【インタビュー】 | |
ヘヴィユーザーは新ザウルスをどう見る? ~モバイルの達人、弁理士・松倉秀実氏に聞く
●キーボードの『安心感』と『ギミック』のおもしろさに注目 ――― 松倉先生は税理士というお仕事柄、あちこちに出向いていろいろな方とお話をするという部分で、さまざまなモバイル機器をお使いになっている、ということですが。 もちろんザウルスは初代モデルからのつきあいです。その他にたくさんありますが、通常は、パームとモバイルギア、ボイスレコーダとこれ(インターネット・ビューカム)を持ち歩いています。端から見て「かっこいいだろうな」というのを基準にして買っていますね(笑)。 ――― さて、今日はまだ発表されていない製品について、まったく情報がない状況でお話をうかがわなければならないわけですが、シャープのサイトにいくつか本体や周辺機器の画像がありますし、展示会で取材した際の画像などもありますので、それらを見ながらお話を進めたいと思います。まず、新ザウルスは、いろいろと特徴がある、挑戦的かつ戦略的なマシンのようですが、松倉先生のファーストインプレッションはいかがですか? まず、画面表示が縦型なのか、ということでしょうか。もっとも新しいザウルスが縦型でしたが、一定のコンテンツしか縦にできませんでしたよね。それがどうなっているのか、横にもできるのか気になるところです。 ――― ザウルスは横に使うイメージが定着していますからね、これは意外な点ですよね。他にはどうですか? なんといってもキーボードでしょう。ザウルスは、従来から強力な手書き機能をもっていたことは実感としてあります。ただ、確実に入力できる『安心感』といった点でも、この新しいザウルスに用意されたパソコンライクなキーボードには大いに魅力を感じます。これによって最高の入力環境を持つモバイル機器となったのではないでしょうか。それとフタがスライドして出てくるキーボードのギミックが面白いですね。こういうのはワクワクします。 ――― 日本語入力については、ジャストシステム社のATOKがパームに出てきていますが。 ATOKを生かすのであればキーボードが不可欠だと思いますね。そういう意味ではキーボードを標準で搭載している新ザウルスにもATOKが載ってくるのを期待したいところですね。とはいっても、ザウルスの手書き認識はかなり性能がいいですから、実のところその必要はあまりないと言えるでしょう。 ――― キーボードの『安心感』と『ギミック』の面白さがポイントということですね。 ●前の晩のドラマを通勤途中の電車で ――― ところで、普段からインターネットビューカムを持ち歩いているとのことですが。 1時間分のテレビ番組を録画して、外出先で見たりしています。多少、画質は落ちますけど、新幹線の中でテレビを見たりとかできます。その点、新ザウルスのエンターテイメント機能には大きな期待があります。 ――― MPEG 4の動画機能をサポートしていて、従来のメディアから変換する「MPEG4ビデオレコーダー」が用意されるようですね。 私を含め周囲のヘヴィなモバイルユーザーの仲間が注目しているのは、「テリオス」(シャープのハンドヘルドPC)などの動きで、ASF(マイクロソフト社の動画ストリーミング規格でAdvanced Streaming Formatの略)を使ってなにができるか、とかテレビ番組を撮れるんじゃないか、ということを考えている人がいるんです。 ――― 将来は地上波デジタル放送に対応したTVチューナーもリリースされるようですが。 日本人のいままでのライフスタイルを考えると、見逃した前の晩のニュースとかを通勤途中にも見たいっていうのは十分あり得ると思います。私の場合は、実際にそれをインターネット・ビューカムで実行していて、日曜日の大河ドラマなんかを録画してこれで見てますよ。 動画については、パームや新しいポケットPCでやろうかなと思っていたんですが、それは全然無理だということがわかって......その点、新ザウルスでは「MPEG4ビデオレコーダー」を使っていくようですね。ザウルスはどうしてもパームのライバル機種として語られることが多いですが、ザウルスはパームとは異なる路線を進んでいると思います。そういう意味では、新ザウルスは待ち遠しいですね。 ――― 動画コンテンツの供給はどうなると思いますか? シャープにはスペースタウンというものがありますが、通信で動画を配信するのは当面は難しいでしょうね。となるとパッケージでの提供というのも考えられますよね、カード化したものとか。新ザウルスで直に落としてっていうのはしばらくないでしょうね。 まずは、ビデオなどの通常のメディアからコンパクトフラッシュに落として見てあるくという使い方でしょうね。電池の持続時間を知りたいところですね。 ●新ザウルスは著作権機能対応済み ――― マルチメディア機能としては、MP3の再生機能が搭載されているようですが、これについてはどうでしょう? そうですね。先程の動画でも同じ事が言えると思うのですが、いままで家の中でしか楽しめなかったことが、モバイル環境でも楽しむことができるということです。これって、スゴイ事だと思うんですよ。著作権保護機能に対応したSDカードの採用から音楽配信サービスなどにも対応できる条件は揃ったわけで、音楽配信サービスが本格的になると、この機能が本当に嬉しいでしょうね。 ――― 録音できるというのは、やはり著作権の問題から言えば難しいでしょうか。そのあたりは松倉先生のご専門でもあるわけですが。 その部分はあるでしょうね。しかし、新ザウルスはSDカードに著作権保護機能が付いていることで、その部分には対応しているようですね。しかし、流れとしてはデジタル音楽にユーザーが向いていくのはわかっています。利便性が先行するのは当然なんですから、その中でどうしたら(法を)守れるか、ということですね。しかし、法を守るために技術の進歩を止めるのは歴史的に見ても許されないことだと思います。そうした中からいい案を出していくべきで、それはメーカー側が先取りして考えていかなければならないと思います。 ――― そういう意味では、新ザウルスはきちんと配慮がなされてはいるわけですね。 ●ビジネスツールとしてはフタが欲しい ――― 今後は、ザウルス用ソフトの開発環境として「CodeWarrior for Zaurus」が出るようですが、そうなると新しいアプリケーションが出てくる可能性があるわけですが。 それによりさまざまなソフトの登場が期待できるというわけですよね。すでに「パックマン forZaurus」が登場していますが、 今後もゲームソフトをザウルスに移植するなど、豊富なアプリケーションが出てくる可能性があって、楽しみですね。 ――― となるとどういうアプリケーションが搭載されるか気になるところですね。 たぶんPIM関係については、大幅には変わらないと思います。なんといっても蓄積がありますからね。従来のザウルスに搭載されていたアプリはそのまま踏襲されるでしょう。後は文字認識がどの程度進化しているかですね。 ――― 他にはどういう点が気になりますか? 外観については、フタですね。本体にはフタがありませんが、オプションなのかいくつか展示されていましたね。これがどういう形で本体につけられるのかです。フタがスムーズに開けられないと使いにくくなりますから。カラーザウルスからフタがなくなったので、不便だと思っていたんですよ。なんだかんだいってもビジネスマンが使うものですから、フタは必要です。そうだ、フタが透明ならフタをしたまま動画を見ることができますね。スケルトンのフタが欲しいですね。 ――― 最後に全体的に見て期待する部分をお聞かせください。 やはりキーボードのギミックとマルチメディアマシンであることに“期待大”ですね。 とにかく発表が待ち遠しいです。 ――― 今日はありがとうございました。 (聞き手:千葉英寿) □Internet Viewcam Plaza http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/2000skaiken/3.html#22 □テリオス http://www.sharp.co.jp/telios/index.html |