■スターを魅了する監督、ガイ・リッチーの魅力
世界を熱狂させたデビュー作の成功により、リッチーは一躍時代の寵児となった。だが、映画界ではスターの彼も、エンタメ界のスパースター、マドンナと結婚したことにより、妻と絡んだ話題ばかりが伝えられている。最近では“マドンナの夫”というイメージばかりが先行して、本人の人柄や魅力があまり伝わってこないのが、ファンとしては少々残念である。 話題の2作がいずれも犯罪ものを扱ったキワモノなので、タランティーノのようなハイパー・ハイテンション・キャラなのかと思いきや、DVD特典の音声解説やメイキング映像から感じられる人柄は、穏やかな紳士といったところだ。自作を客観的に観察し、真摯な姿勢で捉えている様子には知性が感じられ、売れっ子の驕りなど微塵も感じさせない。下世話なセリフも下品にならない。残酷非道なシーンにもスタイルがある。そんなリッチー作品には、監督自身の知性がしっかり反映されていたのである。人柄だけでなく、前述の通り彼の才能は比類がない。それを証明するエピソードには事欠かない。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で監督の才能に惚れ込んだブラッド・ピットが自らラブ・コールを送り続け、破格のギャラで念願のリッチー作品出演を手にしたというエピソードはあまりにも有名だ。しばしば俳優たちはギャラの額に関係なく作品への参加を熱望する。それは監督の才能がスターたちを魅了している場合に多く起こる。ソダーバーグ監督の最新作『オーシャンズ11』で、ハリウッドきっての高額ギャラを受け取るスターたちが夢の共演を実現させたのは、この最たる実例である。予算が多ければ作品の質が高くなり易いことも事実だが、監督に才能があれば予算の高低に関わらないというのも、また事実なのである。 ところで、音声解説の最後にはガイ・リッチーから映画制作についての爆笑アドバイスが寄せられている。映画制作を目指す人もそうでない人も、楽しみにお聞きいただきたい。
■Disc1:片面1層 Disc2:片面1層 ■画面サイズ:ビスタサイズ(16:9) ■収録時間:約103分 ■音声仕様: 1,英語 5.1chサラウンド 2,英語 ドルビーサラウンド 3,日本語 5.1chサラウンド
■音声解説(監督&プロデューサー) ■ミッキーのセリフに字幕 ■“ダイヤを盗め”(3つの未公開シーンへスキップ) ■オリジナル劇場予告編 ■TVスポット集 ■メイキング・ドキュメンタリー ■ストーリー・ボード ■未公開シーン集 ■フィルモグラフィ ■おまけ映像(撮影風景)