2001年10月
「シブヤ・シネマ・ソサエティ(S.C.S)」 総支配人 山下章さん

「シネクイント」支配人 斉藤 智徳さん

「ユーロスペース」劇場支配人 北條誠人さん

2001年9月
「シネアミューズ」劇場支配人 佐藤順子さん

「東宝株式会社」菊地裕介さん

「アップリンク」中村美穂さん

「セテラ・インターナショナル」加賀谷光輝さん

2001年8月
「ザナドゥー」杉山淳子さん

「ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン」石井恵美子さん

「スローラーナー」遠藤麻早美さん

2001年7月
「有限会社リベロ」武田由紀さん

「日本ヘラルド映画」島田いずみさん

「UIP映画」宮下恵理さん

「オンリー・ハーツ」中村洋子さん

「プレノン・アッシュ」佐藤美鈴さん


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 『パール・ハーバー』で夏の映画界を席巻するブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン。今回紹介する石井恵美子さんはブエナ ビスタの宣伝部に所属する。「下っ端だから、ほとんど話すことないんですよ」と言いながらも、実際にはたくさんあったじゃないですか。そんな石井さんのクールな日常を聞いた。
 


「宣伝活動に関わる諸事全般が仕事といっていいです」
 ブエナ ビスタの宣伝部は6人(部長さんをのぞく)で構成されている。仕事は大きく電波媒体と紙媒体に分かれており、担当する作品ごとに仕事が分担されるということはない。

 「その中でわたしは紙媒体の担当なんですが、インターネット関連媒体の担当でもあるんです」と石井さん。ブエナ ビスタのホームページ上での宣伝活動や他のウェブサイトに対する宣伝もほぼすべて石井さんの手にかかっているというわけだ。

 「できてない部分のほうが大きいんですけど、実際それだけじゃないですよね(笑)。宣伝活動全般に関わる諸事一般が仕事といってもいいくらい」。つまりは相当に忙しいということなのだ。


「著作権や版権の管理にはとても厳しいです」

 ところで、インターネット関連の宣伝活動とは具体的にどんな内容なのだろうか。「紙媒体や電波媒体とはまったく別物なんです。通常は、どのくらいの紙面数で、どんな企画で、という具合に媒体の方で制限があって、こちらからお出しできる資料なんかも結構融通がきくんですが、インターネットだと逆にお出しできる資料の制限が厳しいんですよ」。というのは、ウォルト・ディスニー作品の配給を行うブエナ ビスタでは、著作権や版権の管理が非常に厳しいので有名で、違法コピーがなされる危険性のあるインターネット上では「基本的に画面ショットは3枚までという制限がついているんです」というくらい。

 「今はそうでもないですけど、昔は写真1枚を貸し出すのに、契約書を1枚貰っていたくらい」の厳しさだ。それゆえ、ブエナ ビスタが展開するホームページ上での宣伝がメインとなり、他のウェブサイトの場合「色々な企画を頂くんですけど、本社との制限に引っかかる内容のものや管理出来ない件などについては、かなり厳しい状況になってしまう」という。仕事内容自体は、媒体の担当者と電話で応対し、企画を進行させていくという極めてスタンダードなものなのだが。
 
 しかし、ここまで築き上げられてきたディズニーのブランド戦略を見ると、それも仕方がないと思わせるものがある。世界最強のブランドイメージを保持するのは並大抵のことではないのだ。それだけに、石井さんの神経も休まるときが少ないのかもしれない。



「電話での質問には冷や汗がでます」

 だから石井さんの失敗もそういう細かい神経を配る部分で発生するのである。「こちらの意図したイメージと媒体さんの記事内容の主旨がずれているときはかなり焦りますね。あるいは、文字資料として渡したプレスから写真を流用されたりとか表記の仕方とか。本社から問い合わせがくることもあります。そういうときはもう、なんていうか・・・」。冷や汗ではすまないらしい・・・。

 しかし、石井さんの最大の悩みは実はそういう失敗ではない。確かに仕事上の失敗はイタイものだが、「実は・・・、映画のことってそんなに詳しくないんです。もちろん映画は好きですよ。でもものすごく映画に詳しいという訳じゃないので、電話で色々と質問される時が一番冷や汗が出るんです。しかもディズニー系列の企業なので、多種多様なところから予想もしないような質問をされるんです。例えば、“この作品の音響はなになにを使用しているんだよね”とか聞かれて、えっ・・・何それ、みたいな。あるいは、『ファンタジア/2000』の宣伝の時に実は『ファンタジア』を観てなくて・・・とか。色々な勉強が足りないと実感しています・・・」。



「想像以上に華やかだったと思います」

 先輩の社員の方にはとにかく外に出て、色々な人と話をするのが一番とアドバイスを受けているという。「あるいは雑誌の編集部ではなくても、喫茶店に行ってチラシを置いてくるとか映画館に行くとか、外に出ることが一番の勉強なんですよね、やっぱり」。

 石井さんはブエナ ビスタに就職以前「編集プロダクションで働いていたことがあるんです。そこでビデオ記事の編集もやったりしていまして。でも基本的には劇場とは関係ない生活を送っていたんですよ」。

 ある時、映画関係のメルマガで募集広告を見たことが、入社のきっかけとなった。『面接では、この仕事は全然華やかじゃないし、夜も遅いし、裏方の仕事なんだよ』って言われたんですけど、それでも全然構わなかったので「明日からでも来ます」といったら採用されたんです。実際仕事をしてみると、こうやってインタビューも受けているし、有名な俳優さんにもお会いできるし、全然華やかだと思いますよ。私の想像の方がかなり厳しかったのかもしれない・・・」。

 とはいえ、やはり宣伝担当の方の仕事は、パブリシティだけではなく、試写会の裏方も行うわけで、色々あるのである。「『バグズ・ライフ』の試写会の時に、参加してくれた方々にお土産を配布したこともあるんです。ポップコーンのバケツとドリンクなんですけど、そのときは1回2000人の試写会を合計4回やったんですね。試写の間中、ポップコーンバケツのフタをしめて、ストローを挿す、という事を延々やっていました」。1日約8000個のポップコーンのバケツである。つまりはそういうこともあるのである。



「先輩を見習うのが一番です」

 石井さんの将来の夢は「やっぱり宣伝活動の前線に出ることですね。今は右も左も分からない状態だと思うんですよ。だから先輩を見習って」。

 『パール・ハーバー』の次に控えているのは『恋におちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督の最新作でニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス出演の『コレリ大尉のマンドリン』である。石井さんの活躍に期待しよう。





『コレリ大尉のマンドリン』
2001年 アメリカ 129分
監督:ジョン・マッデン
出演:ニコラスケイジ、ペネロペ・クルス、ジョン・ハート、クリスチャン・ベールほか
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)

9月下旬より全国松竹・東急系にて公開
(C)2001 Universal Studios,Stuio Canal and Miramax Film Corp.All rights reserved.

□オフィシャルサイトへ(英語版)


 

 

(谷古宇浩司)

 

 

 
 
・・・LINK
□ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパン
http://www.movies.co.jp/

□『コレリ大尉のマンドリン』オフィシャルサイト(英語版)
http://www.captain-corellis-mandolin.com/

 



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