■ MI-C1の音声録音機能
今回はボイスレコーダーキットCE-VK1。このキットは、何のことはない、イヤホンマイクとプラグインマイクのセットである。標準価格は5000円となっている。
MI-610等のパワーザウルスには、ボイスメモという音声録音機能がある。ひとつの録音は20秒までという制限はあったものの、ザウルスで音声メモが取れるということで、なかなか便利な機能だった。また、MI-610のボイスメモ機能は、マイク・イヤホンを外付けするものなのだが、携帯電話・PHS用のイヤホンマイクをそのまま流用できるというのもナイスアイデアである。
で、MI-C1のボイスレコーダ機能。機能名が“ボイスメモ”じゃなくて“ボイスレコーダ”だという点にご注目。文字通り、現在大流行り中の“長時間録音可能”なICレコーダとして使えるのだ。例えば会議の録音、取材の録音、それから音声備忘録などに使える。音声は本体メモリにも外部メモリ(CFメモリカード)にも録音でき、最長3時間までの録音が可能だ。ちなみに、10MBのCFメモリカードに約1.5時間の録音ができる。また、本体のユーザメモリを録音だけに使う(人はいないと思うが敢えてやる)とすれば約1時間の録音が可能だ。
ところで、MI-C1のボイスレコーダ機能は、元々MI-C1に備わっている機能であり、また、MI-C1にはマイクやイヤホンを接続するジャック(プラグ直径3.5mm)も備わっているので、どーにかしよーと思えば、別売のボイスレコーダーキットCE-VK1を買わなくても利用できる。直径やプラグが合致するマイクやイヤホンを用意すればいい。
なので俺はボイスレコーダキットを入手する前に、もしかしたらヘッドホンステレオ用のヘッドホンが使えたりしないかな~とか思って試してみたのだが、一応使えた(マネして使ってMI-C1がブッ壊れたり炎上したり破裂したり融解したりしても誰も責任取らないヨ!!)。録音はステレオのヘッドホンの片方(どっちか忘れた)のイヤホンでできて、再生はもう一方のイヤホンでできた。が、イヤホンは音を聴くために作られてるデバイスなので、録音の音声はかなり残念感溢れる品質であった。
まあ、ゲリラ的な使用はよしとこう。でも、MI-610みたいに携帯電話やPHSのイヤホンマイクを流用できたり、あるいは市販品のマイク等を流用できるようにして欲しかったなぁ、などとレポート前にグチったりする俺なのであった。ともあれ、純正のマイクとイヤホンマイクを使うことにして、話を進めたい。
■ けっこうイイぜこの機能
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オプションのボイスレコーダキットは、プラグインマイクとイヤホンのセットで標準価格5000円。ボイスレコーダソフトはMI-C1に標準で入っておりソフトは不要だ |
まず、何はともあれ、ボイスレコーダ機能の音を聞いていただくことにしよう。録音は、もちろんMI-C1のボイスレコーダ機能でのもので、マイクはボイスレコーダキットに含まれるプラグインマイクを使った。ホントは美しい声をしたウグイス嬢かなんかに喋ってもらったのを公開するのがベストなのだが、真夜中に淡々と原稿を書きつつではそうもいかず、俺の声を録音した。だるそーな声でありかつモゴモゴしがちな声ですんません。俺の声はわりと聞き取りにくい系の声なので、フツーにハキハキ喋る人の声ならもっとシャキッと録音されるであろうことを想像しつつお聞きいただきたい。
●ボイスレコーダで録音した声を聞いてみる
プラグインマイクは全指向性というか無指向性のものなので、マイク近くの音はだいたい全部録音できるという感じだ。また、ボイスレコーダ機能では、録音レベルが小と大から選べるので、必要に応じて録音の感度を変えられる。で、音質だが、まあフツーのボイスレコーダという感じ。最近ではソニーのICD-MS1のような非常に音質の高いボイスレコーダもあるが、MI-C1のボイスレコーダ機能はそれほど音がイイって感じではない。ノイズもわりと多い。でも、会話を聞き取るには十分なクオリティがある。
逆に、一般のボイスレコーダと比べると、MI-C1のボイスレコーダ機能は“今までのボイスレコーダにはない便利さ”が感じられる。具体的には、録音中や再生中にMI-C1のアドレス帳やスケジュールを閲覧できたり、あるいはインクワープロでメモを取ることもできるという点。例えば、打ち合わせの様子を録音しておいて、後でそれを聞きながら打ち合わせの内容を報告書としてまとめたり、先々の予定をアドレスに追記したりするという使い方ができるのだ。こういう機能を使うと、なるほどPDAで録音できるってのはこーゆーコトなのか!! とちょいと感動してしまう。あと、録音した音声をメールに添付して送ったり、他のMI-C1に送ることもできるので、やっぱりフツーのICレコーダより使い回しが利く感じ。
ボイスレコーダ機能自体は、必要十分な機能を持っている。具体的には、録音・再生中に“音の見出し”の役割をするマークを付けられたり(1分間に1コまで)、再生中に音声の早聞き(高速再生)ができたりもする。録音した音声はファイルの状態で個別に扱われ、ファイル名を付け直すこともできるので、整理も簡単である。ちなみに、パソコンリックキット等を使って音声ファイルをパソコンに転送すると、WAV形式ファイル(PCM/8000kHz/8ビット/モノラル)として扱えるようになる。今時の実用的なボイスレコーダとして十分にオッケーな内容と言えるのではないだろうか。
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プラグインマイクとデジカメカード。この2つは同時に使えない(物理的位置が干渉して両方挿さらない)ようになっている。シャープによれば、デジカメカードを使うとバッテリを消耗するので、長時間録音の場合などを考えてわざとそうしたという |
ボイスレコーダソフトを起動した画面。ボイスレコーダの起動は猿でも使えるカンタン操作だ |
■ むむむむ!! これはイカス!!
