【05.02.28】
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水冷システムの威力を見よ!
安定した冷却性能と静音性を兼ね備えたハイエンド機
NEC VALUESTAR GタイプTX
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【05.03.7】
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スリムでスタイリッシュ、 そして高性能
NEC Direct限定モデルVALUESTAR G タイプC の魅力とは
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【05.03.10】
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NECが本気で仕掛けるネット直販「NEC Direct」の挑戦
急成長の原動力と今後の取り組みについて 事業部長にインタビュー
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NECの直販サイトである「NEC Direct」が、新たな事業フェーズへと突入した。
昨年2月に、121@storeからNEC Directへと名称を変更するとともに、NECパーソナルプロダクツから、NEC本社の直轄部門へと移管。それに伴い、製品ラインアップの強化とともに、新たな取り扱い製品群の拡充、サービス体制の強化などに積極的に乗り出し、2004年度の売上高見込みは、前年比2倍と大幅な成長を遂げる見込みだという。そして、この実績を背景に、新たなフェーズへと事業を加速させる考えだ。
NEC Directの急成長の原動力はなにか、そして、今後取り組む新たな事業フェーズとは何か。
NEC Direct事業を担当するNECパーソナルソリューション事業部・那須俊彦事業部長へのインタビューを通じて、同社のネット直販事業への取り組みを追ってみた。
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【Photo01】NECパーソナルソリューション事業部・那須俊彦事業部長
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NECが、NEC Directへとサイトをリニューアルしたのが2004年2月。それから1年間の成果には驚くべきものがある。
パソコンの直販ビジネスが、国内市場全体で前年比10~20%の成長率と見込まれるなか、NEC Directは、前年比2倍の売上高で推移。サイトへの来訪者数も、この第3四半期(10~12月)実績で、一日平均7万人を突破し、前年の3万人強から、こちらも2倍以上の伸びを見せている。
「日によっては一日10万人を突破する日もあるほど。急速な勢いで、市場認知度が高まっている」と那須事業部長は、この1年の成果を振り返る。
その背景には、従来の121@storeという名称が、NECの直販サイトであるという判別がつきにくかったのに対して、NEC Directという、NECの直販サイトであることを示すには、まさにダイレクトな名称としたことで、認知度が高まった点が見逃せない。
[▲クリックすると拡大します] 【Photo02】NEC Directでの販売過半数が、ハイエンド水冷パソコン「VALUESTAR G タイプTX」だ
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だが、それ以上に特筆できるのは、購入層の拡大に向けた施策を相次ぎ実施し、それが成果につながった点であろう。
NEC Directの主力ユーザーは、もともと中上級者ユーザーが中心。それだけに、高機能モデルが売れ筋の中心となっている。デスクトップパソコンを例にあげれば、2004年度上期実績では、販売台数の半数以上をタイプTXという高機能水冷パソコンが占めている。店頭ではわずか数%に留まっている高機能モデルが、トップセールスモデルなのである。
ノートパソコンでも、同様の結果が出ている。高機能モバイルノートパソコンに位置づけられるタイプRXは販売台数構成比で約4割。また、薄型軽量化を追求したタイプJは約2割を占め、2機種で過半数を突破している。店頭における2機種あわせた構成比はわずか1割程度に留まっているのに比べると、ここでも高機能モデルに偏重しているのがわかる。
だが、この1年でNEC Directは、初級者、中級者、あるいは女性層の獲得に積極的に乗り出してきた。
そのひとつが、若年層、女性層を意識した限定商品への取り組みだ。
同社では、サンリオの人気キャラクターであるハローキティを採用した「キティパソコン」を、NEC Directにおいて、2か月で完売。さらに、9月には、女性層に高い人気を誇るタイプNで、ワインレッドを筐体カラーに採用したNEC
Direct限定モデルを用意。これも3か月で完売するという売れ行きの良さを見せた。
「NEC Directがアプローチできていなかった女性層にも高い評価を得ることができた。女性層の購入は前年に比べて1.6倍に達しており、今後も継続的にキャラクターモデル、限定色モデルを取り扱うことで、現在2割の女性比率を4割程度にまで引き上げたい」(那須事業部長)と意欲を見せる。
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【Photo03】【Photo04】いずれも完売した超人気限定商品 |
