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最新住設は結構すごい。生け花空清、足場になる宅配ボックス、風に強いソーラーパネル

12月12日から14日まで、東京ビッグサイトで「住宅・ビル・施設Week」と題した住宅・ビル設備関連の4つの商談・展示会が開催されている。近年のトレンドを反映して「AI・スマート住宅EXPO」や「スマートビルディングEXPO」などが開催中で、最新の住設を体感できる。

AI・スマート住宅EXPO

商談が目的のイベントのため、展示内容は業界関係者向けではあるものの、一般の消費者にとっても目新しい、近い将来身近なるであろうアイテムが盛りだくさん。その中から、気になった製品をピックアップしてみた。

光触媒技術のみで強力脱臭。花を飾ったりできるドーナツ型も

ひときわ目をひくユニークな形の空気清浄機を展示していたのは、歯磨き粉からバイク用スプロケットまで、幅広い分野の製品を手がけるサンスター。「QAIS air」(クアイス エア)と命名されたこの空気清浄機は、設置場所の広さや用途に応じて円筒型、自立式、ドーナツ型の3タイプが用意される。

サンスターが展示していた新技術による空気清浄機「QAIS air」

円筒型の「据付タイプ」は、床置き、壁掛け、天井固定などが可能。自立式の「床置き稼働タイプ」はキャスターで自由に移動しながら使える。この2つは120m3までの空間(部屋の広さ目安は20畳前後)に適し、商業・医療施設などに向いた製品としている。

円筒型の「据付タイプ」。床、壁、天井に固定して使える
キャスター付きの自立式「床置き稼働タイプ」

もう1つのドーナツ型は「マルチフォーム」と呼ばれ、60m3までの空間(同10畳前後)に適した小型な家庭向け製品。凹んでいる中央部分に花を飾ったりもできるインテリアになじみやすい形をしている。照明と一体化させて使ったり、時計と組み合わせたり……といったアレンジの仕方も提案している。

ドーナツ型の「マルチフォーム」

性能面では、グループ会社がもつ独自の光触媒技術のみで強力な除菌・脱臭を実現しているのがポイント。従来も光触媒を用いた空気清浄機は存在したが、もともと光触媒による空気清浄能力は高くないため、それ以外の複数の技術を組み合わせるのが一般的だったという。展示ブースでは濃厚な匂いを放つ鰹節を近づけて脱臭するデモを行なっており、電源を入れると即座に全く匂わないフレッシュな空気が出てくるのがわかる。

下から空気を吸い、上からフレッシュな空気が出てくる。鰹節の香りもきれいに取り除かれていた

ボイスコマンドによる操作、スマートフォンなどと連携した動作スケジュールの設定など、スマートホームデバイスとしての機能も現在検討中。病室に設置し、患者が身体を動かせない状態でも声で命令して看護士を呼べる、といった機能も考えられるとしている。据付タイプは2019年9月に発売予定。床置き稼働タイプとマルチフォームの2つは2020年の発売を計画している。

足場にも使えるアナログ方式の宅配ボックス

上に乗っても問題ない頑丈な宅配ボックス

ネット通販の拡大で宅配ボックスの有用性に再び注目が集まってきている昨今、住設メーカーなどがスマートフォンやクラウドと連携した高機能な宅配ボックスを開発するなか、簡単に導入できるアナログな宅配ボックスを展示していたのが、大阪に本社を構える北恵という企業。

「HOUSE BAGGAGE」と呼ぶこの宅配ボックスは、同じく大阪の企業である城東テクノが商品展開していた、住宅の基礎部分の段差を解消するためのステップをベースに共同開発したもの。全体に樹脂を用い、耐候性に優れるほか、金属製のボックスより中に熱が伝わりにくいメリットもある。元々がステップだったこともあって上に乗るのも全く問題ない頑丈な構造で、宅配ボックスとして使わないときは足場やベンチとしても使える一石二鳥な製品だ。

