~赤外線通信のススメ~
いきなりだが、筆者はWindows CEマシンを4台所有している。所有マシンの内訳はH/PCがカシオのCASIOPEIA A-60、日立のペルソナHPW-50PA、Ps/PCがカシオのCASIOPEIA E-55とE-500。ちなみに、これらのうち現役なのはペルソナとE-500。他の二台は殿堂入りだったりするのだが…。
ところで、Windows CEユーザーでActiveSyncを利用してパソコンのOutlookとデータの連携を行ない、WindowsとWindows CEの間でのファイルの転送をするという使い方をしている人はどのくらいいるのだろうか。最近のWindows CEの情勢を見ると、初めから使えるアプリケーションが多数ROMにインストールされ、パソコン側からActiveSyncを使って追加アプリケーションをインストールしなければいけないというケースが減っている。そのため、底辺のWindows CEユーザーや「とりあえずポスペを使いたいから」Windows CEを購入したユーザーはパソコンとのデータ連携なんて考えもしないということも多い。元々パソコンとの連携が考えられ、パソコンのコンパニオンとして開発されたWindows CEの位置付けが若干変わってきているのも、また事実。こうした状況は喜ぶべきことなのかもしれない。
■ActiveSyncは便利なんだけど…
さて、前置きが若干長くなってしまったが、本題に入ろう。今週のネタは再びActiveSync。WindowsパソコンとWindows CEのデータ連携について考えてみたい。
ActiveSyncを利用してパソコンとのデータ連携をしている人のほとんどがシリアルケーブルを利用した接続を行なっているハズ。CASIOPEIA E-50/E-500やJornadaのようにシリアル接続したクレイドルに本体をドッキングさせることでデータの連携を行なったり、H/PCやPs/PCに付属のケーブルをパソコンのシリアルポートに接続して、その都度データ連携を行なうという使い方が一般的なハズだ。
しかし、同期のためにシリアルポートが占有されてしまうのもなんだか勿体ない話でもある。ActiveSync 3.0では、ActiveSyncが利用していないシリアルポートを開放して、他のアプリケーションで使えるようになってはいるが、物理的にシリアルポートがH/PC、Ps/PCやクレイドルに接続されている状態で、シリアルポートが占有されているときは、この機能もあまり意味のないものになってしまう。つまり、他のシリアル接続する周辺機器、たとえばモデムやTAを使いたいときは、いちいちケーブルを抜き指ししたり、シリアルの切り替え機を使って切り替える必要があるというわけだ。実際にやってみると、これはかなり面倒な作業なのだ。
■赤外線で使ってみよう
実はActiveSyncはシリアル以外のインターフェイスにも対応している。対応しているインターフェイスはLANと赤外線(IrDA)の2つ。H/PCやPs/PCでLANを利用するためにはWindows CE用のLANカードが必要になってくる。LANは高速なので、パソコンとWindows CE間でのデータの転送も快適だが、若干敷居が高くなってしまうのと意外と設定が面倒なので、ここでは解説しない。機会があったらLANを利用したActiveSyncの使い方も紹介することにして、話を先に進めよう。
もう1つのインターフェイスは赤外線インターフェイス。ActiveSyncでは赤外線を利用したWindows CEとのSyncが可能なのだ。ほとんど全てのH/PC、Ps/PCが赤外線インターフェイスを搭載しているため、パソコン側に赤外線インターフェイスさえあれば、いつでも赤外線経由でActiveSyncを利用することができる。赤外線で接続すれば、パソコンのCOMポートを占有することもないし、わざわざパソコンとH/PC、Ps/PCの間をケーブルで接続する必要もない。たとえば、赤外線インターフェイスを搭載したノートパソコンなどの横にH/PCやPs/PCを「ポンっ」と置くだけでOutlookとのデータ連携を行なったり、相互のファイル転送ができるのだ。いままでケーブルを利用してActiveSyncを使っていたユーザーには是非試して欲しい。「ケーブルがなくなるだけで、こんなに便利になるなんて」と思うハズだ。そんなわけで、Windows CEと最も相性の良いパソコンは、意外にもデスクトップパソコンではなく、赤外線インターフェイスを標準搭載したノートパソコンだったりする。