これだけではない。
初級者、中級者向けの製品ラインアップの強化も、昨年の取り組みで見逃せないポイントだ。
店頭向けモデルに比べて、HDDやメモリをアップグレードした「お奨めモデル」をNEC Direct限定製品として用意し、これらを初級者、中級者向け製品と位置づけて、サイトの目玉製品のひとつとして販売した。
「これらのお奨めモデルは、メモリやハードディスクのスペックをあげたいが、自分ではカスタマイズが難しいというユーザー層に対して用意したもの。結果として、昨年に比べて、初級、中級者層が1.3倍に増加、30代以下の顧客層が1.4倍に増加した」という。
こうした新たな顧客層の獲得が、業界平均を上回るNEC Directの売り上げ拡大とへとつながっているのだ。
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この1年間の実績を背景に、NEC Directでは、新たなフェーズへと事業を進展させる考えだ。
それは3年後に売上高1000億円、サイト来訪者数一日100万人という、大きなゴールに向けた挑戦の始まりだといっていい。売上規模では、現在の約5倍、サイト来訪者数では10倍以上の規模を目指すという大きな目標となる。
那須事業部長は、「目標に向けた第1歩として、1000億円に向けた基盤をいかに作ることができるかが2005年度の鍵になるだろう。売上高では、前年比2倍の伸びを目指す一方で、次のステップに向けた製品の品揃え、サービスを強化していきたい」と、この1年が重要な年となることを強調する。
それだけに、2005年度には、これまで以上に新たな施策が目白押しだ。
那須事業部長は、2005年度の取り組むべき課題として、6つものポイントをあげる。
ひとつめが、直販製品そのものの強化である。
2004年度も、初級者および中級者向けのお奨めモデルや、女性層を対象にした限定製品を用意したが、こうした製品群の強化をさらに促進。より細かいニーズに応えたお奨めモデルを用意する考えだ。
[▲クリックすると拡大します] 【Photo05】高性能ノートパソコンを用意し、全領域に対するラインナップをそろえる構えだ
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「機能、性能に加え、カラーバリエーションモデルなどの選択肢も拡大する予定。昨年は約30機種だった、お奨めモデルを最低でも50機種に、できれば100機種程度にまで拡大したい」と話す。
また、主力の中上級者向けにも、好評な水冷モデルのラインアップを強化するとともに、高性能オールインワンノートモデルの強化にも取り組むという。さらに、SOHO市場を対象にした推奨モデルも用意する考えで、法人需要にも前向きに取り組んでいく姿勢を示している。
2月に新たなブランドとしてラインアップした普及モデルのValueOneを、法人などを中心に積極的に販売していくほか、高性能ノートパソコンの分野に対して、NEC
Direct独自の製品を新たに用意することで、あらゆる領域に対するラインアップが整う考えだ。
デルなどの外資系メーカーの低価格モデルに対抗できる製品から、NECが得意とする高付加価値製品までが、NEC Directで出揃うことになる。
[▲クリックすると拡大します] 【Photo06】リニューアルして使いやすくなったページデザイン
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第2点目が、サイトのリニューアルによる使いやすさの見直しだ。
同社では、2月1日に、NEC Directに名称を変更してから1年を経過したことを機に、、サイトをリニューアルした。ここでは、従来の青を基調としたデザインから、ホワイトとグレーを基調としたシンプルなデザインに変更。個人、SOHOのユーザーがそれぞれに目的のサイトにたどり着きやすくしたり、検索機能によって製品を見つけやすくするといった工夫、NEC Directが最も訴えたい戦略的製品の訴求力を高めるための訴求エリアの拡充などを行った。
「商品が見つけにくい、カスタマイズの幅が多すぎて選びにくいといった意見や、直接、目的の製品にたどり着きたいといった様々な要望に対して、購入目的や習熟度にあわせてわかりやすく操作できるようにした。導線をしっかりと考慮したサイトリニューアルを行った」と、リニューアルの狙いを語る。
画面上に文字を詰め込まず、見やすくしたのも幅広いユーザーに対する視認性を高める効果を狙ったもので、その点では大きな進化を遂げているといえるだろう。
[▲クリックすると拡大します] 【Photo07】モバイルサイトでも購入できるよう計画中だ
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そして、3点目が、サイトリニューアルと時期を連動して、新たに携帯電話利用者へのサービスを開始した点だ。現時点では、まだ試験段階であるため、広く告知は行っていない。だが、「すでに予想を上回るアクセスがある」とユーザーの関心は高い。
この新たな用意したNEC Direct Mobileサイト(http://nec-pc.jp/)では、4月以降はクーポン券や最新情報の提供を開始し、2005年度下期からはECサイトとして強化することで、携帯電話からも、直接、製品を購入できるようにする計画だ。
「下期にはモバイルサイトだけで、1万人の来訪を目指したい」と意欲的だ。
