~パームサイズPCで実現!どこでもMP3環境(その2)~
今回も前回に引き続きパームサイズPCで実現するMP3再生環境の話をお届けする。前回はパームサイズPCでMP3を携帯する環境を作ったわけだが、今回はデスクトップMP3再生環境の作成に挑戦してみよう。
■CEユーザーたるもの、やっぱり持ち物自慢しないといけないよね
カシオの「カシオペアE-500」は、MP3再生用のアプリケーション「モバイルオーディオプレイヤー」を搭載しているため、買ったその日からMP3を再生することができる。もちろん、MP3再生専用のポータブルプレイヤーと比較すると、バッテリの持ち、機能などさまざまな面で見劣りしてしまう。
単にMP3を持ち歩きたいなら、今週の「スタパトロニクスモバイル」でスタパ斎藤氏が紹介している「Rio500」のようなプレイヤーを使ったほうがずっといいし、なによりスマートだ。でも、コアなCEマニアの筆者としては、カシオペアE-500のようなパームサイズPCにMP3データを入れて持ち歩き、人に合うたびに「これ、電子手帳みたいなもの、ゲームもできるしメールも読めるし、ほらMP3も再生できるんだよ、すごいでしょ」と自慢して回るほうが気持ちいい。
■パームサイズPCで作る「最強」のMP3再生環境
E-500がミニコンポに変身 |
カシオペアE-500を使う前は、MP3の再生に使ってたのは仕事で使っているPentium II 400MHzのデスクトップパソコン。たしかに、大量のMP3を聞きながら仕事できるんだけど、パソコンでちょっと重い作業をしてしまうと、とたんに音が飛んでしまう。MP3を再生しながらVC++でコンパイルなんてできないのだ。また、デスクトップパソコンにはたいしたスピーカーが接続されていないため音も悪い。
そこで、カシオペアE-500を使ってデスクトップでもMP3を再生しようと、外付けのアンプ内蔵スピーカーを繋いだのが始まり。カシオペアE-500はお出かけから帰ってくると、パソコンの横に置いたクレイドルに収まってしまうので、パソコンで作業しているときに音楽を聴くための環境としては理想的だと思ったからだ。それに、せっかくMP3を再生できるのだから持ち歩いて出先でだけ使うのはもったいない。
これ、やってみるとすごく快適。試験的にチープなスピーカーを使ってたんで、せっかくCDクオリティのMP3再生も宝の持ち腐れ。そこで、スピーカーを取り替えることにした。使ったスピーカーはBOSEのAM-10II。写真ではカシオペアE-500の両サイドにスピーカーがきちんと収まっているように見えるが、絵的に綺麗なのでこうしてみただけで、実際はAVアンプ経由で部屋の4隅にスピーカーを4つとサブウーファーを配置している(AM-10IIは5.1chサラウンドスピーカーだったりするので)。アンプとスピーカーを奢ると、カシオペアE-500は本当に理想的なMP3再生環境に変身してしまったのだ。
■マイクロドライブを使ってみた
マイクロドライブ ※カシオではマイクロドライブの対応状況を公表していないが、筆者が試した限りでは特に問題なく動作した。各自の責任において利用していただきたい。 |
さて、こうして理想的とも言えるMP3再生環境ができあがったわけだが、ここで問題が1つ発覚。再生時間があまりにも短すぎることだ。カシオペアE-500には64MBのCFフラッシュメモリを使っていたのは、前回も書いたとおり。たしかに、この容量だと持ち歩いて再生するにはちょうどいい容量。44KHz、128kbpsでエンコードしたデータならば60分程度。つまり、CD1枚程度の楽曲を入れることができるからだ。
でも、家にいるときはさすがにこれじゃあ短かすぎる。メモリカードを何枚も用意して気分で入れ替えるということも考えたが、コストパフォーマンスが悪すぎだ。メモリカードの入れ替えなしに、延々とMP3を再生できれば理想的なんだけどね。
世の中捨てる神あれば拾う神あり…ってわけで、理想的なメディアを見つけた。それは、IBMから発売されている「マイクロドライブ」というCFカードサイズのハードディスクだ。マイクロドライブはCFカードサイズでありながら、なんと340MBの容量を持つハードディスク。マイクロドライブにMP3データを格納して、カシオペアE-500で再生すれば、延々とMP3を再生できるハズ。
手持ちのMP3をマイクロドライブにコピー、MP3が入ったマイクロドライブをカシオペアにセット、「モバイルオーディオプレイヤー」を起動して再生ホタンを押すだけで、あとはカシオペアE-500が延々とMP3を再生してくれるというわけ。
実際に340MBのマイクロドライブにどのくらいの長さのMP3が入るのかというと、44KHz、128kbpsでエンコードしたMP3は1分程度の長さで、約1MB。つまり、実に340分(約6時間)の楽曲を入れることができるの。1曲4分だとするとなんと85曲ものデータがはいる計算になる。集中して原稿を書いていても2時間程度で飽きてしまう筆者にとっては6時間もの間連続再生できればいうことない。
ちなみに、アルバム「Wild Orchid」の1曲目「At Night I Pray」、4分16秒の楽曲を44KHzのサンプリングデータにし、いくつかの設定で「SCMPX」というソフトを利用してエンコードしてみた結果が次の表だ。
WAV(44KHz) | 45,200,700バイト | (約43.1MB) |
MP3(16bit/128kbps固定/ジョイントステレオ) | 4,100,148バイト | (約3.91MB) |
MP3(16bit/96kbps固定/ジョイントステレオ) | 3,074,933バイト | (約2.93MB) |
MP3(16bit/64kbps固定/ジョイントステレオ) | 2,049,926バイト | (約1.95MB) |
さすがに、ビットレートを64kbpsまで落としてしまうと、音質の劣化が目立ってしまう(それでも、FMラジオ程度の音質だと思われる)が、このようにビットレートを落としたり、サンプリング周波数を落としてエンコードすれば10時間以上聞いていてもぜんぜん余裕で大丈夫な程度のデータを入れることもできる。
ちなみに、44KHz、96kbpsまでクオリティダウンしたデータなら、340MBのマイクロドライブに約450分、7時間超の演奏が可能。1曲4分ならば、実に100曲以上の曲を連続再生することができる。64kbpsまでクオリティダウンすれば、なんと700分程度、10時間以上の演奏ができる。1曲4分なら170曲以上の連続再生だ。
いやホントすごいです。というわけで、6連装CDのミニコンポなんてぜんぜん目じゃないのだ。今回はデスクトップで使って見たが、これクルマに持ち込むのも面白いハズ。DC-AC100VコンバータまたはDC-DCコンバータでカシオペアE-500に電源を供給し、FMトランスミッタで飛ばせば、快適なドライブが約束されるはず。
◎関連URL
■カシオ
http://www.casio.co.jp/ppc/
■マイクロドライブ
http://www.jp.ibm.com/oemj/storage/product/mdv96/mdv96a.html
■SCMPX
http://70.nu/ch3/
(広野 忠敏)
1999/11/04
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