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“考える家”を目指すパナソニックの家電・住宅基盤「Home X」始動

パナソニックは、「くらしの総合プラットフォーム」をめざす住宅設備向けのシステム「Home X」を発表した。「人」と「くらし」の接点に目を向けて、それらが連携して、家族の日々の暮らしを学習、「家そのものが考えて提案する」システムの実現を目指す。

Home X Display

Home Xは、アスペクト比が8:3と横長のディスプレイ「Home X Display」を中心に家電や住宅設備をコントロールし、結果的に住みやすく人に寄り添う家庭の実現を目指す。ディスプレイ部には無線LANや各種センサーを搭載し、人の帰宅や状態などを把握。センサーで日々の生活を取得し、クラウドサーバーと連携して人の暮らしや好みを学習。「家に帰ったら音楽を鳴らす」や「快適なエアコン温度はこれくらい」と、人の次の行動を予測して、快適な居住空間の実現を目指す。

パナソニックによれば、「住むほどに新しい機能が届く」、「アップデートされるくらし」を実現するのがHome Xの目標という。

パナソニック ビジネスイノベーション本部長の馬場 渉氏

Home Xの目指す環境は、エアコンやテレビといった単体の家電製品や住宅設備だけでは実現できず、家庭内に複数のHome X Displayを配置し、住居全体の状況を把握する必要がある。今後住宅メーカーなどにHome X Displayを提案し、Home Xのある暮らしの実現を目指す。現時点では具体的な製品化の時期は明かしていないが、Home X Display本体はほぼ製品に近いものとのことだ。

複数のHome X Displayで暮らしを学習
Home X Display

技術的には、パナソニックのエアコンやIHクッキングヒータなど住宅設備で採用している「AISEG」規格での連携が基本。AISEG非対応の家電製品もIPベースで相互に連携できるようにし、複数の機器の情報を組み合わせた利用提案を目指す。そのためのプラットフォームとしてHome Xを定義し、規格化する。企画、設計、製造はパナソニック子会社のShiftallが担当している。

当面はパナソニックの住宅設備や家電製品がHome X対応となるが、オープンプラットフォームとして、パートナーにもエコシステムを開放予定という。

Home Xは、パナソニック創業100周年を記念したイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」の基調講演で発表された。

パナソニックの津賀社長は、「人がなにを欲しているか理解するための情報基盤」とHome Xを定義し、「Home Xだけでは全く意味がない。人が何を求めているかを知り、求めているものにあわせて、気分にあう音を出したり、鍋のレシピを紹介したりする。生活者の価値になるのは購入し、導入した後。生きものののように変化する情報とそれに基づいて機器やサービスが変化し続ける。それがこれからの時代に求められる。『最新の家電を手にしても新製品が出たとたんに古くなる』という時代は終えなければならない。家電は進化していく時代になる。サービスも活用する人にあわせて更新していく。だから、あえての未完成品でなければいけない。製品を仕上げるのは人でなければいけない」とその意義を強調。「暮らしに常時接続することで、その人の嗜好性やタイミングをかけあわせ、結果として新たな体験価値を提供する」とした。