vol.23『オーシャンズ11』 vol.22『プリティ・プリンセス』 vol.21『ピアニスト』 vol.20『アモーレス・ペロス』
vol.19『ハリー・ポッターと賢者の石』
vol.18『殺し屋1』
vol.17『ムッシュ・カステラの恋』
vol.16『インティマシー』
vol.15『Short6』
vol.14『メメント』
vol.13『GO』
vol.12『赤ずきんの森』
vol.11『ドラキュリア』
vol.10『陰陽師』
vol.9『サイアム・サンセット』
女性の社会進出が進んだ昨今、ヒロインがシングルマザーの道を選ぶ等、多少の変化球はあるとしても、もはや定番モノとなった、嫁き遅れの女性が七転八倒しながら恋人を探すお話である。原作は世界23ヶ国で翻訳された同名のベストセラー小説。上野千鶴子あたりのフェミな方々が観たら鼻で笑いそうだけど、世の中の大抵の20代後半、30代前半の働く独身女性だったら、本作品のヒロイン、ブリジット・ジョーンズに共感する部分は多いんじゃないだろうか。 世の中のほとんどの人は結婚するし、女性が社会で一人で生きていくのは並大抵のことではない。なんだかんだいっても「いい男」が手に入れば解決する問題は多いもんね(実際はそんなこともないんだろうけど、独身女性にはそう見える)。というわけで、そんな悩み多きシングル女性の分身となって、映画の中で悩んだり、苦しんだり、恋をしてくれるブリジットだが、これが仕事はできないし、三十路にもなっていっつも男のことばっかり考えてるようなダメダメなOL。出版記念パーティ会場で司会を務めることになった彼女は、密かに恋心を抱いている編集長ダニエル(ヒュー・グラント)の前でいいところを見せようとしてスピーチで大失敗したり、転職先のTV局のレポーターの仕事でもミス多発。本人はマジメなんだけど、天然ボケキャラなので、映画全編にわたって思わずこっちが吹き出しちゃうシーンの続出なのだ。例えば彼女は、このまま一生独身で犬の餌食になってしまう自分を想像したり(なんで犬に食われるのかよくわかんないけど 笑)、部屋の中でジェイミー・オニールの「オール・バイ・マイセルフ」を大声で歌ったりと、イタイんだけど、な~~んか憎めないキャラ。 私もブリジットと同様に独身歴が長~~いので、このテの映画やドラマも数多く鑑賞しているけど、若い盛りを過ぎた独身女性が抱える悩みって万国共通なんじゃないだろうかとシミジミ思う。犬に食われるとは思わないけど、将来「アパートで孤独な老人死」という新聞の見出しに載る自分を想像しちゃうこととかあるし(笑)。それに、ブリジットは面白いだけじゃなくって、とっても前向きな女性。男にだまされたって、仕事でドジしたって、そりゃ落ち込むけど、すぐに立ち直ってダイエットしたり、転職活動したりする。 映画を見終わった人はきっと、彼女の底抜け前向きパワーをもらって元気になっているはずだ。まあ編集長ダニエルにしろ、敏腕弁護士のマーク・ダーシー(コリン・ファース)にしろ、なぜにブリジットの周りにはいい男がたくさん!? オイオイ、それはあり得ないだろう。。。とも思うが、ま、それは映画ってことで、夢を見せてもらいましょう。ヒュー・グラントはこのところ、悪い色男復活でいい感じ。コリン・ファースのヒューとは全然違う無骨な男の魅力も素敵だ。
それにしてもこの作品で描かれるイギリスって、すごく保守的なのでびっくりした。ブリジットはパーティに顔を出すたびに「結婚しないのか」とか「恋人はいるのか」とか聞かれちゃってるし、出版社の編集長というどっちかというとラディカルな仕事に就いているダニエルでさえ、アメリカ人女性を評するのに「彼女はアメリカ人だから自己主張ばかり強くて」というセリフを言ってみたりと、女性は家庭に入り、あまり主張しないで御主人に尽くすのが美徳だと言わんばかり。同じ保守的ならパーティ文化のない日本の方が気楽じゃんと思ったくらいだ。あと、イギリス人でダサイ系の女ってほんとダサイのね。ブリジットはちょっとダサ系でもキュートな魅力があるけど(この映画のために、レニー・ゼルウィガーは6キロ体重を増やしたらしい)、少し前に日本で公開されたイギリス映画「ジャニスのOL日記」のジャニスなんて、ほんとにイタかったもんなぁ。。。。などというイギリスへの考察はいいとして、この映画のもう一つのお楽しみはBGMだ。「ハレルヤ・ハリケーン」や「アイム・エブリ・ウーマン」等など、30歳前後のOLに馴染み深いポップスのオンパレード。狙ってるとわかっていても、思わずニンマリしてしまう選曲がとってもニクイ。 なにはともあれ、現在恋人がいない人や、元気をもらいたい人にはオススメの作品。観終わった後、ありのままの自分を受け入れて、頑張っていこうという気持ちになりますよ。
監督:シャロン・マグワイア 製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ジョナサン・キャベンディッシュ 脚本:ヘレン・フィールディング、アンドリュー・デイヴィス、リチャード・カーティス製作総指揮:ヘレン・フィールディング 撮影:スチュアート・ドライバーグ 美術:ジェマ・ジャクソン 音楽:パトリック・ドイル 2001年9月、日劇プラザ他にて公開