最近三洋電機がイケてるかも! ~SANYO MD-U4~
|
■ 最初は誰でもイメージから
三洋電機 MD-U4
KONISHIKIのCMでおなじみ、MD-U4。標準価格5万円。シルバーの「MDG-U4T」とこのオレンジの「MDG-U4R」がある。パソコンと接続可能でポータブルな本体、というところがグッド。パソコン接続キット「PCK-MDG100」は別売で1万円
|
|
人は見かけによらない、人を見かけで判断してはいけない、などと言う。そりゃその通りだ。が、正直な話、最初は誰でも見かけで人を判断し、見かけで人から判断されていると思う。
俺などは確実にそうで、東京タワーとか奈良のお寺とかいう日本を代表する感じの観光地に行くと、たいてい外国語のパンフレットを渡されるのだ。案内所のお姉さんとかが俺を見た瞬間「あ、外人」と判断し、有無を言わさずに英語等が羅列されたパンフレットを手渡すのだ!! 日本生まれで日本育ちで日本国籍の日本人なのに!! しかも日本語を記述する仕事をしてるのに!! さらに箸もだってキチンと持てるし正座だってできるしソバをゾゾゾーッとすすって食うことだってできると言うのに!! まあ、外国語のパンフを渡された直後に「あのー英語わかんないんですけどぉ」とか言うと事態は収束するからいいのだが。ともあれ、こんな経験をするたびに、やはり最初は誰だって人を外見的イメージで判断するのだなーと思う。
これと同じように、我々っつーのは、メーカーのことも最初はそのイメージで判断している気がする。つまりは、ブランドイメージだ。まあそのコト自体は別に問題ないとは思うし、当然と言えば当然のことだとも思うのだが、でも最近のブランドイメージというのが、どうも少々過剰に演出されまくっている気がする。
と言うのは、なーんか最近は全体的にメーカーの本当の姿が見えにくくなったような気がするのだ。特にCMから受けるメーカーイメージのインパクトの強さ。イケてるCMで消費者の心を掴むと同時に、商品にイケてるイメージを付帯させる。もちろんそんなコトは昔からやられていたわけだが、しかし最近はそのインパクトがすげー強い(と言うより誇大!?)ので、商品の姿をそのすげー強いイメージが覆い隠してしまっている感じだ。同時に、商品の本当の姿をじっくり見ずに、イメージだけで買っちゃうユーザーも多いのだが……。
かく言う俺も、メーカーのブランドイメージに比較的コロッとイかされちまう奴であった。が、近頃はかなり積極的に考えを変えている。きっかけは、最近のトランスルーセントなデザインの流行をじっくり考えたことからだ。この、何でもかんでもトランスルーセントという状況に、かなり多くの人が賛同している雰囲気に、なーんかこうヘンな違和感を抱き、重い腰を上げて対処してみた。
具体的には、トランスルーセントなアレは、ホントーにカッコイイのだろうか!? ていうかホントにカッコイイと思うのか!? ていうかブランドイメージを積極的に取り払って、カッコイイのかどうかをマジで考えたことがあるか!? ていうかアレがアジアのマイナーメーカーが作った製品でも「カッコイイ」と断言できる自信があるのか!? と自問自答し、俺の目玉の表面にブランドイメージという分厚いフィルタがあることをより強く意識するようにしたのだ。
まあ、ブランドイメージの心地よさを含めて“プロダクト”なのであり、それが商品のおもしろみのひとつだ、という考えもある。でもなんかこう、やたらイメージが先行する昨今において、俺としてはなるべくそーゆーイメージを除外してプロダクトを考えたいとか思ったのである。
これは、製品の真の姿を見極めるとか、先入観なしにメーカーを判断するとか、そんな観点ともちょっと違う。真の姿なんざぁ消費者には一生わかんねえのであり、先入観が介在しない見解なんざぁねえのだ。俺って奴は、どうせどっかからコピー&ペーストおよび部分編集した価値観や切り口や判断基準でモノゴトを見ているのである。でも、既に借り物の見識・スタンスである上に、誰かが作ってまき散らしている“イメージ”まで取り込んじゃうよりも、俺が作ったり見つけたりした、既存とは別のイメージを前提に、プロダクトやメーカーを見たいと思ったのだ。
■ イケてるかもー、の三洋電機
|
三洋電機 DSC-SX150は、コンパクトなボディで動画録画も可能。記録時間が短いこと、わかりやすい操作性などから、気軽に持ち歩けるデジカメとして人気だ |
