これは良い!! と思いました ~富士フイルムFinePix1700Z~
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■ 写真ってのはなァ!! 足で撮るんだよ足で!!
切磋琢磨のカメラ野郎であった俺は、撮影達人の人から「やっぱり写真は足で撮るもんだよなァ」なんてなコトを言われた覚えがある。これには、いろんな意味がある。
例えば、いい被写体を探す苦労を惜しんでいては、いい写真が撮れないこと。いろんな場所に出没していろんな光景を見まくった方が、ナイスショットが撮れる可能性が高まる。カメラを持っていろんな場所に出歩けというコトだ。それから、単調な構図から脱却しなさいということ。カメラを持って立って構え、しかも被写体との距離も考えずにただ単に撮るんじゃダメだと。時には被写体の周囲をくまなく見て歩き、いろいろな角度から被写体を考えろ、という意図も含んでいる。足腰使って構図を意図的に作り出せなければダメじゃんというコトだ。
多くの達人カメラマンが言う「写真は足で撮れ」は、これらとはまた別の意味がある。結論から言えば、被写体へ近寄ったり被写体から遠ざかったりする動作を、ズームレンズに頼るなという教えなのだ。
どうしてそういう教えをするのかと言うと、まずレンズの画角をもっと利用しなさいという意図がある。例えば同じ被写体を同じサイズで撮るにしても、50ミリの標準レンズと、24ミリの広角レンズと、200ミリの中望遠レンズでは、被写体の背景に含まれてくる光景がまったく違ってくる。レンズのミリ数は、単に被写体のサイズを変更するような単純なものではなく、写る世界がまるで変わってくる重大な意味を持つ数値なのだ、ということである。と同時に、ズームレンズなどとゆー怠惰で、しかも、勘違いした似非カメラ野郎に使われがちなモノなどわしゃ認めん!! という感情も多少はあるように思われる。
でも、ズームレンズをあまりよく思っていない達人が多い理由は、やはり多くのズームレンズが単一焦点のレンズよりも描写力に劣るという事実にある。そうなのだ、自由自在に画角を変えられるズームレンズは(単一焦点レンズに比べ構造が複雑でレンズ枚数も多く必要になるので)、画角なんか一生変えられない単一焦点レンズよりも、色味や精細さやボケの繊細さ、それから明るさにおいて劣っているのだ。レンズの性能という点では、ズームレンズより単一焦点レンズの方がずっと勝っている場合が圧倒的に多い。
そんな意味を含めて、ズームレンズみたいな中途半端なものを使うのはよして、単一焦点レンズを使い、レンズでカバーできない被写体との距離などは足でカバーせよ、というのが達人カメラマンが言うところの「写真は足で撮れ」の本意ではないだろうかと思う。
■ それでも便利なズームレンズ
高性能とか高性能とか高精細とか高電圧とか高額紙幣とか高射砲とか高周波などの言葉が好きな高血圧な高等動物の俺は、高い性能を持たないズームレンズはあまり好きではないのだが、それでも使ってみると非常に便利だと思う。1本のレンズだけで何本もの単一焦点レンズの代わりになるというのは、やっぱりスゴいことだ。
デジカメにおいてはよりズームレンズを便利だと思う。なぜなら、多くのデジカメは、レンズ交換なんてことができないから。買ったらそれきりずっと同じ焦点距離のレンズしか使えない。「写真は足で撮れ」とか云々する以前の、まったくつまらねえ状況だ。だから、ズームレンズ搭載のデジカメを買おうと思うのだが、なかなかイイのが出てこない。
俺にとって、ズームレンズ搭載の“良いデジカメ”とは、ズームレンズが高品位ということではない。つまり、凄くいい性能のズームレンズが搭載されていても、それを“良いデジカメ”だとは思わないのだ。じゃあどんなのが“良いデジカメ”なのかと言うと、従来のデジカメの安楽さに加えて、ズーム(光学)も使えるということ。いくら凄いズームレンズが付いているからと言っても、デジカメ本体がデカかったりブザマだったりスマートじゃなかったりするのは御免なのである。
だって、デジカメなんてどーせ200万画素程度なのだ。しかも実用的なのはJPEG画像だし、まだまだ全然大したことなどないのであり俺の目の方が高解像度なのである。まだまだ発展途上中で、どんどんCCDの画素が多くなり中のデジカメの世界において、過剰なほど高品位なズームレンズのために、現在のデジカメのコンパクトさなどが失われるのは非常につまらねえことだと感じる。まあ、こないだPC Watchのページで見たニコンD1の写真(by山田久美夫氏)にはかなりグラッとキたが……。思わずD1を注文しそうになったが……。でもD1は注文しても当分買えなそうな雰囲気ってウワサもあるが……。
とにかく、昨今の光学ズームレンズ搭載型デジカメの多くは、俺にとってなーんか妙にデカいしカッコ良くないしイマイチなのである。光学ズームレンズ付きデジカメを欲しいと思うのだが、なかなか気に入れる機種がないのが現状だ。
