肉体だけの関係で上手くいっていた二人だが、ジェイがそこから一歩踏み出そうとしたことによって二人のバランスは崩れていく。『ラストタンゴ・イン・パリ』でのマーロン・ブランドも似たような過ちを犯していたが、女は追いかけてはいけない絶対に(笑)。まあ、何度も関係を重ねていけば相手のことを知りたいという欲求が出てくるのは自然なことだと思うので、一概にジェイのことを責めるわけにもいかないと思うが、なんといっても、その後のジェイの恨みがましい、女々しい言動や行動はいただけない。職場では若いバーテンダーから慕われるしっかり者のジェイだが、その実、性格は子供っぽい。結婚に失敗した心の傷からか、他人との関係性が上手く保てない。いや、幼児性が強く、他人との関係性から逃げ出してしまう性格だからこそ結婚が破綻したと言えるかもしれない。そしてある種身勝手で貪欲なクレア。そう、ジェイとクレアの恋愛は非常に現代の男女の恋愛を象徴した関係と言えるのだ(ヨーロッパ映画にはよく見かける構図とも言えるが)。
さて、男と女の間に生まれる親密さとは何か。男と女はどうしたら一緒にいられるのか。様々な問題定義を投げかけてくれる『インティマシー』。(多分)欧米人に比べて愛について考える時間が少ない日本人にとって、たまにはこういった作品を鑑賞する時間があってもいいのではないだろうか。
2001年ベルリン映画祭 金熊賞受賞・銀熊賞受賞・嘆きの天使賞受賞
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