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ソフトバンク決算 AIのリスクは「投資バランス」

ソフトバンク 宮川 潤一社長

ソフトバンクは6日、2025年3月期 第1四半期決算を発表した。売上高は7%増の1兆5,357億円で全セグメントが増収、営業利益は23%増の3,039億円。売上高/営業利益ともに第1四半期としては過去最高となった。

モバイル堅調 楽天モバイルは「さすがだが影響なし」

通信サービスなどのコンシューマ事業は、2%増の6,817億円。直近四半期で増収基調が継続している。スマートフォン契約数は4%増の3,090万件でワイモバイルが伸長している。ワイモバイルの契約者数は「1,200万ぐらい」と言及した。

ソフトバンクでは、ソフトバンク/ワイモバイル/LINEMO契約者に、AI検索エンジン「Perplexity」の有料版を1年間付与開始したが、「AIの1つの活用方法」(ソフトバンク宮川 潤一社長)として提案していく。

なお、楽天モバイルが契約者数を伸ばしており、750万に迫っている。ソフトバンク宮川社長は、「毎日MNPの動きや純増数を見ているが、さすが三木谷さんだと正直思っている。創業者が持つエネルギー。自分たちも24時間365日、携帯契約者数をどうやって伸ばす考えていた時期があったし、脅威といえば脅威。ただ、(ソフトバンクへの)影響があるかと言われると、ほとんどない。どこから純増が湧いて出ているのか? 自分が見ていなかったマーケットがあるかもしれないし、キャリア同士のやりとりだけではない勝機があるのだろう。楽天には、がんばっていただいて、4大キャリアのポジションまで来たほうが、日本では健全な戦いになる」と語った。

ソフトバンクではLINEMOにおいて、3GBまで990円からの「LINEMOベストプラン」を開始した。宮川社長は「『楽天対抗でしょ』と言われるんです。実はそうです。使い放題については我々は慎重ですが、『中容量』がほしいというお客様が多い。これを提供する商品としてマーケットに投入したが、おかげさまで見込みよりも好調。やってよかったなと思っている」とした。

また、ドコモも「eximoポイ活」など、決済や金融サービス連携を強化している。「(ソフトバンクの)ペイトク無制限と同じだが、『経済圏の広さ』を競いあうフェーズに入ってきた。我々はポイントをできるだけシンプルにしようと、PayPayを使った分の何割かを返す仕組みにした。そういう意味では個人的にはペイトクのほうが使いやすいと感じている。auも楽天も経済圏の中で新しいサービスが出てくるのはいいこと。我々も第二のペイトクを模索していきたい」とした。

PayPay黒字化もIPOは焦らない AIの成長とリスク

エンタープライズ事業の売上高は10%増の2,156億円、営業利益は3%増の415億円。LINEヤフーなどのメディア・EC事業は6%増収の4,083億円。営業利益は74%増の981億円。

なお、NAVERとの間で交渉が続く、LINEヤフーの資本見直しについては「短期的な結論は難しい。今後も議論を継続していく」とした。

堅調に伸びたのがファイナンス事業で、売上高は20%増の631億円、営業利益は57億円で黒字化した。PayPay連結売上高は572億円で19%増収で、第1四半期のPayPayの連結EBITDAは93億円。営業利益も四半期ベースで初の黒字化を達成した。

宮川社長は、「PayPayの黒字化について思ったより早かった。下期ぐらいだと予想していた」と言及。PayPay等決済事業については、「一度黒字化すればあまり落ちてこない。収益の柱として引っ張ってくれるだろう」とした。

なお、PayPayの株式上場(IPO)については、「個人的には、IPOへの期待感は高まってきたと感じているが、PayPayの取締役会に委ねる。ただ、いま資金調達する必要はないので、もっと成長の先が見えてから大きなIPOをしたほうが、こちらとしても組み立てしやすい。『急がなくていいよ』とは言っている」と語った。

今後の注力事項としては、次世代社会インフラ、特に「AIデータセンター」の強化を図る。6月にシャープ堺工場を活用したAIデータセンター構築で基本合意書を締結。250MW規模のAIデータセンターの早期展開を目指す。

AIに積極投資するが、投資リスクについては、「リスクがあるとしたら、方向を間違えたところに投資している場合。お金がかかるのはデータセンターだが、これはリスクではない。今は電源の取り合いをしているが、次はデータセンターの取り合い。これはアメリカでも中国でも起きていること。リスクがあるとしたら、GPUの性能進化が激しくて、2年前に買ったA100というチップと今のB200の比較だと、3割・5割どころじゃなくて、何倍~10倍という単位の変化になっている。GPU成長期の中で、どのタイミングでどのぐらいの投資をするのか。需要と供給のバランスをみなければ。3年経てば古くなってしまう。それがリスク」と説明した。