島田さんが日本ヘラルド映画に正式入社したのは、昨年の5月である。それまではアルバイトとして宣伝の仕事を手伝っていた。「学生の頃から映画の宣伝という職業を目指して就職活動をしていました。でも、この業界は正式な募集ってあまり行わないんですよ」。
確かに、今までお会いした宣伝担当の方で、「普通に」新卒入社をしたケースはない。「大学4年の時、知人に日本ヘラルド映画の部長さんを紹介していただいて。でも、その時は、空きがないから、ということでそのままでした。その後、9月頃に人手が足りないから来てみないか、というお誘いを受けまして、アルバイトとして働き始めたんです」。
そもそもなぜ、映画の宣伝という職種に惹かれたんだろうか。「もちろん、作品の買い付けにも興味はあったんですが・・・。与えられた作品の良さを引き出すために、作品の背景を勉強したりすることが好きだったんです。映画以外の宣伝ですか?やっぱり映画じゃなきゃ駄目でした」。
島田さんの映画好きは、たとえば中学生の頃に1日3~4本の作品をぶっ通しで見続けた、というエピソードに端的に現れている。「映画を観ている2時間というのは、とても魅力的な時間だったんです。だから、何かきっかけがあったというわけじゃなくて、自然と映画と一緒にいる生活を送るようになっていったんです」。
そして、念願の映画宣伝の仕事についた。
「最初はいい作品なら放っておいても周りが盛り上げてくれる、と思っていました」。しかし、この仕事をはじめてから、放っておいたら埋もれてしまう作品がほとんどであるという事実に気が付く。「例えば、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』は、前評判が非常に高かったんですが、何もしなければおそらく埋もれてしまった作品ではないでしょうか。『トラフィック』もそういう作品ではないかと考えています」。
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