第4回:内蔵ソフト解説2 Sheet・Record・Sketch
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■ Sheet、Record、Sketchの紹介
今回はPSIONの内蔵ソフトのうち、Sheet、Record、Sketchについてご紹介しよう。Sheetは表計算ソフト、Recordはボイスレコーダー、Sketchはいわゆるお絵かきソフトである。
これらのソフトとWordは単体でも使うことができるのだが、Wordの回でも少し触れたように他のソフトに貼り付け、連携させて使うこともできる。データを貼り付けられるソフトは、Word(ワープロソフト)、Agenda(予定表)、Data(データーベースソフト)、Jotter(メモソフト)など。これらの連携により、それぞれのソフトに高い表現力と、使いやすさを提供している。
■ 表計算ソフト「Sheet」
シンプルな外観の表計算ソフトであるが、100以上の関数を持ち、グラフを簡単に素描できる機能を持つなど、なかなかの本格派である。特にグラフは棒グラフ、折れ線グラフ、分布表、円グラフなどの7種類が素描でき、それぞれボタン1つで3D化できる(そういう意味では、カタログスペック的には14種のグラフと表現できるかもしれない)。また、グラフの背景に区切りごとに線を入れたり、グラフのそれぞれの部分についてグレイスケールの階調をを変えられたりと、細かい調整も可能である。
表計算としての計算機能やセルのグレイスケール階調などを変えたり、文字を大きくしたり、セルの幅や高さを変えたりといった基本的な機能もしっかりとしている。セルの大きさなどは、セルの境界線をタップしてドラッグするだけで良いという簡単さだ。むろん大きさを数値でしっかり指定して思うような大きさにすることもできる。
残念な点としては、表計算ソフトでありながら、CSVファイルに書き出すことが出来ないことが挙げられる。しかし、PsiWinを使用することによって、Microsoft Exelなどのメジャーな表計算ソフト形式に変換することができるので致命的な欠点というわけではない。ただし、ここでも日本語での形式変換には対応していないので、英数字、中に記入した式、フォーマットなどしか変換できない。
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Sheetの画面
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Sheetでグラフを表示したところ。プルダウンメニューにあるように7種類のグラフが選択可能だ
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■ ボイスレコーダー「Record」
録音、再生のできるボイスレコーダーソフト。PSIONは、マイクも内蔵しており、本体のみでボイスレコーダーとして使用できる。エフェクト機能は持たないが、秒数を指定して他のファイルや音声を挿入できるなど、簡単な編集機能もついている。
録音できる時間は残りのディスク容量に左右され、音質がStandardなら1MBあたり2分間、ADPCMなら4分間録音できる。コンパクトフラッシュに30MBくらいの空きがあれば2時間は録音できるわけだ。これは、PDAに付属するボイスレコーダーとしてはなかなか優秀な部類に入るだろう。最大の録音時間はコンパクトフラッシュの空き容量の許すかぎりだが、音声データだけでディスクが満杯にならないように、容量が残り100KBになった時点で、録音が強制的に終了するようになっている。
大容量のコンパクトフラッシュを装着しているのなら、ちょっとした会議や講義なども録音できる。また、録音しながら他の作業ができるのもポイントが高い。Wordなどで文章を書きながらでも、問題なく録音できる(録音しながらPDA機能が使えるというのは、新型のパワーザウルスMI-C1でも評判が良かった機能だ)。
音質はなかなか良い。Standardならテープレコーダーに匹敵するクオリティ、ADPCMで録音した場合も普通のボイスレコーダー並みの音質だ。
ただし、周囲の音を結構しっかりと拾ってくれるため、キー入力の音なども拾ってしまう、そのため文章を素早く入力しながらの録音していると、音声の裏でカチャカチャとやっているのが聞こえてしまう。まあ、キーのすぐ横にマイクがあるので仕方のないことではある。
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Recordの画面
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■ お絵かきソフト「Sketch」
名前の通りのお絵かきソフトである。ペンで自由に線を引けるのはもちろん、直線、四角、丸、文字やクリップアートの挿入などひととおりの機能を備えている。線の太さは5種類から、グレイスケール階調は4階調から選択できるため、白黒液晶とはいえ、それなりに表現力は豊かだ。
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Sketch画面(Wordのスクリーンショットを読み込んだ所)
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特徴的なのは「5回のアンドゥ」「ズーム」「カーソルキーを使ったドット単位での位置決め」などの機能だろう。アンドゥやリドゥの回数が多いのは、文句なしに便利だ。5回もあれば、それなりに修正してから、やっぱりやめておこうなどといったことがずいぶん簡単にできることだろう。
ズーム機能も便利な機能の1つである。Wordの解説の時にも説明した、画面外の左下にある虫眼鏡のマークを使って2段階拡大が可能である。これによりかなり細かいところまで修正が可能である。
そして、最も便利だと思うのはカーソルキーを使ったドット単位の位置決めだ。PDAに付属のお絵かきソフトでこの機能がついているものは少ない。修正時に範囲指定をしてからカーソルキーを押すと、押した方向にドット単位で動かすことができるのだ。単純な機能であるが、これがあるとないとでは、絵の仕上がりに大きな差が出る。特にクリップアートを挿入するときなどに効果を発揮する。
例えば地図のような物を書くときに、まず道を挿入して、適当な位置までペンでドラッグして動かして配置させるのだが、こうやってペンで配置させた後に、カーソルキーを動かして微調整が可能になる。前に書いたズーム機能も併用するとかなり正確に道をつなぐことができる。
PDAで描く絵といえば、手書きのフリーハンドの図か、地図のたぐいが多いと思われるので、こうした微調整の機能はなかなか有用である。
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Sketchで作成したデータをDataに貼り付けたところ
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Sketchの画像を拡大したところ。これだけ大きくなればドット単位での修正も容易だ
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ただ、PSIONで作成した図は、独自の形式で保存されているため、パソコンなどで利用するときにはちょっと扱いづらいのが難点である。mbmという形式なのだが、一部のグラフィックソフトで読み込むか、ユーティリティでbmpファイルに変換しないと利用できない。
前回紹介したWordと、今回紹介したSheet、Record、Sketchは、他の文書などに貼り付けることができるため、これらの内蔵ソフトを使いこなすことで、PSIONをさらに有用に使えることと思う。
PSIONはとかくキーボードや外観のデザインなどに注目がいってしまいがちだが、このようなPDAとしての機能もなかなかしっかりしているのだ。
■ 次回予告
第5回では、内蔵ソフトのAgendaをご紹介する。Agendaはスケジュール管理ソフトで、きめ細かいカスタマイズができるため、使えば使うほど手になじんでくるソフトだ。
(月曜につづく)
◎関連URL
■PSIONの国内販売元、エヌフォーのホームページ
http://www.enfour.co.jp/inc.html
■PSIONのホームページ(英文)
http://www.psion.com/
■EPOC OSのベンダー、Symbianのホームページ(英文)
http://www.symbian.com/
(彩音五郎)
2000/03/31
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