屋外にも設置可能! 防水・防塵仕様のワイヤレスセキュリティカメラ「Arlo」
2015/09/18 藤山哲人
リーズナブルなWebカメラを使ってセキュリティシステムを構築しようとなると、サーバを24時間稼動する必要があったり、専用ソフトを探してインストールしたり、電線が届かなかったりで……なかなかやっかい。しかし、専門業者に依頼すると、目玉が飛び出そうな金額になる。かといって簡単なものにすると、オモチャか!というほどチープになる。
そんな帯に短し襷に長しというWebカメラを使ったセキュリティシステムだったが、NETGEARから発売されたArloがすべてを解決した。
ワイヤレスで自由自在!2台あるから応用自在!
屋外設置可能で親機周辺約91m以内を5カメで監視
ArloはこれまでのWebカメラにはない多機能さなので、まず機能をまとめてみた。
- ワイヤレスで親機との間は最大約91m
- 電池交換は最長で半年に1回
- 標準で2台のカメラが付属
- 風雨にも耐える防水・防塵仕様
- 夜間は自動で赤外線LEDを照射
- 最大5台までカメラ(別売)を追加できる
Arloの特徴は、ワイヤレスということ。しかし、ただのワイヤレスではなく、乾電池式で電池が6カ月持つという点だ(条件により短くなる)。ワイヤレスWebカメラは世の中に数多くあれど、ここまで電池が長持ちするものは筆者の知る限りない。ただ、ひと昔前の銀塩カメラでよく使われていたちょっと高い電池(1本600~700円ぐらい)を4本使うので、半年に1回2500円程度の電池代がかかる。とはいえ一般的なワイヤレスWebカメラは、電池の持ちが悪くワイヤレスといえども数日~数週間に1回充電してやらなければならず、充電にしばられワイヤレスの魅力を十分に発揮できなかった。
これまでは充電のために手の届く範囲にしか設置できなかった一般的なカメラだが、Arloは半年に1回の電池交換でよいため、手の届きづらい天井近くに設置しても不便さを感じない。ホンモノのワイヤレスWebカメラが遂に登場したと言ってもいいだろう。
有線カメラにすればバッテリーを気にする必要はない。でも今度はケーブルにしばられる。ハブから遠ければケーブルを延長しなければならないし、途中のケーブルを壁などに固定するだけでも大変だ。もし位置が悪くてやり直そうものなら、面倒でメゲてしまうだろう。
Arloならケーブルのわずらわしさもなく、バッテリー交換の面倒さもなく、これまで設置することができなかった場所からのアングルでも撮影可能だ。そのアングルもユニークな取り付け台で微妙に変えられるだけでなく、三脚用のネジ穴も備えているのでさまざまな固定方法ができる。
さらにArloには、標準で2台のカメラがついてくる。防犯用なら部屋の中と玄関を撮影するのに使ってもいい。また、部屋を北と南側から撮影するように設置すれば死角もなくなる。定点カメラとして使うなら2カ所を同時に撮影できるし、玄関と勝手口の防犯カメラに使うことだってできる。
また、カメラは3台まで追加できるので、計5台を使った本格的な防犯システムをリーズナブルに導入することも可能だ。ただしカメラと親機は無線でデータをやり取りするため、最大約91m以内となっている。しかし障害物などがあると電波が届かなくなるので、自宅の無線LAN親機でスマホが通信できる範囲という感じで捉えたほうがいいだろう。
ほかのWebカメラと大きく異なるのは、屋外でも利用できるという点。防水防塵規格はIP65準拠となっており、風雨に晒される(水没NG)ような場所に設置しても問題ない。これは防犯や屋外での観察用としてのアドバンテージが高い。
防水・防塵仕様なので屋外でも使える。ただし親機は屋内仕様
とくに防犯カメラとして玄関に設置すると、暗い玄関に合わせて露出が合ってしまうという問題が多々ある。つまり玄関ドアを開けてヒトが入った瞬間は外光で露出オーバーとなり、顔がさっぱり映らないのだ。その点、Arloは玄関ドアの外に設置できるので、露出オーバーになってしまうことがない(朝日や夕日がレンズに入りこまないようにすること)。
夜間はといえば、赤外線LEDを搭載しているので、真っ暗闇でも対象物がハッキリ写るようになっている(ただし白黒モードになる)。外光を使ってカラーで撮るか、赤外線LEDを照射して白黒で撮るかはカメラが最適なモードを勝手に決めてくれるので、設定のわずらわしさもない。
防犯・見守り・実験・観察オールマイティ
監視時刻の設定と動き検知で瞬間を見逃さない!
