むむっ!? キレイ!! ~富士フイルム プリンカム~
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■ 1年で出てきちゃった
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富士写真フイルム プリンカム
世界初のプリンタ搭載デジタルカメラ、標準価格99,800円。ヒット商品「チェキ」とデジカメが合体。230万画素。
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1998年の12月7日のスタパトロニクスで、フジフィルムの新型インスタントカメラこと“チェキ”のコトを書いた。名刺サイズのフィルムで本体実売9000円(くらいだったと思われるが忘れたとも言えよう)ということで、ヒッジョーに買いやすくて魅力のあるインスタントカメラだぜー買うぜ買うぜ買ったゼ~みたいに書いた。そのついでに、チェキがデジカメに内蔵されて印刷可能型デジカメが出ればいいのに~いやきっと出るはず~フジフィルムが出すはず~みたいな、まあ、誰でも考えそうな近未来の展望も書いた。
あれから約1年。1年前では、遠い目をして考えたような、つまり、きっといずれそのうち将来的にはさぁ~というような未来像が、もう現実になっちまったのであった。すなわち、世界初のプリンター搭載型デジタルカメラことプリンカム(FinePix PR21)の出現である。
こちら方面がお好きな方にとっては、もはや周知の新種デジカメだが、ともかく、こりゃおもしろそう!! おもしろいハズ!! おもしろくないわけがねえ!! ってコトで発売と同時に熱血ゲット!! 去年の夢のカメラをさっそくいじくり倒して遊んでいる俺であった。
いや~それにしても、なんかデジカメの世界って加速に加速を重ねている進化ぶり。最初はキワモノみたいな存在だったのに、実用性・画質とも高まりまくって、登場からわずかの期間で、既にかなりメジャーでアッタリマエの装置になってしまった。これまで何機種のデジカメが世に出たことか!? もはや数えるのが面倒くさいと言えよう。でもせめて自分が買ったデジカメだけでも……と思って数えたら、もう18台目を数える。ふぅ~ん……でも現在持ってるのは6台だなぁ……残りの12台は……ふぅ~ん、そうか、だからデジカメ市場は巨大化するのか。踊らされてる俺って感じ。損してる感じ。ま……いっか。でもモト取れてない感じも……ま、いっか。いや、なんか考えれば考えるほど丸損感が高まる!! くわッ!! 俺は丸損野郎なのか~!? そうなのか~!? トホホ感高し!!
■ 第一印象は……
ともあれ、気を取り直して、プリンカム。コイツの詳細については、フジフィルムのサイトを見ていただくとして、まず製品を手にして思ったのは、「デカイ!!」ということ。「わぁこんなにデカくてカッチョイイな」とか「とってもデカくて心強いな~」ということではなく、「なんだこのウスラデカいカメラは!?」ってことであった。
それと同時に、このなーんかデカいデジカメは、本体のサイズに似合った価格っていうか、メーカー希望小売価格99,800円っていうか、ちょっと高くなぁい!? みたいなことも感じた。
最近のデジカメ市場を見ると、2メガピクセル機でもポケットサイズだし、2メガピクセル機でも6~7万円とかで買えたりして、ついでにチェキはやっぱり8000円とかで買えちゃう感じなので、そういう日常から考えると、プリンカムはデカくて高いカメラだと感じちゃうのである。また、一瞬、FinePix2700とチェキを買って両方持ち歩いた方がいいかも……なんてなコトまで思ってしまった。
が!! それは違うのであった。何しろコイツは世界初のプリンタ内蔵型デジカメなのである。まったく新しいスタイルのカメラなのである。デジカメでも、インスタントカメラでも、フィルム式カメラでもない、斬新なカメラなのだ。その証拠にホレ、電源を入れて使用開始した後の俺は、そのデカさや高価さへの不満を、新たなるおもしろさと便利さで忘れているのであった。
結論からいこう。プリンカムは、すげーおもしろい。いや、すげーすげーおもしろい。いやいや、すげーすげーすげー……しつこいですか? 一見、デジカメの愉快さとインスタントカメラの愉快さが融合した“だけ”に思えたが、実はそうではなく、デジカメのイマイチさとインスタントカメラのイマイチさが解消された、非常に安楽なカメラだった。
■ 娯楽性・経済性
当たり前の話だが、改めて思うのはこんなこと。