「HOUSE BAGGAGE」

サイズは大小2種類用意され、最大受け取りサイズはどちらも480×480×270mm。付属の南京錠で鍵を閉められるようになっている。使い方は、鍵を外した状態にしてボックス内に印鑑と一緒に入れておき、宅配物を届けに来た業者の人が印鑑をついて鍵を閉める、というアナログな手順。

印鑑の盗難が気になるかもしれないが、北恵の開発担当者によると、自宅エリアの配送を担当している宅配業者の事業所に印影をあらかじめ伝えておけば、名前以外の印影(「受領印01」のような盗難されても悪影響のないもの)でも問題なく使えるとの確認が取れているという(ただし、その事業所の判断によっては使用できないこともある)。

サイズは2種類。受け取り荷物の最大サイズは480×480×270mmまで
内側の箱を取り外したところ。ペグなどで地面に固定できる

なお、宅配ボックスは付属ペグや市販のコンクリートボンドなどを用いて地面に固定でき、重量も約15kgあるので、この宅配ボックス自体の盗難もある程度防げる。主に工務店などを通じて入手でき、想定売価は小サイズが64,500円、大サイズが75,000円。

壁一面に磁石がくっつく化粧板と、玄関扉に最適なマグネットボード

マグネットボード「ピタバン」

こちらも宅配ボックスと同じ北恵が開発したマグネットボード「ピタバン」。大きさ910×1,820mm(または2,435mm)、厚さ約3mmの化粧板で、内部に薄い鉄板が仕込まれていてマグネットがくっつくようになっている。室内の壁にピタバンを施工すれば、壁一面にメモを貼り付けたり、マグネット固定式の棚で小物置き場を作ったりできるわけだ。浴室用として販売されているさまざまなマグネット製品を利用するのもおすすめという。

内部の鉄板の厚みの違いによって、着力の弱いものと、強力なものの2種類をラインアップ。色・柄も単色のホワイトや色合いの異なる木目調など16種類用意している。

上が着力の強いもの、下が弱いもの。鉄板の厚みが5倍ほど違うという

このピタバンをアレンジした「eBOARD」(いいボード)も参考出品していた。玄関扉の内側に貼り付けることを想定した細長い板で、裏にマグネットが仕込まれている。小さな鏡や棚、フック、傘置きなどが取り付けられており、お出かけ前後に使いたいアイテムを玄関扉1枚に整理しておける。

玄関扉に貼り付けられる「eBOARD」

軽量で工期短縮も可能な低重心のソーラーパネル用架台

屋上発電のブース

2018年の夏は大型台風が相次いで襲来し、強風でソーラーパネルが飛ばされる映像、写真がネットやテレビで流れた。ソーラーパネルの設置の仕方によっては危険な場合もある、ということを認識する機会になったと言えるだろう。こうした危険の防止にも高い効果を発揮する工法を紹介していたのが、屋上発電という企業。

家屋の屋根やビルの屋上にソーラーパネルを設置し発電・売電する代わりに、建物のオーナー(または入居者、住人)が初期工事費用の負担なしにその電力の一部を利用できるサービスが続々と登場し始めているが、同社もその事業を手がける企業の1つ。一般の戸建て住宅ではなく、主に商業ビルや工場の屋上をターゲットとしており、災害・緊急時には非常用電源としてビルオーナーらが全発電能力を利用できることも特徴に挙げている。

屋根や屋上を貸し出してソーラーパネルを設置してもらい、発電した電力の1割を利用できる

そのソーラーパネルの設置にあたり、「低重心架台」というものを同社が独自に開発した。従来のようなコンクリート基礎と鉄骨による背の高い架台にソーラーパネルを載せるのではなく、アルミのフレームとガルバリウム鋼板のカバー、接着テープなどで設置するのが特徴。軽量なため、耐荷重が低いケースも少なくないビルの屋上に設置しやすく、穴開け工事や基礎設置も不要で工期を短縮できるとしている。

また、風がソーラーパネルの下部に入り込みにくいため、強風にも強いとのこと。実際、2018年の災害で飛ばされるなどの影響があった箇所は1つもなかったという。

「低重心架台」で設置したソーラーパネル
アルミフレームやガルバリウム鋼板が用いられている