■「自由になるためには時に大胆さも必要。壁を破るためにね」

 自立。彼女が意味しているのは、どんなことにも惑わされずに、自分の欲望、愛を貫く強さのこと。本作の主人公マリーが美しいのは、そんな強さを内側に秘め、 自分の弱さと対峙しながら解放への戦いに挑んでゆくからだ。「自由になるためには時に大胆さも必要なんです。壁を破るためにね。多種多様な感情がここには描かれていました。だからこそ、この役を演じることは女優と して素晴らしい体験だったんです。マリーは私と全く違う人間だったからこそ演じることができました。でも、役柄とそれを演じる俳優とを分けて考えてくれない人も多くて。人は心の中で何かに囚われてしまうと、なかなかその考え方から抜け出せないという事実を証明していますよね」。

  はじめは戸惑いもあったというが、ひとたび撮影が始まってしまえば、現場では終始幸せな時間を過ごしたと言う。「監督はとても優しかったですね。たいてい俳優は彼女と意見を戦わせるそうですが、私は言い争いは嫌い。だから構えずに撮影に臨みました。だって、私がやりたくないことを誰も強要することなんてできないんですから。ただ、自分の限界を知ることになるだろうなとは思っていましたけれど」。

  本作への出演をきっかけに、その実力が認められたキャロリーヌ。出演依頼も殺到し、『ラ・シャンブル・オブスキュール(暗い部屋)』、『フリーキー・ラブ!』など続々日本公開待機中だ。短いインタビュー時間だったが、懸命に質問に応える姿に、仕事への真摯な態度が垣間見えた取材だった。

『ロマンスX』 1998/フランス/95分
監督:カトリーヌ・ブレイヤ
出演:キャロリーヌ・デュセイ、サガモア・ステヴナンほか
http://special.goo.ne.jp/movie/romancex/
配給:プレノンアッシュ
6月30日より 渋谷シネ・アミューズ、シネ・リーブル池袋にて
(C)Flach Film/CB Films/Arte France Cinema


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