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【Photo08】実機を触れるスポットで通販の不安を解消
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4つめの取り組みも、サイトへの誘導を前提とした取り組みだ。
同社では、昨年12月6日から12日までの期間限定で、話題の新名所であるOAZO(東京・丸の内)にオープンした大型書店MARUZEN3階フロアに、実機を展示するスポット「NEC Direct スポット」を試験的に設置した。ここでは、サイトの認知度を高める狙いとともに、来店者にアンケートを行い、ネット直販サイトに関するユーザー調査を行った。
この結果、3割が実機の確認なしではサイトでの購入には不安があること、スポットで購入できるなどのリアル店舗でのフォローを求めているユーザーが7割以上に達していることがわかった。
「NEC Direct スポットの設置は、我々の想像以上の成果があることがわかった。今後は、主要都市のターミナルスポットに出店することで、認知度向上とともに、購入を支援する拠点と位置づけたい」という。
現時点では、東京のほか、大阪、福岡、仙台、北海道が候補にあがっているほか、一部販売店と連携して、販売店のなかにNEC Direct スポットを設置するということも考えている。
「2005年度上期中には5か所ほど設置したい。書店のような異業種や、駅のような人が集まるようなところに設置したい」としている。
5つめの取り組みは、サービス強化である。基本的には、店頭での購入と同じサポート体制を敷いているNEC Directだが、付加機能として、NEC Direct独自のサポートも用意している。
例えば、引き取り修理保証サービスや出張修理保証サービスのほか、購入後の有償サービスとして、PCアップクレードサービス、TV-PCビルドアップサービスなどを用意。「今後は、ウイルス対策の強化や、教育サービスを強化して、初心者の安心利用を強力にサポートしたい」と語る。
そして、6番目の取り組みが、アライアンス戦略による販売拡大だ。
昨年12月から、通信教育大手企業と販売提携し、会員専用ページから、講座に必要なパソコンなどをNEC Directを通じて購入できるという仕組みを提供している。さらに、今後はパソコン教室との業務提携や、通販カタログ会社との提携によって、同様に、専用サイトからのパソコンなどが購入できる仕組みを用意する考えだ。
「パソコン教室に通う初心者やシニア層などにも、NEC Directを利用してもらえるチャンスが広がる。また、カタログ通販会社との提携で、女性層にも利用が広がると期待している」と那須事業部長は語る。
[▲クリックすると拡大します] 【Photo09】アライアンス戦略として、iPod Shuffleの取り扱いをいち早く開始
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加えて、中上級者向けの商材拡大策として、パイオニアとの提携によるプラズマテレビの販売を開始しているほか、アップルコンピュータとの提携で、2月14日からはiPod ShuffleをはじめとするiPodシリーズの取り扱いを開始するといった販売施策もスタートしている。
那須事業部長は、「3年後に売上高1000億円を達成するには、パソコンだけでは限界がある。ホームサーバーといわれる製品や、デジタル家電、AV機器などにも取り扱い製品の幅を広げていく必要がある。将来的には、パソコン以外の製品で売上高の約4割を占めることになるだろう」として、今後の成長戦略のなかで、アライアンスによる取り扱い製品の拡充が必須の取り組みであることを強調する。
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4つめの取り組みも、サイトへの誘導を前提とした取り組みだ。
NEC Directは、前年比2倍という2004年度の実績をベースに、さらに成長戦略を加速する考えであり、そのための新たな施策が、今年以降、矢継ぎ早に展開されるのは、今回の取材からも明らかになった。
これらの施策を見る限り、いよいよNECが本気になって、ネット直販の分野に取り組む「狼煙(のろし)」だといっても良さそうだ。
他の直販サイトに比べて、いち早くiPod Shuffleの取り扱いを開始できたのも、NECの金杉明信社長が交渉した結果であり、ここにもNEC
Directにかける本気ぶりが伝わってくる。
NECが、NEC Directにおいて、こうした成長戦略を明確に打ち出した背景には、いくつかの理由があるはずだ。
なかでも、今後、ネットによる販売が一般化し、初心者層や女性層にまで広がると、国内パソコン市場において浸透している「NEC」ブランドが、これらユーザーに大きな安心感を与え、外資系メーカーに比べて優位に立てるといった読みがある点は見逃せないともいえる。
そして、将来的には、NECの個人向けパソコン出荷のかなりの比率を、ネット販売で占めるものと予測しているようにも見える。
NECは、ネット直販において、これからどんな手を打ってくるのか。NEC Directの施策には、これまで以上に注視しておく必要があるだろう。
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Interview & Text by 大河原克行
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