UQコミュニケーションズがこの春送り出した、下り最大220Mbpsもの通信速度を実現するという最新モバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT WX01」と「Speed Wi-Fi NEXT W01」。このうちWX01をお借りすることができたので、都内を歩き回り、実際にどれくらいの通信速度を達成できるのか、あちこちで計測してみた。
モバイルで世界初の4x4 MIMO。下り最大220Mbps!
と、ちょっとその前に、「Speed Wi-Fi NEXT WX01」がどういう製品なのか簡単に紹介しておこう。
WX01は、UQの提供するモバイル通信サービスであるWiMAXとWiMAX 2+を採用したモバイルWi-Fiルーター。スマートフォンやタブレット、PCなどから無線LANやBluetooth、あるいはUSBケーブルで接続することで、全国をカバーするインターネットにアクセスできる製品だ。
Speed Wi-Fi NEXT WX01 | |||
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サイズ | 高さ66×幅109×奥行き9mm | ||
インターフェース | 1インチモノクロ液晶/3ボタン | ||
質量 | 約97g | ||
連続通信 | Wi-Fi接続時 | WiMAX 2+(4×4) (ハイパフォーマンス) |
約6時間40分(400分) |
WiMAX 2+(2×2) (省電力) |
約8時間40分(520分) | ||
WiMAX | 約11時間20分(680分) | ||
Bluetooth接続時 | WiMAX 2+(4×4) (ハイパフォーマンス) |
約8時間(480分) | |
WiMAX 2+(2×2) (省電力) |
約10時間20分(620分) | ||
WiMAX | 約13時間30分(810分) | ||
連続待受け | 休止状態 | リモート起動オン | 約400時間 |
リモート起動オフ | 約650時間 | ||
ウェイティング(Wi-Fiオン状態での待受) | 約35時間 | ||
バッテリー容量 | 2500mAh(脱着可) | ||
無線LAN | IEEE802.11ac/n/a/g/b | ||
対応ネットワーク | WiMAX 2+ WiMAX(WiMAXハイパワー対応) |
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クレードル対応 | ○ |
対応エリアでは理論上の最大受信速度が220Mbpsになるという超高速通信がウリで、料金プランに「UQ Flatツープラス ギガ放題」を選んだ場合は、月額4,380円(2年契約時)とリーズナブルなコストながら、月間のデータ通信量に制限がないのも大きな特徴となっている。
このWX01が220Mbpsを実現する通信技術は、モバイル通信において世界初となる4x4 MIMO(マイモ)によるもの。簡単に言えば、基地局とモバイルルーターがそれぞれアンテナを4本ずつ搭載し、各アンテナで同時並列的に通信を行う仕組みだ。
もう1つの製品であるW01の方は、CA(キャリアアグリゲーション)という複数の周波数帯の電波を組み合わせて通信するもので、WX01とは方式が異なる。CAは他のキャリアもすでにサービスを開始しており、技術的にはさほど目新しい部分はないが、WX01の4x4 MIMOはいまだ誰も提供したことのない未知のモバイル通信ということもあり、実際の通信速度が気になるところ。
能力を最大限発揮できるUSB接続で計測
WX01は果たしてスペック通りの性能を発揮できるのか、試してみた。220Mbps対応エリアは、基本的には従来の全国に広がっているWiMAX 2+対応エリア全域で、その中の一部だけが110Mbpsのエリアとなる。今回は特に利用者が多いであろう山手線の駅周辺に絞り、4×4 MIMOの力を発揮しやすいといわれる、周囲の構造物などによる電波の反射が多いスポットにて計測した。
計測方法は、WX01本体にPC(MacBook Air)をUSB接続し、USB経由で通信を行うかたちとした。念のためWX01本体では「省電力設定」を「ハイパフォーマンス」にして最大限の通信速度を発揮できるようにしている。日中時間帯に各ポイントで3回だけ計測し、あえて平均を取らずにその3回全ての結果を掲載した。
喫茶店内で100Mbps超え!
