~用途にあわせて最適なツールを選ぼう~
筆者は現在5台のWindows CEマシンを所有している。内訳はH/PCがカシオのCASIOPEIA A-60、日立のペルソナHPW-50PA、HPのJornada 690の3台、Ps/PCがカシオのCASIOPEIA E-55とE-500の2台だ(編集部注:前々回と比較するとJornada 690が増えている)。これらのマシンのうち現役なのはペルソナ、Jornada 690、E-500の3台。
今週は、筆者が普段どのようなツールを使ってモバイルしているのかを紹介しよう。なお、法林氏の連載「モバイルCATCH UP」の「どんなモバイルしていますか?」では、氏のモバイル環境を紹介しているが、そちらもあわせて見て欲しい。同じ職業でありながらモバイルのスタンスが違うこともあり、見比べるのもきっと面白いのではないだろうか。
■モバイルのために何を持ち歩くのか?
Windows CEが中心の筆者のモバイル環境。ちなみに、ここのWindows CEマシンは全部VAIOと赤外線でパートナーになっている(笑)。このほかにも殿堂入りしたモバイル機器は数知れず…。 |
筆者がモバイルのために持ち歩くのは、サブノートパソコン(ソニーのVAIO PCG-Z505EX)、H/PC(日立のペルソナ、HPのJornada 690)、Ps/PC(CASIO E-500)、携帯電話(NTTドコモのN501i、IDOのC302H)の4種類、6機種。この4種類のツールはいつも持ち歩いているわけではなく、用途によって持ち出すものを変えている。筆者がモバイルする目的は、大きく分けて「情報の閲覧」「メモを書くなどの作業」「出先でのメールチェック」の3種類。モバイルの目的については誰しも似たようなものなハズ。目的とシチュエーションが想定できれば、自ずと持ち出すツールも限定されるというわけだ。
■情報の閲覧
1つ目の情報の閲覧については、あらかじめPDAなどに保存された個人情報の閲覧、個人で整理したさまざまな情報の閲覧、Web情報の閲覧などが考えられる。筆者が情報の閲覧に利用しているツールはPs/PCのE-500とiモード携帯(N501i)の2つ。
E-500は、主にPDAとしての用途に利用してるため、スケジュールを確認したり、アドレスを確認するという作業はもっぱらE-500を利用する。さらに、そのほかの情報はデータベース化してE-500に保存し、それを閲覧している。Ps/PCならば片手で手軽に扱うことができるため、いつでも情報を取り出すことができるからだ。
一方、Web情報の閲覧に関しては、iモード携帯を利用してiモードのコンテンツを参照することがほとんど。最近ではiモードのコンテンツもかなり充実しているため、iモードコンテンツだけで用が足りることも多い。そのため、基本的にその他のツールを使って、Webの閲覧作業は行なわないようになってしまった。単にモノグサで通信環境を整えるのが面倒だからって理由もあるのだが(笑)。
■メモ
2つ目のメモを書くなどの作業。この作業についてはシチュエーションにあわせて持ち出すツールを変えている。例えば、出先で腰を落ち着けて打ち合わせなどをする場合、AC電源が利用できることが分かっているときにはVAIOを持って行く。AC電源が利用できるかどうかが分からない場合は、ペルソナかJornadaのいずれかだ。
以前はもっぱらキーボードの打ちやすさからペルソナを利用することが多かったが、Jornadaを購入してからはこちらを持ち出すことが多くなった。さすがにキーボードの打ちやすさという点からはペルソナに軍配が上がるのだが、キーボードが小さいながら、Jornadaもなかなかタイプがしやすいので気に入っている。何より、サイズが小さいのがいい。ちょっとした打ち合わせでメモをとるならば、Jornadaで十分。
ペルソナを利用するのは気分転換にファミレスや喫茶店で原稿を書くときくらいになってしまった。ちなみに、この原稿は近所のスターバックスコーヒーのオープンスペースでカフェモカを飲みつつペルソナを使って書いていたりする(笑)。
■メールチェック
