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NTTとスカパーJSAT、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」構築へ

NTTとスカパーJSATホールディングスは、新たな宇宙事業創出をめざすことで合意し、ビジネス協業を目的として、5月19日に業務提携契約を締結した。両社は、持続可能な社会に向けた新しいICTインフラ基盤「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」構築に向け、検討・議論を進める。

宇宙統合コンピューティング・ネットワークは、NTTのネットワーク/コンピューティングインフラと、スカパーJSATの宇宙アセット事業を統合して構築する新インフラ。地上から高高度に浮かぶHAPS(高高度基盤ステーション)、宇宙空間の低軌道・静止軌道まで複数の軌道を統合し活用する。

これらと地上を光無線ネットワークで結び、分散コンピューティングによって様々なデータ処理を高度化する。地上のモバイル端末へのアクセス手段も提供する。

事業内容は主に、「宇宙センシング」「宇宙データセンタ」「宇宙RAN(Radio Access Network)」の3つ。

宇宙センシング事業は、地上と宇宙のセンシングデータの統合基盤。従来の観測衛星による観測データに加え、世界で初となる低軌道衛星MIMO技術により、地上のIoT端末データを収集。宇宙と地球を統合したセンシング基盤を提供する。MIMOは、送信機と受信機の双方で複数のアンテナを使うことで通信品質を向上させる技術。

さらに、テラヘルツ波等により従来は見えなかった情報を可視化する新たなセンシング技術も開発。宇宙データの価値向上、宇宙データ利活用の可能性拡大に貢献する。

宇宙データセンタ事業は、宇宙における大容量通信・コンピューティング基盤。光電融合技術による低消費電力化と高宇宙線耐性の実現により、宇宙におけるコンピューティング処理基盤を提供する。光通信技術を活用した分散処理コンピューティングにより、高度なデータ処理も可能とする。例えば、宇宙で収集される膨大な各種データ等を高速光通信ネットワークを通じて即座に宇宙空間で情報集約・分析処理し、情報を必要とするユーザに必要な情報のみを即座に届けることができる。これにより宇宙データ利活用のリアルタイム性、ユーザ利便性の飛躍的な向上に貢献する。

宇宙RAN(Radio Access Network)事業は、Beyond5G/6Gにおけるコミュニケーション基盤となるもの。Beyond5G/6Gで期待される衛星(低軌道・静止軌道)・高高度の通信プラットフォームを用いたモバイル基地局によるアクセスサービスを提供する。例えば、災害時における高信頼メッセージングサービスや超広域カバレッジ化等、モバイル通信の利便性/価値向上に貢献する。

2022年から順次技術実証を開始し、事業の土台となる技術開発を進める。並行して商用衛星の打ち上げも準備し、2025年頃から順次打上・商用開始を目指す。また、他の宇宙・衛星事業者との連携も行なっていく。