|
改めて身の回りのモノと、そのモノを作ったメーカーを考えてみると、ちょっとおもしろい。ああっコンセント周辺にこれほどたくさん“松下”って文字があったとは!! なぜか屋外には日立や三菱や東芝が!! みたいに、意外なトコロに意外なメーカー名を刻印した意外な製品が意外にも多い。俺の場合は、意外にも三洋電機の製品が多かった。
そしてそんなふうに見ていくと、三洋電機の製品はなーんか俺の周囲でけっこう長い間働いているモノが多いこともわかった。改めて「ああコレって三洋電機製だったのかー」と感心したのは、例えばデジタルコードレス留守番電話のテ・ブ・ラ・コードるす。DDIポケットの端末(αDATA対応)を子機として使える便利なヤツで、代替えになる製品はまだ発見できていない。ていうか問題なくオッケーな製品なので、俺の電話関連機器の中では一二を争う定番だ。釣りの必需品となっているデジタルカメラのDSC-SX150。他メーカーのデジカメも使っているのだが、DSC-SX150だけはいつも持って行っている。楽勝感においては抜群で、コンパクトで、潰しが利く感じがイイ。きっと今後も手放さないであろうデジカメのひとつだ。あと、現在、史上最強に強まっていると思われる単3形ニッケル水素電池のHR-3US(1600mAhの凄いヤツ)も、そー言えば三洋電機製だ。さらに「このカタチなんだよ!!」と思って即買いした新型cdmaOne端末も三洋電機製であった。
ところで、俺の三洋電機に対するイメージは、なんかこう、記述しにくい内容であった。歯に衣着せずにハッキリかつキッパリ言うと、サンヨーってマイナーな感じで暗い感じでパッとしない感じ~、同じデザイン・性能の電子ガジェットだったらサンヨー製じゃないの選んじゃう~、などと思っていたのだ。が、前述のように、俺の琴線に触れたり俺の定番になっているモノの三洋製品占有率が高かったので、ちょっと三洋電機(グループ)のコトを調べてみた。そしたらなんか世界的企業じゃんすげーじゃん二次電池最強じゃんデジカメのエンジンじゃんなんてことがわかり、それまでの認識を悔い改めたのであった。もしかしたらCM打って消費者洗脳しなくても余裕の企業なのかも、などとも思った。
まあそれはそれとして、三洋電機のWebサイトを見ていたら、あーやっぱりコレってイイなぁ~というモノを発見した。三洋電機のポータブルMDデッキ、MD-U4である。
■ とてもキュートなMD-U4
|
今年の流行色であるオレンジ色を採用したボディもキュートだが、ワンポイントのイヌのマークもかわいい |
|
U4をユーフォーと読んじゃった&ピンと来た人は、読めたりピンと来たりしたコトで歳がバレると言えるよう。ていうか、MD-U4は、かつてドすげぇヒットを飛ばしたラジカセことユーフォーのMD版。ユーフォーと言えば、わぁカッコイイし小さいししかも安い!! ということで一時は若者はみんなコレってほど売れた決定版だったのである。で、そのユーフォーが輪廻転生したのが、MD-U4。かつてのユーフォーのヒキの強さに劣らない、実にキュートなデザインと、実はかなりイケてる機能を持った製品なのである。
MD-U4に関する詳細はココを見ていただくとして、この製品のイイところは、まずそのデザイン。デザインがカッコイイとか斬新とかいうよりも、俺は漠然とこのデザインに共鳴してしまった。
というのは、最近のこのテのポータブルオーディオは、どうもアニメっぽくてSFチックで、違和感があった。俺にとって最近のラジカセ等のデザインは、無意味で恣意的な曲線とボリューム感ばかりが目立った。わざとらしーのである。と同時に持ち運びたくねーとも思うのである。設置しただけでその周囲5メートル内の風景を変えてしまうような強引な存在感があって、ある意味迷惑なのである。
だが、MD-U4は、俺にそんな違和感を抱かせなかった。ホッとしたのである、このデザインに。そして、久々に、ハードウェアに対して“カワイイ”とか思っちゃったのである。あらワンちゃんカワイイわねナデナデ、という感覚の、“カワイイ”である。特に、オレンジ色のMDG-U4Rが良い。銀色でアルミなジェリカン風のMDG-U4Tもわりとイイのだが、MDG-U4Rの方にときめいたのであった。