3番目のメールチェック。VAIO、E-500、ペルソナ、Jornada共に通信環境を整えれば、どのマシンを利用してもメールチェックをすることができる。以前は通信環境を整え、こうしたモバイル機器を使って出先でメールを読んでいたが、iモード携帯を使うようになってからはやめてしまった。理由は単純。iモードの方がお手軽だからだ。
iモードの「リモートメール」サービスを利用すれば、普段使っているメールサーバーに届いたメールを読むことができるようになる。とりあえずメールを読むだけならば、CEマシンやサブノートを取り出して、通信のための準備をして…、なんて作業をするよりも、iモード携帯でリモートメールを利用した方がずっとスピーディーでお手軽なのだ。
ちなみに、筆者はいくつかのメールアドレスを使い分けているが、すべてのメールアドレスのメールを自動的に自宅のUNIXサーバーに転送、サーバーに届いたメールのうち特定のアドレスやサブジェクトでフィルタをかけてから、重要と思われるメールだけをiモード携帯に転送し、そのほかのメールはサーバーから自動的に削除されるように設定している。こうすれば、重要なメールがあればiモードに届き、さらに長いメールでもリモートメールを使えば読むことができる。基本的にメールは閲覧だけ、緊急に返信する必要があるときはiモードからメールを送信している。
ちなみに、こうした芸当は自宅にUNIXサーバーがあるために実現できているわけだが、iモードのコンテンツの中にもメールに関するさまざまなサービスが用意されている。そうしたサービスを組み合わせて使えば、同様な環境にすることもできるのでチェックして欲しい。
■H/PCとPs/PCの使い分け
なんだか話題がWindows CEからちょっと離れてしまったが、ここで軌道修正しよう。
H/PCとPs/PCを両方使っていると、利用頻度と利用時間でそれぞれ特徴が出てくる。利用頻度はPs/PCのほうが圧倒的に多く、利用時間はH/PCのほうが長くなる。ちょっと情報が見たい、ちょっとスケジュールを確認したい、ちょっと計算をしたい、ってときにはH/PCよりはPs/PCが便利。一方、メモを取ったり、原稿を書いたり、打ち合わせで使ったり、という時にはPs/PCよりH/PCのほうが便利だからだ。もちろん、2つ以上のCEマシンを使うときは、どちらのCEマシンにも同じデータが格納されているのが理想。どのCEマシンで情報を閲覧しても同じならば、何も考えずにそのときに使いたい方のマシンを取り出して利用できるからだ。
例えば、打ち合わせでH/PCでメモを取っているとしよう。このときにスケジュールを確認したくなったとしても、H/PCとPs/PCに同じデータが入っていれば、そのままH/PCで確認ができるし、たとえデータを修正したとしても、後で同期すれば良いだけだ。こういうことは他社のPDAを使っていると面倒。いちいちPDAを取り出して、スケジュールを確認するという作業が必要だからだ。Ps/PCとH/PCの両方を利用すれば、面倒なことは何も考えずに、そのときに使いたい方を使えばいいだけなので、非常に気持ちイイのだ。
このようにたくさんのCEマシンの同期を取りたいときに役立つのが前々回に紹介した赤外線を利用した同期だ。たとえ沢山のCEマシンがあったとしても、赤外線経由ならばお手軽に全てのCEマシンのデータを同期できるので便利なのだ。全てのCEマシンの同期を取るためには、外から帰って来たら順番にCEマシンを取り出し、1つずつ同期する作業が必要になってくるが、もはやこうした作業は儀式のようなもので、慣れればどうってことはない。なにより、シリアル経由での同期よりもお手軽なのがイイというわけだ。
そんなわけで、筆者のモバイルツールはWindows CEが中心で、その他のツールが外堀を埋めている形になっている。モバイルする環境はそれこそ十人十色なのだが、読者の皆さんがモバイルする上での参考になれば幸いだ。
(広野 忠敏)
2000/02/09
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