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メルカリ、ネットショップ事業参入。「メルカリShops」スタート
2021年7月28日 11:30
メルカリのグループ会社ソウゾウは、7月28日からスマホでネットショップを開設できるEコマースプラットフォーム「メルカリShops(メルカリショップス)」をプレオープンし、EC化支援事業に参入する。
「メルカリShops」は、「かんたんで、売れる」をコンセプトに、スマホ1つでネットショップを開設し、ショップ運営者が商品を販売できる、Eコマースプラットフォーム。メルカリに出品するのと同じ操作で、「メルカリ」アプリ内にネットショップを開設できる。
メルカリ内でショップを展開できるため、独自の集客なしでメルカリの月間1,900万人超のユーザーに届けられる点が特徴。クリエイターのハンドメイド作品や農家直送の野菜・果物、まちの飲食店のグルメなど、直接生産者や作り手などから「メルカリ」アプリで、様々な商品が購入できるようになる。
プレオープン時点では、先行出店へ申し込んだショップ運営者のみが出店可能。初期費用や月額利用料などは無料で、手数料はメルカリと同様に販売価格の10%となる。
メルカリShopsでは専用のアカウントが用意され、個人と事業でアカウントをわけて管理できる。また、商品の色やサイズ、各在庫数の設定など一括で設定画面で行なえるなど、出品・在庫管理向けの機能を充実している。また値下げ交渉なしで販売可能となる。
メルカリShopsの商品購入者はメルカリアプリ内の「ショップ」タブや検索画面から商品を購入できる。一方、メルカリShopsでは匿名配送が利用できないなど、一部メルカリと異なる部分もある。
BASEやShopify、minneなどEC支援サービスは他にもあるが、メルカリShopsと他サービスとの違いについて、ソウゾウ 石川佑樹CEOは「かんたん・うれる」と強調する。
メルカリにはすでに1,900万人以上のユーザーがいて、老若男女幅広い世代のユーザーがアクセスできる。また、フリマと同様にAIによるマッチングを導入するため、必要な人に最適な商品を届けられるという。
加えて、出品の流れは従来のメルカリとほぼ同じなので、多くの人がすでに出品を体験しているため、「始めやすい」という点も特徴とする。
なお、要冷蔵の食品類は、2021年中に予定しているクール便の提供開始後に販売可能になる。また、2021年中には、メルカリアプリ外にも独立したウェブサイトとしてネットショップを開設できる機能も提供する予定。
9月に予定している本格提供に先駆け、28日から主にクリエイターや生産者・小規模事業者などを対象とした先行出店の受付を開始する。所定の手続きと審査の後、メルカリShopsに出店可能となる。
初期の注力ジャンルは、「フード・食品」「クリエイター」。
フードは、農家・漁師や、コロナ禍で困っている街の飲食店、観光客減で困っている地方の特産品などを想定。クリエイターは、手作りのハンドメイド商品や個人のアパレル、雑貨ブランドなどを想定。「作り手から直接買う」という体験の拡大を目指す。
また、8月2日からは購入者を対象とした「実質半額キャンペーン」も開始。期間は8月30日までで、期間中に「メルカリShops」で商品を購入し評価を完了すると、合計購入金額の50%分のポイントを対象者にもれなく付与する(期間中合計5,000ポイントまで)。
メルカリ第4の柱に
ソウゾウ代表取締役CEOの石川佑樹氏は、メルカリの登場により、ネットでのモノの売り買いを「かんたん」「売れる」ようにしたと説明。エスクロー決済やAIによる価格サジェスト、データ入力、メルカリ便などのわかりやすい配送手段の導入で、ネットでの物のやり取りは、PCを中心とした「一部の人」のものから、年齢・性別を問わずに誰でも利用できるようになったとする。
2020年以降のコロナ禍では、飲食店や卸先を失った漁師など、小規模事業者の事業が困難に見舞われた。一方で、より多くの人がECでものを買うようになるなど、コロナ禍により、EC周辺で大きな変化が起きている。
ただし、小規模事業者のEC化率は6.7%とEC化が全く進んでいないこと、そしてECサイトを立ち上げても「売れていない」などの課題が残されている。理由としては、「管理できる人材がいない」「ITに関する知識がない」といったものが多く、またECを立ち上げても「集客のノウハウがない」という課題もある。
こうした課題を解決し、メルカリの強みを生かして大きな需要を取り込むのが「メルカリShops」の狙い。
メルカリの山田進太郎 代表取締役 CEOは、「メルカリを個人だけでなく、事業者を含む全ての人のマーケットプレイスに進化させる」と説明。メルカリグループ第4の柱を目指し、メルカリ全体の中長期の成長につなげていく」とした。また、海外展開については、「決まったことはないが、メルカリ第4の事業にすべく、機会を生かしていく」(ソウゾウ石川氏)とする。
競合に対しては、「かんたん」「売れる」の2点を磨いて、ユーザー数を伸ばしていく考え。メルカリと同じ出品体験で使えるため、特に小規模な事業者におけるユーザー拡大を目指す。「規模を限定する意図は無いが、はじめはスマホだけなので、多品種・多機能な出品や、自社ECサイトを持つような大規模な事業者の対応は今後の検討課題」とした。
なお、競合となるBASEとは、かつて資本業務提携していたが、2020年7月に株式を売却しており、「本件とは関係がない。コロナ禍でのメルペイ加盟店の困窮など、メルカリの強みを生かして事業課題を解決できるのではと考えた」と説明している。
また、株式会社ソウゾウは、以前も同名の会社で事業展開し、「メルカリアッテ」などの多数のサービスを手掛けていたが、一旦解散している。今回のソウゾウについては、長期的な投資として、採用や開発を行なっていく。
メルカリShopsのユーザー数や流通金額などの目標は非公開。「メルカリの中の商品バリエーションを増やし、購入する人や商品の幅を増やしていきたい。これまでメルカリで買わなかったものが買えるようにしたい」(石川CEO)とした。