくなる」などとして、家庭単位では通信料金の低廉化に貢献できると謳う。

580万回線という現在の規模も、「1,000万、2,000万、3,000万と狙っていく」(三木谷氏)と目標を掲げている。

「楽天モバイルはモバイルにおける新人類。(疑問視された)完全仮想化も成功例になりつつある。既存の考え方のモバイル会社は、今後ビジネス的に難しくなってくのではないか。今日発表してきれていないものもある。付加価値を上げて、できるだけ安くして、エコシステムを発展させていく」(三木谷氏)

なぜ自動移行? そのままだと禁止されている「囲い込み」に該当

楽天モバイルではワンプランにこだわっていることもあり、「Rakuten UN-LIMIT VI」を契約している既存ユーザーは、これまで0円で利用可能だった料金プランが自動的に変更され、0円で利用できるなくなる点に注意が必要。

今後、周知徹底されるものと思われるが、これは電気通信事業者法の第27条に抵触することを避けるための措置。新プランの内容は総務省にも報告済みとしている。

電気通信事業者法の第27条は、通信サービスの競争関係を阻害しないようユーザーの囲い込みを禁止している。0円運用が可能な「VI」の内容の新規受付を停止し、その内容を維持したままにする(VIIと共存させる)と、0円運用ができない「VII」のユーザーと比較して、規定を超えて大きく有利になり、これが禁止されている過度な「囲い込み」に該当するため。