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Windowsからの移行もOK?Sun
Ray上で実現する「WindowsのThin Client」 |
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2月18、19日に開かれた「Java Technology Conference
2004」の展示会場にあるサン・マイクロシステムズのブースでは、前日に発表されたUltraSPARC IVやOpteronを搭載したサーバーなど同社の製品が展示されていたが、その中にWindows
XPが動作している変わった形の端末が展示されていた。
これは「Sun Ray」というThin Client(シン・クライアント)のクライアント端末。Thin Clientとは、OSやOfficeなどのアプリケーションをすべてサーバー側にインストールおよび処理を行い、クライアントはキーボードやマウスからの入力と画面の表示の出力のみを行うシンプルな設計の端末で構成されるシステムを指す。
Sun Rayの大きな特徴は「Javaカード」と呼ばれるIDカードで認証を行うことだ。そしてネットワーク上のどの端末でもJavaカードを差せば、サーバー上で保存されている自分のデスクトップ環境を一瞬で呼び出し、「自分のPC」として利用することができる。
管理者側にもメリットは大きい。各PCにそれぞれOSやアプリケーションをインストールする手間がなく、セキュリティも含めて一括で管理できる。また、アプリケーションの動作速度に不満が出るような場合でもPCを買い換えず、サーバーを増強(スケールアウト)すればいいため「結果的にTCOを抑えることができる」(同社)。
そんなSun Rayだが、1998年の発売以来、導入例はまだ少ない。Thin Clientの特徴がユーザーに伝わりきれてないのもあるが、その最も大きな原因は事実上デスクトップのスタンダードであるWindowsが使えないからにほかならない。しかし、そんな状況が「Tarantella
Enterprise 3(以下、Tarantella)」の発売により変わるかもしれない。
TarantellaはSolarisなどのUNIX上で動作するミドルウェアで、アプリケーションサーバーにインストールされているWindowsやLinuxなどのOSをWebアプリケーションとして利用することができる。さらにTarantellaは、WindowsなどをWebブラウザ上で動作させることができるほか画面全体に表示できるKioskモードが利用でき、目の前のPCにWindowsが動作しているのとまったく同じ使い勝手で操作することができる。もちろん、Javaカードを取り出しほかのSun
Rayに差せば、取り出した時点の状態をそのまま呼び出すことができるなど、Sun Rayの特徴はそのまま利用可能だ。
それではWindows周辺機器への対応はどうだろうか。サンによると、ネットワークプリンタに関しては同一ドメイン内であればWindowsがインストールされているアプリケーションサーバーから認識することができるため、通常のWindowsと同じ感覚で利用することが可能とのことだ。また、同社がサポートしているプリンタや入力デバイス、認証デバイスについてもSun
RayのUSBポートに接続して使うことができるが、USBメモリやMOドライブなどの外部ストレージは利用できない。同社によると「将来的にはサーバー側で許可された端末のみ外部ストレージを利用できるようになる予定」とのことだ。
Thin Client環境に魅力を感じつつもWindowsが利用できないために導入に踏み切れなかったり、PCの管理に手を焼いている管理者には検討してみる価値があるのではないだろうか。また、同ブースでは試作品ながらIEEE
802.11bの無線LANを内蔵したノート型のSun Ray端末も参考展示されており、設置する環境に合わせて端末を選ぶことも可能となる予定だ。
■ URL
サン・マイクロシステムズ株式会社
http://jp.sun.com/
Thin Clientについて
http://jp.sun.com/products/desktop/infoappliances/index.html
Tarantella Enterprise 3
http://www.tarantella.co.jp/product/e3/e3.html
( 朝夷 剛士 )
2004/02/26 00:00
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