法林岳之の非同期通信レポートMobile
第7回:CeBIT2000 レポート CeBITで見かけたその他の製品
お送りしてきたCeBIT2000のレポートも今回が最後。携帯電話関連以外の製品を写真を中心に紹介しよう。点数がかなり多いため、コメントは短めにするが、肩の力を抜いて、ゆっくり楽しんでいただきたい。
■ 見えてきたBluetoothへの道
昨年来、「2000年はじめには対応製品が出る」と言われながら、なかなか実態の見えてこなかったBluetooth。CeBIT2000では対応製品のアナウンスもかなり増え、COMDEX/Fall'99のときよりは身近に感じられてきた。
なかでも注目はNECのノートPCだ。キーボード手前の部分にBluetoothのユニットを内蔵している。元々、ノートPCは電磁波対策などのため、電波が漏れにくい塗装などが施されているが、Bluetooth搭載モデルではユニット部分のあたりのみ塗装を変更するなどの工夫がなされている。将来的には見通し100mレベルの通信も目指したいとしている。
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NEC Bluetooth内蔵ノートPC Bluetoothユニットを搭載した2台のノートPC間でのビデオ会議をデモ。2000年夏の発売を目指している |
CASIO Bluetooth内蔵カメラ プレスカンファレンスで公開されたモデル。Bluetoothの転送速度が700kbps程度と考えると、あまり大きな画像は転送したくないかも!? |
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ERICSSON Bluetoothヘッドセット GSM携帯電話に接続するヘッドセット。電話の横にあるのはヘッドセット側の充電器 |
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Vivid Technology Versa Quad-II モデム、Ethernet、ISDN、GSMに加え、Bluetoothにも対応するマルチファンクションカード。いわゆる「尻尾」の部分に機能を搭載。 |
■ Linux版Palm-size PCが登場!?
PalmとPSIONはヨーロッパ市場でも熾烈な争いを繰り広げている。本体はもちろんだが、周辺機器も豊富だ。日本ではあまりお見かけしないが、やはり、ヨーロッパではPSIONが強い。帰りに経由したオランダのスキポール空港の免税店で売っているのにはちょっと驚かされた(笑)。
CeBIT2000での注目株は「Linux PDA」と銘打たれたSamsungの「YOPY」だ。Linuxは門外漢なのであまりよくわからないが、206MHzのARM RISC CPUを搭載し、32MBのメモリを搭載。Webブラウザやメールソフト、MP3プレイヤーなども搭載され、オプションでデジタルカメラも提供される。
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Samsung YOPY サイズ:128.8×83.5×19.9mm、225g。Linux版Palm-size PCとも言えるYOPY。メニュー回りはWindows CEに酷似しているような気がしたんだけど、大丈夫? |
EAGLE MailBug オーストラリアのメーカーが出品していた家庭向けメール端末。一昔前のワープロ専用機が思い出されるデザイン。やはり海外でもメール端末の需要は多い |
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Palm Keyboard ご存じPalmシリーズ用キーボード。ついに純正品が登場。折りたたみ式は斬新。でも、それだったら、キーボード付きモデルの方がコンパクトになるのでは? |
PSION 56k Travel Modem ヨーロッパではやはりPSIONが強い。写真手前中央はGSM携帯電話も接続できる56kbpsモデム。後ろの3つはWindows PC用のISDN TA、USBハブ、USB-Ethernetアダプタ。
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■ 無線がお好き?
家庭内の電話線を利用したLAN環境「HOME PNA」対応製品が相次いで発表されているが、CeBIT2000の会場では無線LANの方が圧倒的に多く、人気も高い。古い家屋を改装しながら居住するヨーロッパでは、面倒な配線の必要がない無線LANの方が支持されているということだろうか。
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MELCO AIRCONNECT 日本ではおなじみのメルコは、ヨーロッパのベンダーとともに出展。特に、AirPortとの相互接続が可能なAIRCONNECTシリーズは来場者の高い関心を集めていた。同社の高性能メモリのラインアップよりもはるかに人気が高いことに、日本人の担当者も驚いていた |
SIEMENS I-GATE SIEMENSの無線LANシステム。アクセスポイント側にPCカードを装着して無線通信を実現する手法はメルコ製に同じ。2Mbps版と11Mbps版をラインアップ。USB接続の外付けタイプも販売されている |
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Panasonic HomeGateway 松下電器はホーム市場向けの無線LANシステムをデモ。アクセスポイントにはルータ機能も搭載。北米向けの製品で、主にCATVとの接続を考慮している |
■ 家庭向けWebPhoneが急増中
モバイルというわけではないが、CeBIT2000で数多く見かけたのが家庭向けのWebPhoneだ。通信機器を手掛けているメーカーはほぼ例外なく製品化していると言っても過言ではない。従来は独自OSのものが多かったが、今回はWindowsCE Embeddedを採用したものが急増している。日本にはNTTのテレッセくらいしかないが、もしかすると今年あたりから登場するのだろうか。キッチン端末として1台くらいあるのはいいかも……。
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ALCATEL WebTouch One フランスのALCATELの製品。曲面を活かしたデザインがなかなかいい |
DAEWOO WEB PHONE XP102 お隣の韓国のDAEWOOの製品。WindowsCE2.1をベースにしたモデル。CPUは東芝製TX3922/129MHzを搭載。56kbpsモデムを内蔵し、外付けPS/2キーボード端子なども備える |
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IPM SMILEPHONE イタリアのメーカーの製品。256色表示が可能な7.5インチのカラー液晶ディスプレイを搭載 |
IPM Rotor2000 同じイタリアのメーカーの製品。こちらは公衆電話タイプのWebPhone。デザインなどはともかく、日本でも公衆電話でWebが見られると、公衆電話需要も復活するのでは? |
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Panasonic SD Web Telephone 松下電器はSDメモリカードを搭載したWebPhoneを出品 |
■ 番外編
繰り返しになるが、CeBIT2000はドイツで開催されていた。その影響か、モータースポーツに関係する展示やイベントも数多く見受けられた。その他のおまけもちょっと最後に付け加えておこう。
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JORDANチームのスポンサーになったDeutsche Post(日本で言えば郵便局)のブースではマシンを展示。この他にもフォーミュラマシンはいくつも見ることができた |
週末にはCOMPAQのブースに、ラルフ・シューマッハが来場し、サイン会を開催。兄と並ぶ地元の英雄だけに、かなり人気が高い |
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SAPのブースには、世界チャンピオンのミカ・ハッキネンが登場。凄まじいばかりの人だかりで写真なんか撮れたもんじゃなかった(笑)。来場者とF1のゲームで競争をするなどのアトラクションが行なわれた。ちなみに、ミカ・ハッキネンはドイツテレコムのCMキャラクターでもある |
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ドイツの鉄道「Deutsche Bahn」のInter City Express(日本の新幹線に相当)では、禁煙/喫煙車だけでなく、携帯電話を使える車両と禁止された車両がある。日本でも闇雲に禁止しないで、こういった措置を取るべきなのでは? |
さすがISDN先進国のドイツだけに、ホテルにはISDNのS/T点端子が備えられている。世界各国で使える56kbpsモデムがあるが、ドイツ出張時のために、同様のグローバルISDNカードが欲しくなったりして(笑) |
ドイツで販売されていた携帯電話関連の雑誌(右と中央)。専門店ではなく、ごく普通の雑誌として読まれているようだ。なんとISDNの専門誌まである(左)。さすが、ISDN普及率世界一の国だ |
◎関連URL
CeBIT2000のホームページ(英文)
http://www4.cebit.de/index_e.html
(法林岳之)
(2000/3/13)
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