■ActiveSyncを赤外線で使うには
パソコン側の設定 |
では、どうやったらActiveSyncを赤外線インターフェイスで使うことができるのだろうか。赤外線でActiveSyncを使うときも、シリアル接続と同様にまずデバイス(Windows CE)とパソコンの間にパートナー関係を結ぶ必要がある。ActiveSyncのドキュメントやヘルプでは、赤外線を利用してパートナー関係を結ぶことができると明記されていたのだが、筆者が試したところまずシリアルでパートナー関係を結んでからではないと正しく赤外線を利用することができなかった。
Windows CEマシンをフルリセットして試してみたが、一番最初にActiveSyncを起動するのではなく、まず、コントロールパネルの「通信」で赤外線経由で通信を行なうように設定し、次にActiveSyncではなくPCリンクを使って接続をすると、正しくパートナー関係を結ぶことができた。最初にシリアル接続と同じ手順で試したがダメで、実はシリアルとは違う手順でやらなければいけなかったというわけだ。できれば、インターフェイスの変更をしても接続手順を変えずに接続できて欲しいものだ。
では、実際に赤外線を使って接続してみよう。まずは、ActiveSyncを開き「ファイル」メニューから「接続の設定」を選ぶ。すると、接続の設定ダイアログが表示される。このダイアログの「シリアルケーブルまたは赤外線接続をこのCOMポートに有効にする」をチェックして、ドロップダウンリストボックスから「赤外線ポート」を選択する。設定を確認したら、「OK」をクリックしてダイアログを閉じる。これで、パソコン側の設定は終了。
CEでActiveSyncを起動して赤外線経由で接続 |
つぎに、Windows CEマシンの方だが、シリアル接続の場合はケーブルを接続するだけで自動的にActiveSyncと接続されるが、赤外線で接続するときは、自分でActiveSyncを起動する必要がある。[スタート]-[プログラム]-[通信]-[ActiveSync]で起動することができる。ActiveSyncが起動したら「赤外線ポート」と接続先のコンピュータ名を選択して「接続」をクリック。あとは、パソコンとH/PC、Ps/PCの赤外線インターフェイスを対面になるように置けば、データの同期が始まる。接続を切りたいときは、Windows CE側のActiveSyncダイアログの「切断」をクリックすればよい。
VAIOの赤外線インターフェイスでペルソナに接続 |
なお、筆者の環境では1台のノートパソコンとペルソナ、E-500の2台のWindows CEマシンとでパートナー関係を結んでいるが、ごくまれにパートナーを認識しないこともあった。このようなときは、ActiveSyncからパートナー関係を削除し、再度パートナー関係を結べば正常に使うことができる。
■2台以上なら迷わず赤外線
同様にE-500と接続。一度設定すればケーブルは不要なので非常に簡単 |
赤外線でActiveSyncを使うメリット。それは、複数のWindows CEマシンと同期を取りたいときや、複数のWindows CEマシンとパソコンの間でファイルの転送をしたいときに尽きる。たとえば、2台のWindows CEマシンを所有しているとしよう。これらのWindows CEマシンと1台のパソコンとの間でデータの同期やファイルの転送をするとき、シリアル経由ならば、いちいちシリアルケーブルを繋ぎなおしたり、シリアルの切り替え機を利用して、切り替えて使う必要がある。実際にこういう作業をしてみるとわかるのだが、この作業は非常に面倒。ケーブルを繋ぎなおしている間にヤル気がなくなってしまうこと請け合いなのだ。ところが、赤外線を使えば非常に簡単。一度パートナー関係を結んでおけば、1台であろうと10台であろうと、パソコンの赤外線インターフェイスの横にWindows CEマシンを置くだけで同期も、ファイルの転送もやってくれるからだ。本当に便利なので是非試してほしい。
(広野 忠敏)
2000/01/26
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