こんなに便利なWebカメラなので、その用途は多岐にわたる。大まかなところを挙げれば、次のようなシーンで便利だろう。
- 家庭用防犯カメラ(居間と玄関、玄関と勝手口など)
- 小規模事務所のセキュリティカメラ(事務所内、入り口)
- 事務所入出管理カメラ(入り口、出口)
- 赤ちゃんの見守り(ベッド全体と表情など)
- 別居中のお年寄りの見守り(居間、玄関、廊下など)
- 留守中のペットや子どもの見守り
- クルマや庭の監視
- 動物などの観察
一般的なWebカメラは、ただ現場を撮影するだけ。しかしArloは、映像の変化を常に監視して、動きがあった瞬間から撮影を開始できる。映像にどのぐらい変化があったら撮影を開始し、どのぐらい撮影を続けるかは、カメラごとに指定できるので、小さな変化から大きな変化まで見逃さない。 Arloは、防犯や見守りなど、動きがあったときだけ映像記録を残したいヒトに最適なカメラだ。
確実に顔を録画したい場合などは、1台のカメラで出口付近のヒトの動きを検知し、それをきっかけ(トリガー)に、出口に設置した顔をアップで撮るカメラの録画を開始するといった手の込んだシステムもつくれる。
しかもその映像は、NETGEARが運営するサーバに記録されるので、自宅にパソコンも不要だ。必要なものといえば、インターネットの回線とブロードバンドルーターぐらいだ。どちらもスマートフォンを使っているヒトならたいてい家庭に導入済みだろう。
スマホで見た場合。プレイボタンを押すとリアルタイムの映像が見られる(電池の消費が多くなるので注意)
撮られた映像を見るには、Arloのサーバにアクセスするだけ。スマホなら専用アプリで簡単に、PCでもWebブラウザで簡単にアクセスして、映像を再生できる。もちろんIDとパスワードでセキュリティ管理されているため、他人に映像を見られることはない。
さらに便利なのは、何らかの異常(映像の変化)があると、メールでお知らせしてくれる点。メールを指定時間のインターバルで読みに行くタイプ(POP3)ではタイムラグが生じるが、キャリアのメールやIMAP4というメールで受信すると、ほぼリアルタイムで変化を知ることができる。何かあればスグに対応できる即時性も素晴らしい。
またスマホの場合、専用アプリをインストールすると、変化を捉えてアプリがお知らせしてくれる機能を持っている。この「お知らせ」をメールと切り離したい場合に使うといいだろう。もちろんこちらも即時に通知される。
ただヒトの出入りが多い事務所などで速報機能を使うと、速報のメールや通知が鳴り止まなくなる。こんなときは、速報せずにサーバに録画だけするという設定も可能だ。
カメラごとに動きを検出した場合の処理を設定できる。また動き検出の感度調整も可能だ。この設定では玄関のカメラ感度を30%にして、動きを検出したら10秒間録画、指定のメールアドレスに通知している
また、時間帯を指定して監視することもできる。日曜日~土曜日まで曜日ごとに、監視する時間帯を分単位で指定できるので、就業時間帯以外を監視させたりといった使い方も可能だ。たとえば夜行性の動物を観察するなら、昼間の時間帯はOFFにしておけば、よりバッテリー容量を長持ちさせられるだけでなく、あとで映像を整理する場合に余計な映像を削除する手間も省けて便利になる。
なお録画した映像は、Arloのサーバにアクセスすると見られるので、IDとパスワードを知っているヒトならば、外出先のスマホなどで再生できる(同時にログインできるのは一人だけ)。もちろん録画したムービーをダウンロードもできる。また「友人」としてメールアドレスを登録しておけば、本体の設定は変更できないが、撮影した映像のみ再生できるようになる。管理者を何人か立てる場合や、共同で観察をする場合など便利に使える機能だ。
