2000/01/21 0:00
[ロータスフィア2000] ロータス、Mobile Notesを発表。 Palmシリーズでもノーツクライアントの利用が可能に
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ロータスフィア会場(プロダクトショーケース) |
ロータスは、2000年1月18日(現地時間)、米国フロリダ州オーランドで開催された同社のイベント「ロータスフィア2000」において、Palmシリーズや携帯電話で利用できる新しいノーツクライアント、Mobile Notesを発表した。
今年で7回目を迎えるロータスフィアは、ナレッジマネジメントやeビジネスなどに関連する、ロータス自身による新技術・新製品の発表やデモンストレーションのほか、200社のビジネスパートナーによるノーツ/ドミノ関連製品やサービス、教育などに関する展示がおこなわれた。会場となったディズニーワールド内のホテルには約1万人の参加者が訪れ、満員で入場できないセッションがでるなど盛況であった。
■ 注目されるMobile Notesの発表
モバイル関係で注目されるのはMobile Notesの発表だ。ノーツクライアントが利用できる環境が、これまでのWindows 95/98/2000/NT、Macintoshベースのノーツクライアント(R5)から、PDAや携帯電話にまで拡大した。これによって、パソコンを持ち歩かなくても「いつでも・どこでもノーツが使える」状況が実現する。
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Mobile Notesのデモを行なう、Mobile & Wireless担当マーケティングマネージャー、Rob Ingram氏 |
Mobile Notesが対象としているPDAにはPalmシリーズ、携帯電話ではスマートフォンがある。Windows CEマシンへの対応は現状では予定されていない。ちなみに、携帯電話をノーツクライアントとして利用する動きについては、日本のほうが先行している。1999年11月に「ロータス ドミノ フォンコネクト R1.0」が発表されており、iモードなどに対応した携帯電話からノーツの電子メールをやりとりしたり、スケジュールやアドレス帳のチェック、データベースの操作が既に可能になっているからである。
そのため、今回のロータスフィアの発表のなかで、日本のモバイルユーザーにとってより興味深いのは、むしろPalmシリーズへの対応ということになるだろう。これまでも、ノーツのデータをPalmシリーズと連携させて、スケジュールやアドレス帳、ToDoリストなどのデータをノーツとPalm間で共有することができなかったわけではない。
Intellisyncのようなサードパーティー製品のほか、ロータス自身からもEasySyncが提供されており、これらを使えばノーツで入力したスケジュールデータをPalmに転送したり、逆にPalm側で入力した結果をノーツに転送しすることができる。互いに矛盾がないように整合性をとりながらPalm―ノーツ間のデータ共有が行なえる基本的な仕掛けはすでに実用化されている。
しかし、EasySyncを使っていてもデータは転送できても、それはPalmシリーズでノーツクライアントが動いているわけではない。ノーツ側に蓄積されているデータベースをPalmにいれて持ち出したり、外出先からPalmを使ってオフィスのサーバーにアクセスしてノーツデータの操作を行なうことは難しかった。
Mobile Notesによって、まさにこのようなことが実現するはずだ。ノーツ(ドミノサーバー)のデータにアクセスするために重いノートパソコンを持ち歩く必要がなくなり、PalmやWorkPadのみの身軽な装備で済むようになる。データのレプリカ(複製)をPalm側にとっておけば、「つなぎっぱなし」ではなくても、つまりオフラインの状態でもデータの読み書きができる。さらに、ドミノ側でPalmの画面サイズにあわせた特別な画面やビューを備えたデータベースを設計することも可能なので、ノーツクライアントとしてのPalmシリーズの使い勝手は格段によくなるはずだ。
既にオフィスにドミノサーバーが既に導入されており、スケジュールの共有などを行なっている経営者や外出先で仕事をすることが多い営業担当者にとって、Mobile Notesは魅力的な製品である。
■ Mobile Notesの登場は北米で2000年第一四半期
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Palmシリーズで動作しているMobile Notes(写真:ロータス提供) |
Mobile Notesの登場は、アメリカでは2000年第一四半期になると予想されている。日本での発売時期や価格、対象機種などは不明である。Mobile Notesを利用するためには、ドミノサーバー側にMobile Server for Dominoが必要となる。
Mobile Notesとともに発表されたiNotesは、iモード用のノーツクライアントではない。WebブラウザやマイクロソフトのOutlookをドミノサーバーのクライアントとして利用するための仕組みである。このためにマイクロソフトとロータスの提携が行なわれたことが、今回の発表の目玉のひとつになっている。
なお、Outlookを使わなくても、ドミノサーバー上にあるデータベースへはWebブラウザでアクセスできる。このときDOLS(Domino Off-Line Service)によって、オフラインの状態でもデータの閲覧や書き込みといった操作が可能なのが大きな特徴である。サーバーとクライアントのデータ連携は手動で好きなときに行なうことも、スケジュールを設定して自動で行なうことも可能だ。
Mobile NotesやiNotesの登場は、既存のノーツユーザーにとって、利用可能な装置の幅が広がるだけでなく、これまでノーツやドミノを利用していなかったユーザーにとっても、新しい可能性を提案するものとなりそうである。
◎関連URL
米ロータスのホームページ
http://www.lotus.com/
米ロータスのモバイル関連情報ページ
http://www.lotus.com/mobile
(藤森洋志)
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