まず1つ目の測定ポイントは、日本中だけでなく世界中からも観光客が集まる、電子機器と“萌え”とサブカルチャーの聖地、秋葉原。その中でもとりわけ利用者が多いであろうJR秋葉原駅の電気街口改札近くで計測した。結果は以下の通り。
最大220Mbpsというのは仕様上の理論値であり、利用者の人数、地理的な問題による電波の減衰などから220Mbpsの速度が出ることはない。これはモバイル通信に限らず、固定回線でも同じだ。そんな条件下でも最低70Mbpsと、まずまずの速度。100Mbpsの光回線でも70Mbpsも出れば上出来であることを考えれば、モバイル通信でこの速度はインパクトがある。
次は新幹線も停車するJR品川駅。ここでは改札内の喫茶店と改札外の通路という2箇所のポイントを選んだ。まずは喫茶店でお茶をしながら計測。
なんとここでは、周囲に大勢の人がいるにもかかわらず、最大116Mbpsの速度を叩き出した。のんびり外でお茶しながらでも、軽く光回線を超える速度が出る世界になったのだと思うと、なんだか新たな時代の幕が開き始めている気がしないでもない(大げさ)。ドリンクを飲み干した後、続いて改札外の通路で計測した。
このポイントでは最低が54Mbpsだった。が、それでも50Mbpsをゆうに超えているわけで、動画でもファイルダウンロードでも、これだけの速度があれば十分すぎるほどではある。
乗降客数世界No.1の新宿で、最速の結果が
場所を少し変えて、今度は品川駅から徒歩5分ほどのところ、高輪と呼ばれるシャレオツなビルや住宅が建ち並ぶ閑静な場所にやってきた。ここまでは人混みの中で測定してきたが、人通りが少ない=無線機器を使用している人が多くないであろう場所ではどれだけの速度が出るのだろうか。
結果としては、やはり高速。先ほどの品川駅改札内の喫茶店を超える、最大118Mbpsを記録した。最低でも80〜90Mbpsは出ているので、この付近に住む人たちは超快適にWiMAX 2+生活が送れるに違いない。
そして最後の計測ポイントは、世界で最も乗降客数が多い駅と言われ、複雑な構造のせいで「魔窟」と揶揄されることもある新宿駅。地下の都営新宿線・大江戸線・京王線の改札付近で測定してみた。
なんと、大勢の人が行き交う場所でありながら、今回最速となる147Mbpsの受信速度を記録。他も140Mbps、129Mbpsと、大台を大きく超える速度で通信でき、理論値にいよいよ近づいてきた。混雑する場所でも、タイミングによっては最大220MbpsのWX01のポテンシャルを発揮できることが分かる。
ギガ時代に向けた最初の第一歩を、WX01で体感してみよう
今回は数カ所のみの測定ではあったけれど、ある程度利用者の多そうなポイントでもきっちり速度が出ることが分かったのは収穫だった。ただ、時間帯が変わるだけでも、今回の結果と比べて速かったり、あるいは遅かったりと、結果が左右されることもあるだろう。
また、WX01との接続方法にUSBではなくWi-Fiを使うと、他の利用者が使うWi-Fiとの電波干渉によって極端に速度が低下する場合もあるが、WX01は2.4GHz帯のWi-Fiのほか、5GHz帯での通信にも対応。5GHz帯を利用すれば電波干渉が少なくなることも多いので、スマートフォンやタブレットで使用する際は便利だ。ちなみに5GHz帯を屋内でしか利用できないモバイルルーターも多いが、WX01は屋外での5GHz帯使用が可能となっている。
今のところは他キャリアを含めモバイル通信でこれだけの速度が得られる製品・サービスはほとんどない。いずれはギガビット超えを計画しているというUQのモバイル通信の進化の第一歩を、WX01で体感してみてはいかがだろうか
(日沼 諭史)
関連リンク
- UQ WiMAX ホーム - 超高速モバイルインターネットWiMAX2+
- http://www.uqwimax.jp/
- WiMAX 2+ 新サービス・新デバイス発表会
- http://www.uqwimax.jp/lp/220m/