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ソニー、BD技術を応用した細胞“分取”システム 細胞免疫治療法に活用

ソニーは、癌や自己免疫疾患などの新しい治療法として注目される、細胞免疫治療法に必要な細胞薬製造に使う細胞を、高精度かつ高純度で分取可能な閉鎖型構造のセルアイソレーションシステム「CGX10」を秋に発売する。

開かれた空間で細胞を分取する従来型の方法と異なり、外気に触れない閉鎖空間内で行なえるため、滅菌状態を維持しながら細胞を分取できる。

細胞免疫治療法は、手術療法、放射線療法、抗癌剤治療に続く第四の癌の治療法として注目される治療法。癌治療の他にも糖尿病やリウマチなどの自己免疫疾患にも効果があるとされるが、高い効果を得るには細胞を高精度かつ高純度に分類することが必要になる。

4つのレーザー(405nm/488nm/561nm/638nm)照射により得られる細胞種類を特定するための10個のパラメーター(特徴)に基づいて、大量の細胞を分類。同社のブルーレイディスク製造技術などを応用して開発されたもので、1秒あたり1万5,000個の分析処理速度の場合、約97%の細胞分取純度を実現している。

分取を行なうチップ

分取原理は、液体の制御を適切に行なうことで、細胞のダメージを最小限に抑える設計とし、高い生存率維持が期待できる。これにより、細胞分取後の培養工程や細胞薬の製造工程の効率化に貢献する。

また、消耗品は使い捨てで、例えば、検体に触れる液体制御用のチュービングキットは、患者ごとに使い分けができ、検体の相互混入を防ぐことができる。

消耗品

液晶パネルによるタッチ操作も特徴で、直感的な操作が可能。操作時にゴム手袋などをした状態でもスムーズに操作できる。

本機は、細胞治療や再生医療等の分野における治療の開発のための研究や、細胞薬製造プロセス開発への活用、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準に適合する細胞製造への展開も期待できるとしている。