ここまで紹介した機能をまとめると、いままでのWebカメラではできなかった、次のようなシステムが簡単につくれる。
- 夜間のみ監視するホームセキュリティ
⇒異常を検知すると速報しビデオを撮影 - 業務時間中のヒトの出入りをすべて監視
⇒速報はせずにビデオのみ撮影 - 遠くに住む両親の安否確認
⇒廊下などに設置し速報。ビデオの確認 - 留守中の子どもやペットの見守り
⇒居間などに設置し速報。リアルタイム再生 - 夜間のみ動物の生態を観察
⇒複数人で速報共有。ビデオやリアルタイム映像を確認 - 1台で動き検知、もう1台で顔をクローズアップで撮影
⇒複数台のカメラは互いの動き検知をトリガーとして、撮影を開始できるという使い方もできる
これだけの多機能を誇る「Arlo」
セットアップもパソコン不要で簡単
これだけ多機能だとさぞかし難しいのでは?と尻込みしてしまうかもしれない。Arloのカメラは国内で発売開始されたばかりだが、海外ではすでに人気の製品としてその名を轟かせている。その秘密は、使い勝手にあるといっていいだろう。
なんとこれだけ多機能な製品に関わらず、すべての操作がスマホ(iPhone&Android)でできてしまうのだ。しかもセットアップですら、パソコン不要でスマホだけでOK。いや、むしろスマホでセットアップしたほうが簡単というレベルだ。
ハードの設定は簡単。まずArloの親機とルーターを有線LANで接続
電源を入れたら親機のボタンとカメラのボタンを押してペアリングする
ハードウェアのセットアップは、まず親機をブロードバンドルーターに接続して、ACアダプタを接続するだけ。親機自体にコンピュータが内蔵されているので、起動するとArloのサーバに自分自身で接続し準備をしてくれる。
一方でワイヤレスWebカメラは電池を入れ、親機とカメラにそれぞれついているペアリング(認識)ボタンを押すだけで接続完了。このまま2台のペアリングをしてもいいが、最初は1台でアプリの使い方や設定に慣れてから、2台目をペアリングするといいだろう。
ソフト側のセットアップは、親機のシリアル番号とArloのアカウント登録。画面はPCでセットアップしているところ。スマホでも同様の設定をするだけ
ソフトの設定は、ArloのWebサーバにアカウントを作り、そこに親機のシリアル番号を入力して紐付け(関連付け)するだけでいい。スグそこにカメラがある場合でも、一度Arloのサーバを経由して映像を見たり設定を変更することになり、えらく遠回りと思うかも知れない。しかし職場から自宅の様子をチェックしたり、遠くに住む両親を見守ったりできる柔軟性を持たせるのに一番合理的な方法なのだ。リアルワールドの距離感は、インターネットには存在しないのだ。
位置やアングルを変えて最適な場所を探せるのが
ワイヤレスWebカメラ最大の便利さ
親機1台で最大5台のワイヤレスWebカメラを接続できる本機。有線カメラだと位置やアングルを1発で決めないと大変な作業になるが、ワイヤレスなら何度でもやり直しが効いて、最適な設置場所とアングルが決められる。
最初からカメラが2台セットというのも魅力のひとつだろう。ホームセキュリティや見守りはもちろん、小規模オフィスのセキュリティでも十分に使える製品だ。
その簡単さと信頼性は、先行して海外で発売され人気を博していることが保証済みだ。