「配給会社にもいろいろあるんですね」 北條さん 「劇場で知らないことを配給会社に教えてほしいんです。それが劇場と配給会社との理想的な関係だと思うんですけどねぇ」 「ユーロスペースの作品選定の基準というのはあるんですか」 北條さん 「なんとなくね。まず若い作家の作品。多くは監督さんです。それで、表現に力を持っている人の作品。そして映画の中枢ではなく周辺国の作品です。たとえば、ヨーロッパならイギリスやフランスはまずなくて、スペインとかチェコとかロシアとかフィンランドとか。でアメリカよりもアジアとかね。こういう基準で選んでいくと、今まで上映してきた作品になるんです」 「儲かっていますか?」 北條さん 「映画産業はむくわれないよー、ホント。配給もやっていますが、打率は三割が精一杯。駄目だった時に、いかに被害を最小限に押さえるかを考えないとまずいですよ。ダメージ・コントロールね。これが大事。やっぱりね、好きだからやっているんですよ」
(谷古宇浩司)
【劇場データ】 1977年1月に「ドイツ新作映画祭」を戦後初めて開催して自主上映活動を開始、ヴェンダース、ファスビンダーらを日本に紹介する。1982年にミニシアター「ユーロスペース」を渋谷に開館、「シネマスクエアとうきゅう」らとともに、今日のミニシアター・ブームの草分けと称される。 初上映作品『ある道化師』であった。以後ヨーロッパ、アジア映画を中心に、独自の映画配給・興行とともに、日本映画の製作及び外国映画の共同製作を行い、特異な活動を展開してる。 劇場はユーロスペース1、2の2館。それぞれ座数75席(立見25席)、106席(立見35席)。 □ユーロスペースOFFICIAL SITE http://www.eurospace.co.jp/