フツーにイイ感じのボイスレコーダ機能だなぁと思っていじくっていたら、こりゃスゲぇイカス!! というギミックを見つけた。それは、MI-C1を実にボイスレコーダ然とした感覚で扱えるしくみ。
現実的な話、一般のICレコーダの良いトコロは、あっ録音しなくちゃと思った瞬間片手で取り出して録音を始められるというクイックさだ。MI-C1の場合は、録音しようと思ってから、フタを開け、ボイスレコーダ機能を呼び出し、録音ボタンにタッチして録音開始……と思ったら、実はそーんなまどろっこしいコトをしなくても良いのであった。
MI-C1のボイスレコーダ機能は、MI-C1本体左上にある3つのボタンでおおよそのコントロールができるようになっている。具体的には、ボイスレコーダ機能を呼び出した状態で、[決定]ボタンを押せば録音が始まり、録音中にスクロールボタン(ジョイパッドみたいな四角いボタン)の左を押せば録音停止で下を押せば一時停止。停止状態からスクロールボタンの右を押せば再生開始で、再生中はスクロールボタンの左で停止、下で一時停止、上で早聞き(高速再生)となる。
さらに!! MI-C1の電源が切れていてフタが閉まっている状態から、[決定]ボタンと[戻る](電源)ボタンを同時に押すと、いきなり録音が開始されるのである!! もちろんMI-C1のマイク・イヤホンジャックにはマイクなりイヤホンマイクなりがつながっている必要があるが、ボイスレコーダキットのプラグインマイクなら常時接続しておいても気にならないので、一般のICレコーダと同等に“あっ録音しなきゃと思ったら即録音”という芸当ができるのだ。これは便利である。
ただ、[戻る]ボタンと[決定]ボタンを同時に押すので、慣れない頃はヘタすると両手を使う必要がある。でも慣れてしまうと片手の2本の指だけでイケるようになり、さらに慣れると親指一本でイケるようになるのだ。ってなんか“指”とか“イケる”とかってあらぬイメージを喚起させてしまうようだがってコレは余計な記述ですかしかもセクハラですかダメですかオヤジギャグですかっていうかともかく、胸ポケットから取り出したMI-C1が即ボイスレコーダとして機能し始めるってのは大したアイデアだと言えよう。なお、MI-C1電源オフ時から親指一本で録音開始するためのコツとしては、[決定]ボタンをしっかり押してから[戻る]ボタンを押すことだ。そうしないと別の機能が起動するだけになる。
なお、[決定]・[戻る]ボタン同時押し後は、フタが閉まった状態でもMI-C1自体は起動してボイスレコーダ機能が(録音状態で)動いているので、その後はスクロールボタン等での録音・再生操作ができる。だから、MI-C1本体左上の3つのボタンの(ボイスレコーダ機能での)機能を覚えてしまえば、ボイスレコーダ機能はMI-C1のフタを開かないでおおよそ操作できるし、当然のことだがフタを閉じたままでMI-C1の電源を切ることもできる([戻る](電源)ボタンを長押しする)。
■ この機能、かなり“買い”って感じ!!
結論と感想を混ぜて一体化させて言えば、ICレコーダっていうかボイスレコーダをちょっとでも必要としているのなら、MI-C1用のボイスレコーダキットは“買い”と言えよう。
まずあの直角に曲がったマイクがイイ。アレは、なるほどこのカタチだよねやっぱりと思わせる便利さがあるのだ。本体に取り付けておいてもあまり邪魔にならず、いざ録音しようって時はしっかり役立つのだ。また、マイクと同様、イヤホンマイクも便利で、双方最もイイのは、どちらもわりと感度の高い、無指向性のマイクだという点。見た目はチョロい感じのマイクなのだが、ちゃーんと音を拾ってくれる。まあ、マイクから2~3メートル離れてしまうとかなり感度が落ちる(当たり前かもしんない)のだが、音声備忘録、少人数での会議、少人数での打ち合わせを考えたら、会合者らの口はだいたい直径1~1.5メートル以内に収まっているのだ。十分使い物になる。
つーかですね、俺の場合はですね、こないだソニーのメモリースティックボイスレコーダことICD-MS1を買ったばかりなんである。音質も録音時間(64MBメモリスティックも買ったんダ!!)もICD-MS1の方がハイレベルなのである。ある意味操作性も機能もICD-MS1の方がイイ感じなのだ。だからMI-C1のボイスレコーダよりもICD-MS1の方がイイ!! と思いたい。
しかし、必要十分であることやできることを考えると、どーもボイスレコーダキットの方がコストパフォーマンスが高い感じなのである。MI-C1とICD-MS1を組み合わせた時と、MI-C1とボイスレコーダキットを組み合わせた時では、やっぱり後者が有利。ICD-MS1は実にナイスでサイコーな製品なのだが、ザウルス野郎の俺の立場から正直に考えてみると、ボイスレコーダキットの方がハイコストパフォーマンスなのである。
つーわけで、ボイスレコーダキット、非常にイケてる製品であり、MI-C1のボイスレコーダ機能もすげー良いのだが、ICD-MS1ユーザーでもある俺としてはどーも素直に喜べないっていうかあーどーしよー両方持ち歩くのもいーけどある種のバカと言い得て妙~みたいな心境なのであった。
◎関連URL
新ザウルスMI-C1製品情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/mic1/text/index.html
MI-C1周辺機器情報
http://www.sharp.co.jp/sc/eihon/mic1/text/p6.html
シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
(スタパ齋藤)
2000/03/10
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