それから、MD-U4の単機能指向が気に入った。MD-U4の機能は、MDの録音・再生とFM/AMラジオ、程度。非常にシンプルなボディに、シンプルな機能。あくまで“くどさがない”という点がいい。押しつけがましくなく窮屈でなくわざとらしくない。そんな、穏やかさというか静かさが、なんつーか、例えば2メートル向こうで俺を無視して日向ぼっこしてるネコのようで、実に気楽でいい。
■ あ、このWebページは
でも、単にステキなMDプレイヤーってだけだと、この記事で紹介するにはふさわしくないのであって、MD-U4はこのコンピュータ関連ページで紹介するのにふさわしい機能を持つのであった。
それは、コンピュータからリモート操作が可能だという点。MD-U4用のパソコン接続キット(別売)を使うと、Windows95/98パソコンとシリアルポート経由でつながり、パソコン上からMD-U4の録音・再生やボリューム調整を制御でき、MDの曲の編集やディスク名やトラック名のテキストを編集することができる。このパソコン接続キット(PCK-MDG100)の詳細については、ココ を参照していただきたい。
パソコンでMDの内容を編集できるMDプレイヤーなら他にもあるじゃんソニーのアレとかさ~、と言われそうだが、俺はこのMD-U4一式を使ってみて、MD-U4っちゅーのはとことん“くどくない”ということを実感した。それは、ノートパソコンとの併用である。
PCとつながる据え置き型MDデッキは、便利は便利なのだが、軽快感に欠ける。MDを編集するとなるといつも同じ場所になるからだ。ノートパソコンを使っていても、デッキさんの腰が重い。アンプやスピーカーもつなぎ直さなきゃなんないし、結局いつも同じ場所で使うことになる。でも、MD-U4をノートパソコンと組み合わせて使うと、気が向いた時に気が向いた場所でMDを編集できるという点がイイ。また、そーゆーコトができるMDデッキでありながら、外に持ち出したりできるオールマイティさもイイ。実際そういうふうにいつでもどこでも使うかどうかよりも、MDデッキに縛られない点が気楽でいいのだ。ポータブルということで広がる可能性が見えて楽しい。実際、音楽をMD中心で楽しんでいる人にとって、据え置きデッキでないという点とPCでMD編集できるという点で、かなり手が出ちゃう製品なのではないだろーかと思う。
で、「うっ欲しい」と思った時、三洋電機のニクさをもうひとつ見つけることになる。それは、MD-U4を三洋電機のWebサイトで購入可能だという点。具体的にはココを通じて買える。メーカー直販というのも潔くてナイスなのだが、2割弱程度割引して売っているのもジョリーグッドだ。標準価格5万円のMD-U4本体は4万2800円(税別)、標準価格1万円のパソコン接続キットは7480円(税別)、さらに本体とキットのセット価格だと4万9800円。
俺は常々、どーしてメーカーが自社製品を直接売らないのだろーかと思っている。メーカーのWebサイトで新製品情報を見たら欲しくなるじゃないか!! メーカーなら在庫あるじゃないか!! 直接売ってくれよ直接!! Webサイト見て家電店に行ったり別のサイトで通販してんの捜すの面倒なんだよ!! 直接売った方がメーカー的に儲かるじゃん!! とか思うのである。まあ、自社製品を直販しているところもあるが、まだまだ全然少ないのである。
たぶんこれは、小売店との絡みとか取引上の都合とか販売上の手間とかいろんな事情があると思うのだが、そんなこたぁ消費者には関係ねえのである。ていうか「この製品はウチで作ってるけど買いたいなら小売店で買ってくれ」というスタンスには、非常に旧態依然の殿様商売を感じてしまう俺だ。「この製品を売ってウチも儲けたいけどアンタらに直接売ると小売店様が儲からないんだよね~」というふうに消費者をナメている、と考えるのは被害妄想かもしれないが、どーせ消費者は似たよーな価格で商品ゲットするしかないシクミになってるなら、せめて直販窓口作るくらいの商魂で、消費者にラクをさせていただきたいのである。
おっとかなり話がそれてしまったが、前述のパソコン接続キット、使用感は上々。比較的細かい編集操作(曲の分割位置指定や入れ替え)などまででき、かなり簡単に操作できる。ポータブルなMD-U4本体と、ユーザーを選ばない編集ソフトということで、実はピカイチのPCリンクMDデッキなのではないだろうかと感じた。
◎関連URL
■ MD-U4製品情報
http://www.sanyo.co.jp/STS/MD-U4/
(スタパ齋藤)
1999/11/22
|