デジカメというのは、経済性がすんごく高い。イヤーン新しいのが出たぁ~とか言って次々買い足したりしなければ、電気代だけで死ぬほど写真を撮りまくって見まくれるのだ。光景を切り取る装置としてはかなり理想的だ。だが、1900年代半ばに生まれた人間としては、なんかこう、写真を撮ったという感触に欠ける。それは、プリントとして残らないから。いや、残そうと思えば、オウチでカラープリンタで印刷すればいいのだが、既にカメラ上やコンピュータ上で静止画として見てしまった映像を、わざわざプリントするってのもナンだ。あーそうかこういうふうに撮れたんだー、と知った後に、また何度も画像を見つつ印刷してみても、写真としての有り難みがない感じ。
じゃあフィルム式カメラか!? と言えば、これはこれで、盛り上がりに欠ける。撮影して撮影して撮影して、ブランクがあって、それでワッという感じで一気にDPE店からプリントの束を受け取るのは非常に愉快。だが、撮影の現場では、シャッターを押しているだけ。後にプリントの束を手にできるのだから、と自分に言い聞かせないと、なんかこう非常につまらねえ行為に思える。と同時に、そうかシャッター押した分だけ金がかかるのか、などと少々ケチ臭い心境にもなる。まあ最初から、フィルム代とDPE代なんかで、経済性が高くないことはわかるのだが……。
だったらその場でプリントが見られるインスタントカメラか!? インスタントカメラ(例えばチェキとか)なら、パシャッと撮ったその数分後にはプリントが得られる。単にさっきの光景が紙に焼き付けられたというだけなのに、かな~り盛り上がる。わー写真だー写真がもうできたー見て見て見て~と思わず童心に返りがちだ。が、やはりフィルムカメラと同様に経済性がそんなに高くないので、場合によっては比較的ケチ臭い心境になってくる。チェキの場合はフィルム(プリント)1枚60~70円程度なので、まあさほど節約精神が活発化するわけでもないが、それでも、シャッターを押すごとにチャリンチャリンと小銭が消費されていく感じがして、なんか心の平穏が乱される感じがする。
で、プリンカムだが、まあ当たり前のコトなのだが、デジカメの経済性の高さと、プリントが得られるという満足感が、同時かつ好きな組み合わせで得られる。電気代だけで思う存分写真が撮れるというコトと、プリントにかかる手間とお金を最小限に抑えられるのだ。このことは、単なる気持ちよさとか節約とかを通り越して、カメラを使う・遊ぶことを、最強におもしろくする。
デジカメ同様好きなだけ撮り放題何でも撮る。そしてその場で画像を閲覧できる。で、コレいいなぁと思った画像だけを、その場で印刷して、物理的な“紙の写真”として手にできるのだ。これはおもしろい。気に病むこと(って大袈裟ですが)がない。紙の状態にできないストレスも、やたらお金がかかる雰囲気も、その場では見られないストレスも、どれもない。ストレスがない状況が、本来の写真の楽しさや便利さを想像以上に増幅してくれるのである。
■ むむっ!? キレイ!!
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フィルムの装填は「チェキ」同様、ワンタッチ。ボディは大きめだけど、バシバシ撮って、いいのだけ選んでプリントできる。プリントして渡したい場合に楽勝感高し
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プリンカムを使い始めて、ちょっと驚いたのが、その画質だ。
プリンカムは、デジカメとしてはFinePix2700相当の実力があるから、デジタル画像としては最強にキレイな部類に入るし、実際キレイだ。が、インスタントカメラとしては、チェキと同じインスタックスミニフィルムを使うってことで、まあチェキくらいの画質なのかな~と思っていた。
ところが、印刷してみてビックリ。すげー鮮明なプリントが得られるのだ。「インスタントカメラとしてはチェキはけっこうキレイな方だ」とか思っていた俺だが、プリンカムの写真を見て「チェキの画質ってネムくてヘボいかも~」などと感じてしまった。ていうか、インスタントカメラから出てくるプリントで、こんなにシャキッと精細で色鮮やかなプリントは見たことがなかった。
例えば、チェキで人物を撮ると、髪の毛とか睫とか、それから着ている服の質感は、なんかこうボケた感じで、鮮明とは言えなかった。インスタントカメラ然とした画像で、ある種、昔のカメラで撮ったような、やわらかで懐かしい(少々ピンボケとも言うな)写真となる。しかしプリンカムから出てくる写真は、髪の毛や睫はクッキリ、服の質感もよくわかり、被写体の血色もしっかりわかるような、上出来の写真になる。
