全体のフォルム自体はMebius MURAMASA PC-MM1シリーズに準じたものである。大きさ自体はほぼ同じで、251×206×19.6mm(最厚部)となっている。ただ、手前の厚さは13.7mm→15.7mmと2mmほど厚くなったものの、シャープな印象は変わらない。見た目で言うと、液晶の周囲の色が、従来のシルバーからマットブラックに変更され、より精悍な印象を受ける。外観で他に目立つのは、キーボード右上に追加されたMOBILEスイッチだが、これについては後で触れる事にしたい。特筆すべきは重量である。細かな仕様の違いも後で細かく説明するが、前モデルの重量が950g(標準バッテリー)/1.03Kg(中容量バッテリー)/1.21Kg(大容量バッテリー)なのに対し、新しいMURAMASAは910g/990g/1.17Kgと更に軽量化されていることだ。性能が上がり、バッテリー寿命まで延びているにも関わらず、サイズや重量が減っている事の意義は非常に大きい。 では使い勝手はどうだろう?サイズがサイズだから、キーピッチが大きいとは言えないが、ミニノートサイズとしては大き目の部類(17mm)に入る。事実筆者はタッチタイプに何の苦労も無かった。キーストロークも1.7mmを確保しており、本体の薄さを考えれば十分と言える。適度なコシもあり、1時間ほど文章を入力してみたが、特にストレスを感じる事はなかった。またテーブルなどに置くと、わずかに手前に傾斜しているのも使いやすさに繋がる部分だ。 液晶に関しては引き続き10.4inch XGAであり、この部分では大きな違いはない。ただグラフィックコントローラが旧モデルのLynx 3DM+からATIのMobility RADEONに変わり、同時にグラフィックメモリも8MB→16MBに増えたため、例えば外部ディスプレイ表示時に1600×1200ピクセル@16bitカラーが表示できるようになったとか、DirectX7相当の3Dアプリケーションがちゃんと稼動するといった辺りは便利である。ただハードウェアT&Lなどは持たないから、最近のネットワークゲームなどをするにはちょっと不足を感じるかもしれない。ただ、わざわざミニノートをこうした用途に利用するか?というとやや微妙なところで、筆者の個人的意見としてはこの程度で十分という気がする。 |
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薄型軽量ノートの一般的な欠点として、周辺機器用インターフェースが不十分という事が挙げられる場合は多いが、そのあたりもぬかりはない。本体左にはUSB 2.0×1、クレードル用インターフェース、ヘッドホン端子が、本体右にはUSB 2.0、10/100BASE-Tポート、ACアダプタ端子、PCMCIA/CardBusインターフェースが、背面には外部CRT端子がそれぞれ用意されている。当然無線LANは内蔵されており、しかも旧モデルの802.11bから802.11b/gへと進化している。出先のHotSpotでは802.11bを、自宅やオフィスでは802.11gを、なんて使い分けも可能だ。当然「ブロードバンドチェンジャーII」にも対応している。 また外部クレードルはUSB 2.0インターフェースと充電器をかねており、当然DirectHDの機能も持っている。このあたりは従来のMURAMASAの使い勝手の良さをそのまま継承している部分だ。 ちなみに充電時間は、旧モデルと比較してやや長くなる場合があるのが唯一の欠点だが、それも大容量バッテリーを使った場合の最大充電時間が30分ほど伸びる程度で、大きな問題にはならないだろう。 ところで、搭載されているCPUは先にも述べた通り、Transmetaの新CPUであるEfficeon 1GHzである。既に試作品によるベンチマークテスト結果はコチラの記事で示されており、IntelのULV(超低電圧版)Pentium Mとほぼ互角である事が判明している。実際、Windows XPを(ネットワークアクセスを含めて)使ってみた限り、ほぼストレス無く利用できている。実はこの「ストレス無く」というキーワード、非常に重要である。従来のTransmetaのCrusoe搭載マシンを利用した事があるユーザーならご存知だと思うが、Crusoeでは一度アプリケーションが立ち上がるとまぁまぁ快適に利用できるのだが、複数アプリケーションを切り替えたり、ネットワーク上のファイルサーバーをアクセスしたりすると、途端に遅くなるといった現象が起こる。こうした部分がEfficeonでは大幅に改善されており、かなり負荷を掛けても特に気になるような遅さはなかった。実のところ、真の使い勝手はこういったカタログに表れにくいところに関係するわけで、その意味では大幅に使い勝手は向上した、と言って良いだろう。 ただ、いくらEfficeon搭載といっても、常時フルパワーで動かしていたら電池の減りは早い。使い方に応じて、例えば移動中にテキストを打つような場合はそれほどCPU性能は必要ないし、逆にムービー鑑賞などをしている場合はそれなりのCPUパワーが必要になる。このあたり、本来はEfficeonに搭載されたLongRun2の機能である程度自動調整もできるが、もっと明示的に切り替えできるのが、先に紹介したMOBILEスイッチである。これを"NORMAL"にしておくと、処理負荷に応じてCPUの動作速度を自動的に変更してくれるモードになり、一方"MOBILE"にすると強制的に電池寿命最優先のモードになる。従来こうした機能はソフトウェアで行うのが一般的だが、いちいちアイコンをクリックしてモードを切り替えて...なんて事をせずにスイッチ一発で直感的に切り替えられ、しかも動作モードが一目で判るわけで、これもモバイルユーザーにはありがたい機能である。 |
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この新MURAMASAのラインアップとして、Windows XP Home Editionがインストールされた一般店頭販売モデルのPC-MM2-5NEと、SHARP PC ONLiNEオリジナルモデルでWindows XP Professional EditionがインストールされたPC-MM2-6NEが用意されており、5NEはSHARP PC ONLiNEでも販売している。両者にハードウェア的な違いはないが、6NEはOSが変更され、ACアダプタがもう1個追加されている。PC-MM2-5NEとPC-MM2-6NEオリジナルモデルの違いをまとめると以下のようになっている。 一見価格が2万円安いPC-MM2-5NEの方がお買い得に思えるが、大容量バッテリーとかを追加発注する場合にポイントを利用できるから、実質的な価格差は5000円程度。しかも延長保証とマウス、インナーケース、2個目のACアダプタなども付いているから、実質的にはPC-MM2-6NEの方が割安である。また、オフィスなどではWindowsドメインに参加する必要があるケースも珍しくなく、こうした場合にWindowsドメインに参加できないWindows XP Home Editionでは不便をきたす場合も多い。購入を考えている方は、この機会にSHARP PC ONLiNEオリジナルモデルのPC-MM2-6NEを狙うのが吉である!とお知らせしておきたい。
さて次回はいよいよ製品版でのレビューをお届けする。 ■関連情報 □シャープのホームページ http://www.sharp.co.jp/ □製品情報 □SHARP PC ONLiNE |