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楽天モバイルのプラチナバンド始動、エリア拡充に活用

楽天モバイルは、都内の5Gの拡大やプラチナバンドの開始について発表した。楽天モバイル 代表取締役会長の三木谷浩史氏が登壇、加入者数の増加やエリア展開について意気込みを語った。

楽天モバイルの契約数は6月16日に700万件を突破しており、過去3か月の純増数は過去最大。目標である1,000万件の早期達成を目指している。人口カバー率は99.9%を実現しており、他社と肩を並べたという状況で、ユーザーからは電波や通信の改善に対する評価も高いという。

5GはSub6のエリアが拡大

5Gの展開では、「Sub6」と呼ばれる6GHz帯以下の周波数帯(楽天モバイルは3.7GHz帯)において、屋外の基地局数が1.7万局を突破。他社と同様に、衛星通信との干渉条件が緩和されたことでSub6の出力をアップできるようになり、2024年内に関東地方では5Gエリアが最大1.6倍にまで拡大する予定。

このほか、衛星通信の干渉の影響(基地局の出力の制限)が少なかった東海地方は約1.7倍に、近畿地方では約1.1倍に、すでに拡大済み。

全国で6月からMassive MIMOにおけるビームフォーミング機能拡張を実施し、通信速度や安定性の向上が図られているほか、4Gと5Gの間のハンドオーバー(切り替え)も、仮想化されている同社のシステムでは、よりスムーズになるとしている。

このほかスマートフォンが低軌道の衛星とつながる「AST SpaceMobile」との取り組みは順調と報告。2026年内に国内でサービス開始を目指しており、「日本全国津々浦々、面積でカバー率100%になる」と語っている。

プラチナバンド始動

プラチナバンドと呼ばれる周波数帯は、電波が遠くまで届きビルなどの障害物にも強いことなどから、エリア展開では非常に重要な要素になっている。楽天モバイルは700MHz帯で3MHz幅を獲得しており、6月27日から4Gにて商用サービスを開始した。ユーザーの料金プランなどに変更はない。

発表会場では三木谷氏がボタンを押してサービス開始を宣言。その後、700MHz帯が稼働している基地局の近くにいるスタッフが持つ、700MHz帯(バンド28)で接続されたスマートフォンと、会場の三木谷氏が通話するデモを行ない、サービス開始をアピールした。

プラチナバンド電波発射ボタン
通話デモ
700MHz帯(バンド28)をつかんでいる
700MHz帯の電波が存在している様子を紹介

なお、6月27日時点で700MHz帯の電波を発射した基地局は、都内の1局のみとのこと。当初の予定よりかなり前倒しで始動させたとのことで、今後順次拡大していく。

三木谷氏は「プラチナバンドは熱望していた最終兵器。大変重要なもので、隅の隅まで繋がるようにしていく。期待してください」と自信を語っている。

700MHz帯でつながりやすさを改善していく
プラチナバンドの展開予定

楽天モバイルがプラチナバンドに対応するにあたっては、既存の1.7GHz帯の基地局のアンテナに700MHz帯用の装置を追加するという仕組みを採用。楽天モバイルの特徴でもあるソフトウェア制御により、アンテナ関連装置以外のコストは従来型の基地局より大幅に削減できるのが特徴としている。700MHz帯と1.7GHz帯が重なるエリアでは、ソフトウェア制御により、トラフィックを分散させるチューニングなども容易に行なえるとしている。

装置を簡略化でき展開も加速させる

一方で、楽天モバイルの700MHz帯の割当は3MHz幅と“狭い”ため、大人数を収容したり、通信速度を速めたりすることがあらかじめ難しいと想定されている。都市部を中心に、メインバンドは引き続き1.7GHz帯を利用する。楽天モバイルでは、現在つながりにくいエリアで使うなど、プラチナバンドをエリア拡大やつながりやすさの面で活用していく方針。