って、文字で写真のキレイ度合いを説明しても結局正確には伝わらないので、ぜひ試し撮りができるショップとか、サンプル画像が置いてあるショップで、実物のプリントを見ていただきたい。名刺サイズのフィルムによくもまあここまでキレイに印刷するなぁ、という感じなのである。
それから、印刷に関する設定にもけっこう凝れる。明るさ、コントラスト、シャープネス、色の濃さ、色合いなどを、プリンタ側の設定として変えられる。また、画像データに対しては、FinePixお得意の美肌-色白エフェクトを始め、イジクロス、シルバークロス、セピア、モノクロなどのフィルタエフェクトがかけられる。その他、撮影時のホワイトバランスや露出補正などは、FinePix2700と同様に微調整できる。なので、かなりこだわった撮影ができ、わりとこだわった印刷ができるわけで、もはやチェキと比べようがないほど、微妙かつ多彩なプリントができるのである。
■ デカいけど……悪くない感じ
プリンカム、機能・性能的には、バッチリ満足している俺だが、やはり本体のサイズのデカさは気になる。持ち運びにはかさばるし、そんなに重くはないのだが気になる存在感なのであった。
でも、それは持ち運んだり、電源を切っていじっている時だけの感触なのかもしれない。と言うのは、実際撮影したり印刷したりしている時は、これはこれで悪くないサイズなのだ。人によるかもしれないが、両手でビシッとホールドできる感じはイイ。手が小さい人だとこのサイズからブレやすくなるかもしれないが、俺にはけっこうマッチしていたりする。
それから、印刷は、印刷ボタンを押してからプリントが吐き出されるまでだいたい30秒ほどかかる。そこからさらに、プリント上に映像が浮かび上がるまでに、数分。タバコを1本吸い終えるくらいの時間がかかる。
バッテリーの持ちは、けっこういいような気がする。本体には単3形のニッケル水素二次電池(1600mAhだゾ!!)が4本と、ニッケル水素もニッカドもイケる充電器が同梱されている。とりあえずこの電池を満充電して使い始めたが、現在数十枚の写真を撮り、それらをけっこうじっくり閲覧し、20枚ほどプリントしたが、なんかまだバッテリーフルの表示が出ている。この記事を書いている途中でも、何度となく電源を入れて機能を確かめたりしているのだが、まだまだバッテリーに余裕がある。けっこう安心な感じ。
撮った写真は、まずスマートメディアに記録され、それを閲覧しつつ印刷する、というスタイルのプリンカムだが、おもしろいことに、スマートメディアがなくても印刷可能だ。具体的には、(スマートメディアなしで)撮った写真はそのまま1枚だけディスプレイに表示され、その状態でプリントボタンを押せば印刷開始。つまり、単なるインスタントカメラとしても使用可能なのだ。いや、高画質インスタントカメラとして使用可能、ということになる。
サイズとか性能とか、表面的なことを見れば、かなりデカいかわりに印刷できる新機軸カメラですな、みたいな、わりと冷静な感想になる。でも、実際使ってみると、もうこれは非常に愉快でナイスで熱中できる。マジな話、最初はこのサイズ、この価格に、ちょっと疑問を感じた。チェキはそんなにデカくもなくて激安だったから大人気になったけど、このサイズと価格じゃ、どうなんでしょうねぇ……と思った。が、使ったらハマった。何度も繰り返すが、好きなだけ撮れて、好きな場面だけをその場で印刷できるってのは、本当に楽しいし、周囲の人を巻き込んで盛り上がれるのだ。FinePix2700の出番激減~、みたいな。チェキ人に売っちゃおうかな~、みたいな。そんな満足感を堪能している俺なのであった。
用途としては、取材とか、プレゼン用とか、ビジュアルメモとか、研究とか、まあいろいろ考えられるが、俺としては徹底的に遊びのためばかりに使っていきたい。まずは向こう半年間くらいは楽しくプリンカムで遊びたい。盛り上がれるだけ盛り上がって盛り上がり尽くしていきたい!! そして飽きたら、融通の利く印刷型デジカメとして役立てたいと思う。
◎関連URL
プリンカム製品情報
http://www.fujifilm.co.jp/princam/index.html
プレスリリース
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj514.html
(スタパ齋藤)
1999/12/13
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