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原題:
『CAST AWAY』
Cast&Staff:
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ウィリアム・ブロイルス,Jr.
製作:スティーヴ・スターキー/トム・ハンクス/ロバート・ゼメキス/ジャック・ラプケ
製作総指揮:ジョアン・ブラッドショー
撮影:ドン・バージェス
プロダクション・デザイナー:リック・カーター
音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:トム・ハンクス/ヘレン・ハント/クリストファー・ノース/ニック・サーシー
販売メーカー名:
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
定価:3,980円(税別)
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作品賞、主演男優賞、監督賞、脚色賞など、アカデミー賞主要部門を総ナメにした『フォレスト・ガンプ/一期一会』から6年。ハリウッドのゴールデン・コンビ、ロバート・ゼメキス監督とトム・ハンクスが再び手を組み話題となったのが今回ご紹介する『キャスト・アウェイ』だ。
世界宅配便のフェデックスに勤務するチャック・ノーランド。システム・エンジニアとして活躍する彼は、世界を飛びまわる忙しい日々を送っている。ある日、急な出張要請により彼が飛び乗った飛行機が墜落。なんとか一命を取り留めたものの、漂着した先は無人島であった。
この作品が凄いのは、2時間を超える本編の大半をトム・ハンクスの一人芝居が支えているというところだ。その部分はまるで舞台のようである。ここまで見せ場が多いとなると、さぞ俳優冥利につきることだろう。ここはひとつ思いっきりオスカー級演技を堪能していただきたい。無人島でイライラするトム。気を取り直してココナッツを割ろうとするけれど、割れないトム。ふとしたことから道具を使うことを思いつくトム。黙々と火をおこすトム。魚を獲るトム。例のミスター・ウィルソンと話をするトムなどなど、とにかくいろんなトムが堪能できる。その様子はまるで人間の進化の歴史をひとりで辿っているかのようでもあり、人間の順応性の高さや逞しさ、そして知性を感じずにはいられない。それと同時に孤独との闘いの中で、生還への望みを持ち続けようとする男の姿が痛いほど切ないのであるが。
『スプラッシュ』や『ビッグ』で見せたコミカルな一面もキュートだが、今やシリアス路線がすっかり板についたご様子のトムだ。オスカーに計5回もノミネートされ、うち2度は受賞しているという男版メリル・ストリープのような彼であるから、名優ぶりは世界が知っている事実。だが、それを生かすも殺すも監督次第というところに、このゴールデン・コンビ再結成の意味がある。トムの才能を完璧なまでに引き出したゼメキスは『バック・トゥ・ザ・フューチャー
』シリーズ、『コンタクト』『ホワット・ライズ・ビニース』などを手がけたヒットメーカー。しかしその地位に安住することなく次々と映画の新しいスタイルを作ってゆくチャレンジングな姿勢は、若手のインディーズ監督なみである。今回見せた映画史上稀に見る長時間一人芝居の演出には思わず唸らざるを得ないだろう。豪華キャストを揃える傾向にあるハリウッドの映画制作に渇を入れているのだろうか。ここまで来ると作品の好き嫌いはもはや問題ではない。役者魂、監督魂に触れる1本として抑えておきたい映画である。
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