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2000/04/03 9:00

[東京ゲームショウ2000春] 充実した展示のDreamcast陣営

 今回のショーの主役は「否応なしにPlaystation2(以下PS2)」という先入観があったのだが、実際にはライバル機であるDreamCast(以下DC)陣営の方が見るべきものが多かった。特にPS2陣営では未だ「ネットワークへの接続手段」すら見えていないが、DC陣営は「ユーザー好みのネットワークサービスを選択できる」レベルにまで達している印象だ。


■ カプコン「リアルタイム通信サービス」

カプコン
カプコンブースでは「リアルタイム通信サービス」をデモ

 カプコンブースでは、ドリームキャスト(DC)の「リアルタイム通信サービス」の第1弾タイトルである「MARVEL VS CAPCON2」「POWERSTONE2」のフリープレイが体験できた。
 リアルタイム通信サービスはカプコンとKDDが共同で開発したサービスで、極めて低価格で手軽かつ高速に対戦できるという特長がある。従来のインターネット経由の対戦ゲームでは、以下のような問題があった。

・ユーザーが利用しているプロバイダーや回線速度の違いにより、リアルタイム対戦ゲームで重要な一定速度の通信ができない
・未成年では、個人用のインターネット接続環境を持たない場合が多い
・1回あたりのゲーム料金がわかりにくい

 このサービスではこれらの問題を全て解消しているのだ。カプコン側のサーバーはプレーヤーの斡旋をするのみでゲームに参加する際の通信はプレイヤー間で直接行なわれる。このため、ゲーム中は常にモデムの最大速度で通信が行なわれることになる。
 また、サービスに参加するための契約は不要、プロバイダーへの加入手続きも不要で、ドリームキャストと電話回線を接続して直接サーバーへ電話をかけるだけで通信対戦が楽しめる。接続には特別な知識は必要ない。
 サービス利用料金も従来より低価格で、例えば5分間のプレイを楽しんだ場合でも、1回55~65円程度の料金になる見込み。対戦格闘ゲームならばちょうど1ゲーム終わるくらいだ。プレイ料金も、ゲームセンターでプレイする1回100円よりも安いくらいだ。

 今後、このサービス対応のビッグタイトルとしては、格闘ゲームの二大メーカーであるカプコンとSNKのキャラクター達が一堂に会した夢の対戦格闘ゲーム「SNK VS CAPCOM」が予定されている。


■ オンラインRPGがついにDCにも登場

sega
ファンタシースターオンラインの画面

 パソコンの世界ではオリジンの「ウルティマオンライン」が火付け役となり「オンラインRPG」という新ジャンルを確立したが、このタイプのゲームがいよいよDCでも楽しめることになりそうだ。

 まず、第1弾として登場するのが「ファンタシースターオンライン」。SF的な世界観を持ったRPGで、オンライン上の仲間とパーティを組み、広大な世界を共に冒険するようなシステムになる見込みだ。この手のゲームとして少し変わっているのが、オフライン状態で1人でもプレイできる点。あたかもオンラインでプレイしているようにキャラクター達が行動するとのことだ。

 また、国内だけでなく、国外ユーザーの同時参加も可能にする予定もあるとのこと。PS2陣営ではスクエアの「ファイナルファンタジーXI」がオンラインRPGになるとの話だが、具体的なサービス開始時期やその内容はまったく見えてこない。これに対しDC陣営の「ファンタシースターオンライン」は年内にもリリースされる見込みで、ここまでゲーム画面を見せているだけに非常に具体的だ。また、コンシューマゲーム機としては世界初の試み、という点でも期待が寄せられる。


■ DCでもインターネット常時接続が可能になる?

 DCにはモデム機能が標準搭載されているがその通信速度は33.6kbps。パソコン用モデムでは現在56kbpsが標準であることを考えると、この速度はやはり遅いといわざるを得ない。モデム標準搭載は画期的な試みではあったがそのためにかえって、り高速なモデムをオプションとして設定するというのは難しかったようだ。しかし、通信パフォーマンスを要求するオンラインゲームの状況と、PS2というライバルの出現に、セガもDCの通信機能のアップグレード方法を提示するようだ。

 写真下左は、DC用のTA/DSU接続キットの例。発売時期は未定ながら、開発は順調に行なわれているようでDCのISDN回線接続は近いうちに実現されそうだ。
 個人的に興味深かったのは写真下右のDC用LANアダプタ。DCのモデムユニットはノートPCのように脱着が可能になっているが、これは標準モデムと交換する形でDCにLAN機能を搭載するユニット。通信速度は現在のところ不明。こちらも実際の発売を検討中のこと。いちおう、CATV利用者向けのケーブルモデム接続用という製品のようだが、常時接続環境への対応も期待される。

 先頃発表されたマイクロソフトのX-BOXは100BASE-TXのLAN機能を標準搭載する予定らしいが、いよいよゲーム機でもLAN環境、インターネット常時接続環境が実現しそうだ。
 全てのゲーム機で通信環境が整ってくれば、パソコンユーザー、DCユーザー、PS2ユーザー、X-BOXユーザーが共に戦いあえる対戦ゲームなども登場してくるかもしれない。

sega sega
DC用のTA/DSU接続キットの例 DC用LANアダプタ

◎関連URL
■CESAGAME.COM(会期中はショウのレポートページ)
http://www.cesagame.com/

(西川善司)



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