初心者にもかなりオススメ ~九州松下電器 POCKET・E~
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■ 思わず買ったメール端末
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九州松下電器 POCKET・E
DDIポケットのPHS用のメール&ブラウザ端末。オープンプライス。小型カメラ搭載、14mmピッチのキーボードなど、なかなか魅力的なスペックなんである
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ちょい前から気になっていた製品があった。パナソニックのメール端末指向のPDA、POCKET・E(KX-FE830)である。最初、Webだか雑誌だかでこの端末を見て、「あっなんかキーボードがイイ感じ!!」と思って気にしていたのだ。なんかこう、PSIONみたいな雰囲気のキーボードがあって、けっこう打ちやすそうで、ちょっと欲しいような触ってみたいような、そんな気がしていた。
それで、こないだ何となく電気店に行ったら、現物があり、ちょっといじってみたら、わりかしよさげなフィーリングだったので、店頭で迷っていた。そしたら、コギャルっぽいわりにはずいぶん丁寧で親切なPHS売り子の娘っ子が「コレいいですよ~」と言っていたので、「売り子の人が“コレいいですよ~”と言ったから」という衝動買いの原動力を得て、スッと購入してしまった。
さて、POCKET・Eについての詳細は、POCKET・EのホームページというWebサイトを参照していただくと同時に、スペックや機能については法林氏の『法林氏の週刊モバイルCATCH UP』にて詳しくわかるので、そちらを。
で、いきなりだが、この、法林氏のPOCKET・Eのインプレッション、まったく同感する点があった。それは、この端末、とにかくDIONにオンラインサインナップし(て登録料金を支払わ)ないと、絶対にメール端末として使えないようになっているのだ。俺はそーゆーコトを全然知らずに、パッケージに“エッジ対応”とか書いてあるのを見て、あと雑誌などで“一般のプロバイダにも対応”とか書いてあるのを見て、「なるほどエッジを使っていろんなプロバイダ経由でメールを読み書きできるのだな」と思って買ったのであった。なので、法林氏の記事を読み、実際試してみて、ホントにDIONに一度入らないとダメってコトがわかって、わりと、なんか、疲れたっていうかドヨ~ンとしたっていうか、ちょっと心が曇った。
まあ、DIONを使うってコト自体別に問題あるわけじゃなし、俺はどっちかと言えばDIONもいいよなーとか思っていたのでいいし、ついでにIIJ4Uとは(POCKET・Eが32KのPIAFSのみ対応で無線インターネット方式とかは使えないので)つながんない(って言うよりむしろ散々試したけど接続不能だったのDDIの親切なアニキに聞いたらそーゆーコトだった)しで、DIONならDIONでいいのである。また、DIONで使い始めるようにした方が(マニュアルにDION以外のプロバイダとの接続の説明とかがほとんどないので)手間が省ける。POCKET・Eの正解はDIONだと言えよう。
でも、そうだったら最初から“DION向けですよ”ってコトを明記したりして欲しかった。だって、この端末見て、俺の中で「そうかーコレがあればしっかりしたキーボードでメールできてプロバイダもいろんなトコつなげられるかもー」みたいなイメージと「エッジ対応ってことは64Kなのかーイカスぜ~」みたいなイメージが一気にわいちゃったんだもん。ま、俺の早とちりなんですけどね。ちょっと残念。
■ ちょっと遅いけど操作性はグー
ともあれ、使い勝手としては、非常にイイ感じの端末だ。全体的にわかりやすいし、ヘンなコトしなくてもスンナリ使えるスムーズさがある。全体的に処理速度はちょい遅めという感じなのだが、まずフツーのメールが使えて、Webページも見られて、グレースケールだけどデジカメ画像も扱えたりして、小さいわりにはなかなかヤルなって感じ。
また、メール指向な端末だけに、通信しようとした時のイージーさはかなりのもの。本体底から延びるケーブルを、DDIポケットのαDATA32対応のPHSかエッジをつなげれば、いつでもどこでも、かなりマトモなメールの読み書きができるというのが、手軽でイイ。そういうコトならポケットボードみたいな端末と同じじゃん、と言われそうだが、そうでもないのだ。
POCKET・Eの最強にイカシてる点は、かなりマトモ感の高いキーボードがあること。一応QWERTY配列で、多少イレギュラーな配置のキーもあるのだが、押下感も十分なので、お外でメールを“書くこと”ができる。ていうか他の端末でもメールを書けるけど、たいていの端末はヘボショボなキーなので、俺の場合、“書く気が起きない”のだ。でもPOCKET・Eならわりと「しっかり返事書こうかな」と思えてくる。やっぱりマトモなキーボードの存在は大きい。
それから、メールソフトもけっこうこなれてて、送受信とも簡単で、保存してあるメールの閲覧性も高い。と同時に、この端末、キーボードショートカットがいろんなトコロで役立ち、例えばコントロールキーと他のキーを併用したページの移動や、各種機能のダイレクトな呼び出しなど、クイックな操作にも対応してくれる。具体的には、メールの受信リスト閲覧時にページをめくる時にわざわざページ移動のアイコンにカーソルを移動させなくても“Ctrl+<”や“Ctrl+>”でページめくりが可能だったり、バッテリー残量を“Ctrl+B”で表示させることができるなど、よく使う機能はたいていこのようなキーボードショートカットで呼び出せる。この点については、ポケットボードクラスの一連のメール端末よりずっと使いやすく、また、ザウルスやWorkPadなどのPDAなどより軽快に使えるのではないだろうかと思う。
