「同じ仕事をしている日はほとんどないです。毎日その日によってやることが違ってくるんです」と杉山さんは言う。例えば、今日。『LOUISE(TAKE2)』のパンフレットを8月17日までに納品しなければならず、朝から色校、文字校などの校正作業を行い、『がんばれ、リアム』の予告編制作の進行管理をやり、その合間に各媒体に対して、電話による宣伝活動のアポイント取りを行っていた。 そのほか、前出のように、インタビューのセッティングや試写会現場への同行もする。「確かに忙しいんですが、それも日によって違ってきます。今日は・・・、なんとか早く帰れそうです」と笑う。
学生の時(97~98年)に休学をして1年間イギリスのウォーリック大学に留学をしていた。大学では英文学科にいたということで「ある程度、英語はできる状態」だったという。「とにかく英語を話せるようになりたかったんです。結局、英語でコミュニケーションが円滑に行えるということは、今の仕事にとても役だってます」。 そんな杉山さんは「映画が好きで、映画関係以外の仕事は考えていませんでした」と話す。ザナドゥーへの就職も「新聞に求人広告が載っていたので、応募した結果入社が決まって、とってもラッキーでした」と嬉しそうに言う。やはり、好きな道を頑固に志す人にはいつか必ずチャンスが訪れるのか。「就職に関しては、友人や両親にも、どうするの?と心配されていましたから、ホントにラッキーでした。たぶんあのときに運を全部使っちゃったんじゃないかと思ってます」と彼女は言うが、チャンスを確実に掴み取ったのは彼女自身の功績なのである。幸運以外の何かがなければ、自分の好きな職にはつけないはずだ。
高校生の時には「音楽ライターになりたかった」。その後、「映画っていうのは、音楽や絵やとにかくワタシの好きなあらゆる要素が総合されたメディアであると認識」するに至り、映画関係の道を志すようになる。しかし、「作りたいとは思わなかったですね。観るのが好きなんです。やっぱり」。なるほど。 将来の展望について、彼女は言う。「う~ん。今はそういうことをまったく考えられないですね。映画にかかわっていきたいというのはありますが、とにかく今の仕事をちゃんとやっていきたい、というのが本音です」。 こう言う背景にはこれまでの3年間に溜まってきた失敗が横たわっているのだろうか?「失敗はもう、たくさんありすぎて。でも都合の悪いことは全部忘れるようにしているんです」とあっさりかわされた。ただ、特にあげるとすれば、『Candy Lover Girl』の公開時に、主演のタラ・サブコフ嬢の来日を「個人的なツテを頼って行った結果、最後になって、向こうのエージェントからクレームをもらってしまったんです」ということ。最終的には全てが丸くおさまって、無事サブコフ嬢は来日し、インタビューのセッティングもうまくいったのである。
(谷古宇浩司)