■ これは良い!! と思いました
世の中には光学ズームのデジカメが溢れつつあるが、でも俺が気に入るようなのはない。ふんっ!! もういいよ!! どうせ俺はヒネクレモンですよ。あーわかりましたよ俺は単一焦点デジカメで行きますよ、と思っていたら、FinePix1700Zが登場。ご存じ、光学3倍ズーム付きで非常にコンパクト(FinePix2700などとほぼ同サイズ)な新型FinePixだ。
俺は、FinePix1700Zの発売を知って店頭で触った瞬間レジへ急いで購入した。そうなのだ、このカタチ、サイズ、使用感で、光学ズームレンズが付いているのが、俺が求めていたまさにソレ。ズームレンズを搭載した“良いデジカメ”なのであった。
まず、コンパクトさがいい。デジタル機器のメリットである、凝縮の利便は、やはりデジカメにもあって然るべきだ。“然るべき”と考えるのは、俺は、基本的にはデジカメはコンピュータの周辺機器であり、持ち歩いて使って始めてそのパワーが発揮できるモバイル系機器だと思っているからだ。デカい周辺機器はイヤだという単純な考え方である。
と同時に、デジカメはカメラとしてはサブ的な役割止まりの存在だとも思っている。デジカメは、あくまでも“とりあえず撮れればいい”という目的までのもの。“確実かつできるだけ美しく残したい”場合は、フィルム式カメラだ。まあ、これから先、デジカメの高性能化が進みまくれば、この棲み分けが変わってくるかもしれない。が、現状では、静止画記録装置としてのデジカメは、補助的な道具。そーゆーモノに対しては、過剰な潜在能力とかよりも、コンパクトさの方を求める俺であった。
150万画素という点には、ちょっとだけ「ケチケチしないで230万画素にしてくれよ~」とか思ったが、でも使ってみると特に問題ない。また、150万画素だから、ズームの真意が見えてくるというのもある。230万画素デジカメで撮った画像をトリミングするよりも、150万画素デジカメで必要な光景だけをズームアップして撮った方が、結果的には高精細だったりする。あーこのズームレンズは150万画素デジカメをとことん使い倒せるシクミなのだなぁ、などと満足できる。じゃあ最初から光学ズームレンズ搭載の2メガピクセルデジカメ買えよ、という話もあるが、そーゆー機種はやたらデカいのばかりなのであり、FinePix1700Zみたいにコンパクトなのはないのである。
良いと思ったのは、そんなところ。
■ 大したモン、なのだが
それにしてもまあ、よくこんな小さなボディに光学3倍ズームレンズが入ったモンだなぁと思う。しかも、完全に胴没するこのズームレンズのおかげで、FinePixのあのボディがよりスッキリした感じだ。
ところで、肝心のズームレンズの使用感はと言うと……これは、まあこんなモンだろうという感じ。35mmカメラ換算で38~114mm程度のズームレンズなので、使ってみて「わぁさすがにズームだ」という感じにまではならない。もうちょっと寄れたらいいなぁという時にちょっと寄れた、という感じ。欲を言えば、28~150mm程度までのズームが欲しいところだが、まあそうなるとこのサイズには収まらないのだろう(収まったりして)。
それから、俺としては広角側にもうちょっと広いレンズであって欲しかった。広角側で24~28mmあたりまで画角が広ければ、すげえナイスだと言えよう。俺の場合、望遠よりもむしろ広角側の広さが重要なのであった。そう言えば、ビデオカメラなんかもやたら何倍望遠なんてなコトを売りにしているが、望遠なんてそうそう必要になるのだろうか? まあ運動会の我が子のアップショットなんて場合には必要になるかもしれないが、多くの場面では広角~標準程度の倍率が合うと思うのだが……。
それから、蛇足だが、このデジカメは、FinePix2700と同じバッテリー(NP-80)が適合する。そして、NP-80は東芝のAllegrettoM4にも使える。よって、FinePix2700とFinePix1700ZとAllegrettoM4を持っている俺は、バッテリーや充電器問題に悩まずに済むのでありハッピー!! でも比較的同系統のデジカメが3台もあり、さぁどう使い分けようかとか、新たな悩みも!! いいんです、デジカメ収集が趣味なんです、とでも言っておこう。
◎関連URL
■FinePix1700Zプレスリリース
http://www.fujifilm.co.jp/news_r/nrj479.html
■FinePix1700Z製品情報
http://www.fujifilm.co.jp/fx1700z/index.html
(スタパ齋藤)
1999/10/18
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