■ 初心者にもかなりオススメ
この端末、売りはデジカメ機能内蔵ということだと思うが、俺としてはしっかりしたメールソフトとキーボードの使いやすさ、それから“DIONを使うなら超激楽勝”という点で、とにかくメールってのをやってみたいという初心者に超お勧めの端末になるのではないだろうかと思う。実際、画面も思ったより広く感じられ、メールを読むにもストレスがない。前述のように、書くことにもあまりストレスを感じないし、画像をメールに添付することもできる。また、他のこのテの端末のように、一般的なメールソフトの表面的な部分に比べても、特殊なトコロがない。なのでこの端末を使えば、まずはメールのイロハがしっかりわかると思うのだ。まあ誰がどういう目的で使おうと余計なお世話だが、俺はそんなふうに思った。
それから、デジカメ機能だが、これは、なんつーか、“プリクラ感覚のデジカメとして遊ぶ”ということにとどまる感じだった。撮るという動作に関する操作性は高いが、撮れる画像はサイズも小さく、像もわりと荒れ気味。でも、やっほーこんちは~私元気でぇす、みたいな自分の顔入りメールを送ったりするには非常に楽しく、手軽で、十分実用的だ。が、仕事でビジュアルメモを取るとか、現場写真を撮るとか、記録に残すとか、そういう画像の内容が重要になるような用途には、ちょっと実力が伴わない感じ。そう言えば、POCKET・Eのコンセプトは初心者であり、楽しむ方向でのメールなので、当たり前と言えば当たり前だが。
あと、これは試していないのだが、POCKET・E内蔵のアドレス帳(メールアドレスや電話番号を登録可能)は、エッジ端末の電話帳をそのまま読み込めるようだ。エッジ端末は、DDIポケットのサイトで配布されている、いわゆるメモリ編集ソフトでパソコンから電話帳を登録可能なので、パソコン→エッジ端末→POCKET・Eというふうにメールアドレスや電話番号のデータを転送できて楽勝感が高いかもしれない。
■ 願わくは……
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POCKET・Eで自分撮り!! ていうかけっこうキレイに撮れるんですなコレ
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俺は何度かPOCKET・Eを持ち出し、仕事用のメール端末として使ったのだが、機能的な面での問題はほとんどない。ていうかこのサイズのメール端末としては上出来っていうかすげーイイ感じだった。前述のキーボードの打ちやすさもあるし、画像添付メールもしっかり開ける。こないだは、たまたま打ち合わせ場所の地図をJPEG画像としてメールしてもらったので、試しにPOCKET・Eで受信し、POCKET・Eで地図を見つつ打ち合わせ現場に向かったが、問題ナシ。端末片手に地図を見て、迷わず現場に到着できた。なるほどそうだよな、画像添付メール見られればこーゆーコトができたんだっけな、などと我ながら感心してしまった。
でも、ハードウェア的に、ちょっと細かい部分だが、不満が残る。それはいくつかあって、例えばカーソルキー(ジョイパッドのような感じのキーボード部左上にある丸いボタン)の位置や、[OK]や[戻る]ボタンの位置。通常の(端末を持っての)使用では、これらのボタンの位置は全然問題ないのだが、メールを書くときにちょっと使いにくかった。と言うのは、POCKET・Eはキーボードが比較的マトモすなわち大きめなので、ポケットボード等のように“端末を手でホールドしつつ親指でキーを打つ”というのがかなりやりにくい。テーブルや膝の上に置いて、両手人差し指二本打ちをするのがスムーズな感じなのだ。が、そういうふうにキー入力をしている時は、このキーボードの上部にある頻繁に使うボタン類がヤケに使いにくい存在になってしまう。でもまあ、レイアウト上、きっとこの位置しかなかったという気もするが、なんかこうギクシャクした感じなのである(ホントに細かいことではあるが)。
それと、もうちょっとレスポンスが速ければ、ということ。このクラス・サイズのメール端末はみんなわりと遅いのだが、その分、そーんなに複雑な機能は持たない。メールにしても他の機能にしても、ある意味荒削りで大雑把なので、まあ速度が多少遅くても許せるっていうかまーいーやという感じで気にならない。のだが、POCKET・Eはわりと細かい操作ができたり、画像を扱えたりするので、全体的な動作の遅さがちょい気になるのだ。
それから、実用上問題はないのだが、液晶パネル部の“座り”が悪くてちょい不安。パネルを開けるときはやや硬めで、開く角度もしっかり決まるのだが、閉める方向に簡単に動きやすくて、どうも不安定なイメージがある。実際には開ける時はやや硬く、閉めるときは非常にスムーズで、実用上問題ないどころか使い勝手がイイとも言えるのだが、なんかノートパソコンの液晶部のヒンジが緩いみたいで心細い感じ。もうちょっと硬いほうがいいような気がする(気持ち的な問題だといえばそうなのだが)。
てなわけで、何となく重箱の隅をつついてしまった感じだが、俺としてはかなり気に入っている端末なので「あとココとココがもっとイイ感じになれば」と思ったのであった。
◎関連URL
POCKET・E製品情報
http://www.wondersquare.dion.ne.jp/kme/
プレスリリース
http://www.panasonic.co.jp/corp/news/ official.data/data.dir/jn991007-2/jn991007-2.html
(スタパ齋藤)
1999/12/20
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