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有給休暇の取得義務化、4社に1社が否定的。エン・ジャパン調査
2019年5月8日 18:49
エン・ジャパンは、運営する人事向け総合情報サイト「人事のミカタ」を利用している企業を対象に「有給休暇の取得義務化」についてアンケート調査を実施。4社に1社が義務化に否定的という調査結果を発表した。
アンケート調査は、人事のミカタを利用している企業610社。社員数の内訳は610社中、1名から49名が218社、50名から99名が121社、100名から299名が151社、300名から999名が81社、1,000名以上が39社。インターネットによるアンケートで、調査期間は2月27日から3月26日。
有給休暇の取得義務化の認知度は、「内容も含めて知っている」が63%、「概要を知っている」が33%と、96%が知っていると回答。
義務化についての印象は、「非常に良いと思う」が23%、「まあ良いと思う」が50%と肯定的な回答が73%である一方、「あまり良いと思わない」が21%、「良くないと思う」が5%と、否定的な回答が26%となっている。
否定的な意見の理由として挙げられているのは以下のとおり。
- 個人の有給の取得予定は不明なことが多く年間計画が立てにくい。さらに、元々休日が多く少人数なので生産性が上がらなくなる。(流通・小売関連/1~9名)
- 有給休暇が10日程度の社員は、5日の有給休暇取得義務により、個人の病気等に使える有給休暇が減ってしまう。(広告・出版・マスコミ関連/10~29名)
- サービス残業やサービス出勤、持ち帰り残業など、ブラックな形態が増えるだけだと思う。(福祉/100~299名)
- 翌年に繰り越して長期休暇を取るなどの自由度を奪う。(IT・情報処理・インターネット関連/300~999名)
肯定的な意見の理由としては、「働く側として当然の権利」(医療関連/30~49名)、「組織体系や業務量の見直しに繋がる」(サービス関連/100~299名)、「取得が進まない現状では『義務化』は一助になる」(商社/300~999名)、「働き方を見直すひとつのきっかけ」(メーカー/1,000名以上)という意見が挙げられている。
「現在、有給取得を促進していますか?」という質問に対しては、全体の70%が「促進している」と回答。
上位は「金融・コンサル関連」(促進している:100%)、「商社」(同79%)、「IT・情報処理・インターネット関連」(同77%)、下位は「広告・出版・マスコミ関連」(促進していない:36%)、「流通・小売関連」(同34%)、「不動産・建設関連」(同27%)。「促進していない」という回答は、企業規模別では「100~299名」(28%)が目立つとしている。
「促進している」理由として多いのは、「社員の満足度向上のため」(67%)、「社員の健康のため」(58%)が過半数、次いで「有給取得の義務化の法に準拠するため」(42%)となっている。
有給の取得義務化にあたり、難しい点や課題については、「人員不足」(65%)、「業務量が人に偏っている」(60%)が多いほか、「社員が有給を取得したがらない」(31%)、「管理職のマネジメント不⾜」(30%)、「職場に有給を取得しづらい雰囲気がある」(27%)、「社員の能⼒不⾜」(11%)などがある。
「有給休暇の取得義務化に、どう対応しますか?」という質問に対しては、「有給休暇の計画的取得」、「有給休暇取得のための周知・啓発」が80%を超えている。